プログラミングでメシが食えるか!?

書評:システムインテグレーション再生の戦略

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またまた献本いただいた本の紹介です。

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2014年6月に書評「システムインテグレーション崩壊 ~これからSIerはどう生き残ればいいか?」で紹介した本の続編のような本です。そういえば、著者の斎藤さんとは前作が私の著書と同時に発売で、同じオルタナブロガーでもあり、Facebookでもお友達なのですが、一度もリアルでお目にかかれていないのでした。

「システムインテグレーション崩壊」では課題と事例の紹介が中心だったので、「では、どうすればいいのか?」というところをきちんと説明する、というのがこの本の目的だとのことで、「課題を投げかけて後は自分で考えろ」ではなく、ちゃんと解決策を示すという姿勢が素晴らしいです。

例によって要約をしても意味がないので、感想や思いを書いておきます。

この本は解説と事例のペアで紹介されているので、とても理解しやすいのがポイントだと感じました。個人的に理屈だけの本は嫌いなのですが、ちゃんと課題に取り組んできた人の取材による内容が紹介されているので、納得できるのです。

内容に関してはまさに私もその通りと感じていて、私自身も10年前(2006年)くらいからこの問題に取り組んできました。当社も20年前(1996年)くらいから受託開発事業を本格的に開始し、10年間くらいはそれなりに利益を出し続ける事業でした。人月単価は85万円〜120万円くらいでしたが、それでは1人あたりの大ざっぱなノルマ:90万円/月と同じくらいですので、少しでも仕事の隙間ができたらダメでした。幸い、当社ならではの分野(初期はCAD関連〜後期は通信関連)があったおかげで、見積工数より断然少ない実質工数で仕事を仕上げることで並列して案件をこなしたり、他では解決できない問題を解決する代わりに、手間がかかる納品ドキュメントを引き取ってもらうなどの工夫ができ、全体の平均でも180万円/人月くらいの利益を出せることもありました。しかし、当時、受託開発事業の責任者であった私としては半期ごとに胃が痛くなったり、神頼みをしたりする状態でした。

事業としては、

・人が動いた分の稼ぎでは限界がある
・隙間なく仕事を埋めるのは至難の業:足りないのも問題だが、集まりすぎても問題
・1案件でも火を噴くと大変なことになる

ということに悩み、それ以外に、

・裏方ばかりで、腕自慢のメンバーが不満を持つ
・開発的なノウハウはたまっても、業務的なノウハウは案件ごとにかなり異なるので蓄積が困難
・後期は直請けも増えたが、初期は孫請け・曾孫請けなどで、精神的にも「下」という印象が辛い
・自分たちで仕事の主導権は握れない

というネガティブな面もありました。

当時から私は個人ホームページや著書で情報発信をするのが好きでしたので、売れるかどうかに関わらず、ノウハウを製品として自社ホームページに掲載し、技術アピールもしていましたが、なかなか製品開発販売自体を事業の柱にするところまでは踏み出せないでいたものです。理由は簡単で、「受託は仕事さえこなせば食いっぱぐれないが、製品は作っても売れなければ1円にもならない」ということに対する答えを示せなかったからです。当時はボーナスが出来高制で、待遇にも直結していましたので、目先の利益はメンバー達にとって重要なことだったのです。

本格的に製品開発販売事業に踏み出せるようになったのは、製品開発販売事業に意欲的なメンバーが数名集まった時点でした。私1人では無理だったのですが、数人になり、本気でやってみたいという思いが強くなってきたのです。同時に業界はオフショアやフレームワークなどで大きな変化を見せ始めていました。思いが強いメンバー達でしたので、「受託で稼ぐことと、製品開発は平行して行い、製品事業が立ち上がるまでの間も業績は落とさない」という無理難題の中でスタートしたのです。受託は得意分野を効率良くこなし、時間を作って製品に取り組むという感じです。時間外・休日も自主的に自分たちの時間を使うこともありました。

製品は基本的に、

・シンプルでそれほど工数がかからないもの
・受託のノウハウですでにほとんどできていたもの
・こういうものが欲しい、売りたい、と社外の人から具体的に話しがあるもの

を選択し、しかも「一つに絞らないで、同時に複数の製品を進める」という無謀とも言える状態で進めました。しかし、取り組んでいるメンバー達からすれば「大変だけれど、下請け仕事よりははるかに楽しい」という雰囲気もありました。

すっかり製品開発事業が柱になっている現状から振り返れば、開発することよりはるかに「売ること」「サポートすること」の方が大変だったのですが、その経験もしながらしっかりした事業に育ちました。結局自分たちでそれなりにまともな事業だと思えるまでに10年近くかかっている気がしますが、今思えば、「あのときに踏み出していなかったら、今はどうなっていたのだろう?」と恐ろしくなります。

現時点でも自分たちの強みを活かした受託開発仕事もやっています。しかし、ざっくりと計算して、製品の方が1.6倍くらい1人あたりの利益を生み出していますし、製品はさらに利益を増やせますが、受託は単価が劇的に上がらない限りまず無理です。

さて、この本では最後の章に「新規事業を成功に導くために知っておくべきこと」が書かれています。どの内容も「その通り!」というものばかりです。当社で製品開発販売が会社として上手くいったのは、プログラマー社長である私が、メンバー達の熱い思いの理解と、経営側の説得ができる立場だったからでしょう。趣味で新しいことを始めるのと、事業として始めるのは全く違います。様々な抵抗や課題をクリアーしていかねば上手くいきませんので、解決策だけわかれば良いということではなく、この章に書かれているような導く方法も大事なのです。

なお、この本の図表はデータとしてフリーでダウンロードして使えるという配慮がされています。正解のないテーマでもあるので、図表を活用して社内などでディスカッションしてもらえれば、という思いからだそうです。素晴らしい!

当時からこの本があれば・・・とも思いますが、この本を読んでいたとしても、結局様々な壁にぶち当たり試行錯誤は避けられなかったでしょう。とはいえ、客観的にこういう情報を持っていれば心の支えになります。なにをやるにも、テクニックより最後は心だと思います。くじけそうになる心を支えられるものは一つでも多いに越したことはありません。

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