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マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

「ドヤリング」という言葉を知って「MacBook Airな男性」を調べてみた。-データから見るペルソナ図鑑(43)-

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若者言葉には私とっては意味不明なものが沢山あるのですが、「ドヤリング」というのがあるのを先日知りました。(遅い?)

「ドヤリング」とは、カフェの「スターバックス」でノートパソコンの「MacBook Air」を「ドヤ顔」で使うことなのだそうです。「ドヤる」とか「ドヤラー」などの派生語も生まれています。「リア充」をイメージするシチュエーションとして、「スタバでMacBookを使うこと」などと言う若い人も登場し、「ドヤリング」は、スタバでの風景として定着した感があります。確かにスタバでリンゴマークが並んでいるところも、よく見かけるようになりました。

それにしてもそれほどのシェアを持っていない「MacBook Air」が、スタバでこんなに目立つのは何故か?、という疑問を持ったので、久しぶりに「MacBook Air」を所有する男性を調べてみました。比較するのはおなじみの「Let's note」を所有する男性です。

【主要ノートパソコンのポジショニングを見てみる】

まず、シングルソース消費者パネル「ぺるそね」*で主要なノートパソコンのポジショニングを見てみます。軸を平均年齢と男女比に設定します。「MacBook Air」はこの中では最も年齢が低いポジションに位置します。一番近いところに居るのが「VAIO」です。一方「Let's note」は男性が多いポジションに位置し、「Inspiron」や「ThinkPad」と近いエリアに位置します。

軸を世帯年収と年齢に変えてみると、どちらも年収が高いエリアにポジショニングされます。「Let's note」はダントツで「MacBook Air」はこの中では2番手です。

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【「MacBook Air 男子」と「Let's note男子の違いとは...】

ここから先はそれぞれの男性ユーザーに絞って見ていきましょう。どちらも半数以上が会社員、公務員です。ところが職種を見てみると「MacBook Air 男子」は「事務・企画職」「クリエイティブ職」が特徴的なのに対し、「Let's note 男子」は「営業職」と「技術・開発職」が比較的多いことがわかります。プランナーやクリエイターのおメガネにかなった「MacBook Air」と、エンジニアのおメガネにかなった「Let's note」というわけですね。一般的には言われていることかも知れませんが、改めてデータで見るとはっきりと確認できます。

購入決定要因はどちらも男性全体と比較し「ブランド」と「デザイン」が高くなっています。そして予想通り「MacBook Air」男子の方が「ブランド」と「デザイン」の重視度が高いことがわかります。

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双方とも「携帯電話やスマートフォン」への関心が高く。「新商品の情報はまめにチェックしている」人たちで、デジタルガジェットの情報通のようです。特に「Let's note 男子」は、「新しく出た商品は実際に買って、いろいろ試してみる方だ」とする人が多く、イノベーター気質を伺わせます。目指すセルフイメージは「理性的」「前向き・ポジティブ」で、エンジニアっぽい面をのぞかせています。一方の「MacBook Air 男子」は「自分の周りには気に入ったものしか置きたくない」と思っており、目指すセルフイメージは「自由な」「粋な遊び心がある」と、これもまた、クリエイターっぽいこだわりを感じさせてくれます。

【ライフスタイルを比較してみる】

興味・関心ごとを比較してみると、「MacBook Air 男子」が高いのは「音楽」や「映画」などのエンターテインメント系、「ファッション」、「デザイン」とおしゃれな感じを醸し出しているのに対し、「Let's note 男子」が高いのは「外食・グルメ」「資産運用」「健康・医療」で堅実な生活をイメージさせます。

行っているスポーツの比較で「MacBook Air 男子」が高いのは「筋トレ・ストレッチ」「サイクリング」「水泳」で、ひいきのスポーツチームは「FCバルセロナ」などの海外サッカーチーム。一方の「Let's note 男子」は「ウォーキング」「ゴルフ」などが高くなっており、ひいきのスポーツチームは「読売ジャイアンツ」などの日本のプロ野球チームが上位に来ます。

このあたりから考えられるのは、「MacBook Air 男子」はパーソナルを重視したライフスタイルを志向しているのに対し、「Let's note 男子」は会社や仕事を中心としたコミュニティでのつながりを重視したライフスタイルを志向しているという事ではないでしょうか。

いつものようにペルソナイラストを掲載するのでご確認ください。

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【実際のところ、スタバに行く男性の「MacBook Air」所有率は高いのか?】

ここまで見てくると、「MacBook Air 男子」はおしゃれで、都会的なライフスタイルを志向し、かつ、それを表に出したい人と言えるかも知れません。で、冒頭のお話しに戻ります。シングルソース消費者パネル「ぺるそね」で、お気に入りのよく行くカフェで「スターバックス」を選んだ男性の「所有しているノートパソコン」を調べてみました。

「ぺるそね」の男性回答者、13,113人のうち、「スターバックス」を選んだ人は2,792人で21.3%となり、男性の選んだカフェの中で第二位です。ちなみに男性の一位は「ドトールコーヒー」でした。

この人たちが所有しているノートパソコンはトップが「VAIO」次いで「LaVie」「FMV BIBLO」と続き、4番目に「Let's note」が入ります。「MacBook Air」は9番目。決して多い方ではありません。ただ、男性全体の所有率と比較した対全体比倍率は1.9倍とトップです。

MBA vs lets big.004.png※画像をクリックすると拡大表示します。

他のノートパソコン所有者も、スタバでPCを開くことはあるでしょう。しかし、これだけ目についているということは、「MacBook Air」ユーザーがスタバでPCを使っている確率は高そうです。それは、高級ブランドのバッグを手に、颯爽とファッションストリートを歩くおしゃれな女性の心理にも似ているのかも知れません。きっと「MacBook Air」というブランドは、「スターバックス」という舞台で、ひときわ輝く存在になったと言ったら言い過ぎでしょうか。ネットやソーシャルメディアでいろいろと言われていることも知りながら、それでもあえて「スタバ」で「MacBook」を開く。つまり、この人たちは周りの冷ややかな視線にもめげず「ドヤりたい」人たちのかも知れません。かくいう私も必要に迫られスタバで「ドヤった」ことはありますが(^^;)。

*データは「ぺるそね」調べ。2015年10月 n=28,091
*「シングルソース・消費者パネル ぺるそね」は30,000人の150問にわたるアンケートをデータベース化し、あらゆる角度から分析できるサービスです。利用料金は9.800円/月と手軽にお使いいただけます。

*無料でぺるそねの分析機能を利用できる「フリープラン」のサービスを開始しました。ご登録はこちらから → ぺるそね・アカウント情報のご登録

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