マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

「イオニスト」と「ららぽーたー」を比較してみた。-データから見るペルソナ図鑑(40)-

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 (社)日本ショッピングセンター協会のまとめによると、ショッピングセンターの新規開業件数が2013年に大幅に増加したそうです。ショッピングセンターの開業件数はリーマンショック、東日本大震災等の影響で2009年から減少傾向が続いていました。しかし、2012年に底を打ち、2013年からは回復基調が続いています。開業件数が前年を上回るのは6年ぶりで、それまでの反動もあり、事業者の出店意欲が高まってきたのは確かなようです。

 ただし、2013年に増えたのは主に小型の施設でした。改正まちづくり3法が施行されて以降、大型施設の新規届け出が減っているのだそうです。大型施設の開発は大手のデベロッパーの優位性が高まってきています。集客力のあるテナントを誘致できるノウハウや実績から、大規模施設を開発しやすい自治体主導の再開発案件では、「安心して組める大手のデベロッパーに依頼するケースが増えている」という背景があります。

 少し前ですが、全国各地にある巨大なショッピングモールで、休日を家族で一日中過ごしてしまう「イオニスト」という消費スタイルが話題になりました。「イオンモール」という大規模ショッピングセンターが、消費行動に影響を与えてきたのは確かです。しかし、イオンモールだけがショッピングモールではありません。別のショッピングモールに集まる人も居るはず。そんな背景からファッション専門紙「WWDジャパン」が「SC新時代」という特集の中で「ららぽーと」で買い物を楽しむ人たちを「ららぽーたー」と名付け話題になりました。

 と、言うわけで、今回は「シングルソース消費者パネル『ぺるそね』」のデータから「イオニスト」と「ららぽーたー」を比較してみたいと思います。


【デパート・ショッピングモール市場のブランドポジショニング】

 「シングルソース消費者パネル『ぺるそね』」には、「よく行くお店」はどこですか?という設問があります。その中の「デパート・ショッピングモール」のカテゴリーでは、30,473人の内22,193人の方が回答してくれています。ともかく、ダントツは「イオンモール」。二位の高島屋にダブルスコアをつけています。

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 ベスト15位までを、性別と年齢でポジショニングしてみると、年齢層の高いエリアに老舗百貨店のクラスターが存在しているのがわかります。性別、年齢が割と近いところに集まっています。年齢層が低く、女性の多いエリアに「イオンモール」「三井アウトレットパーク」「ららぽーと」がポジショニングされ、さらに女性が多いエリアに「ルミネ」年齢が若いエリアに「丸井」が来ます。

 縦軸を世帯年収に変えるとポジションが動きます。ひとかたまりだった百貨店群が年収の高い方と低い方に分かれ、「イオンモール」が年収の低い方に動き、「三井アウトレットパーク」「ららぽーと」「ルミネ」が近づき、「ルミネ」と同じくらいの年収のポジションに「丸井」が来ます。


【「イオニスト」と「ららぽーたー」】

 「イオンモール」によく行っていると答えた女性は2,572人いらっしゃいました。この方達を「イオニスト」とします。また「ららぽーと」によく行っていると答えた女性は736人で、この方達を「ららぽーたー」としましょう。当然「イオンモール」の方が店舗数が多いので、3倍以上の人数になります。

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 まず「イオニスト」のサマリーから見て行きましょう。女性全体と比較してみると、やや若く、既婚率、有子率ともにやや高めです。平均世帯年収は女性全体の平均に近い584万円です。「買い物をするのは楽しい」と感じており、「多くの人が訪れる話題のスポットなどへ出かけるのが好き」な人たちです。目指すセルフイメージは「かわいい」「柔軟な」などが高くなっています。ショッピングモールが大好きで、自動車への関心が高いのも特徴です。

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 一方の「ららぽーたー」のサマリーを見てみると、こちらも女性全体と比較し、やや若く、既婚率と有子率ともに高くなっています。こちらの平均世帯年収は688万円と女性全体の平均に比べ114万円も高くなっています。「新しく出た商品は実際に買って、いろいろ試してみるほう」で、この人たちも「多くの人が訪れる話題のスポットへ出かけるのが好き」です。思われたいセルフイメージは「センスがよい」「柔軟な」。ファッションへの関心が高く、ショッピングモールが好きで、「クルマ・バイク」への興味が高くなっています。


【「イオニスト」と「ららぽーたー」の違いとは...】

 趣味を見てみると、女性全体と比較し「イオニスト」は「ドライブ」が1.9倍、「ショッピング」が1.6倍、「グルメ」が1.5倍と出かけるのが好きです。また、「温泉」や「カラオケ」も1.5倍の出現率となっています。珍しいところでは「雑貨づくり」などをしている人も居るようです。

 一方の「ららぽーたー」は「ショッピング」が1.8倍、「ドライブ」「街歩き」「グルメ」「お酒」「写真撮影」が1.6〜1.7倍で、こちらもお出かけ好きです。「海外旅行」も1.5倍の出現率。「温泉」や「スパ・岩盤浴」が特に高く、1.8〜1.9倍となっています。

 趣味を直接比較して見ると、「イオニスト」が高いのは「ドライブ」「ゲーム」「漫画」「園芸・ガーデニング」などで、逆に「ららぽーたー」が高いのは「海外旅行」と「エステ」「ネイル」「写真撮影」などとなります。

 また、好きな女性タレントを見てみると「イオニスト」の方が高く出るのは「篠原涼子」「柴咲コウ」「ベッキー」に対し、「ららぽーたー」の方が高いのは「ローラ」「安室奈美恵」「北川景子」となります。なんとなく傾向があるみたいですね。

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 お出かけ好きも影響しているのでしょうが、どちらも「クルマ」への関心が高くなっていますので、所有しているクルマを直接比較してみましょう。「イオニスト」は「軽自動車」と「コンパクトカー」が多くなっているのに対し、「ららぽーたー」は「ミニバン」と「輸入車」が多くなっています。

 好きなファッションブランドは、「イオニスト」が「アースミュージック・アンド・エコロジー」や「GU」などのカジュアルブランドを好み、「ららぽーたー」は「フォーエバー21」や「H&M」などのファストファッションが好みです。その他のブランドについては、いつものように「ペルソナ・イラスト」を掲載しますので、ご確認ください。

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 「イオニスト」と「ららぽーたー」を見てみると、どちらもお出かけ好きで、ショッピングを楽しみ、イベント等人の集まるところに出かけるのが好き。というように、とても似た傾向の人たちであることは間違いないでしょう。強いて言えば、「ららぽーたー」の方がトレンドを追いかけて、新しいものに飛びつくイノベーター気質の人が多いのに対し、「イオニスト」はどちらかというと「フォロワー」気質の人が多そうです。

 よく行くお店によって、ペルソナ像にいろいろと違いがありそうですね。このシリーズ、何回かやってみようと思いますので、お楽しみに...


*データは「ぺるそね」調べ。2013年8月 n=30,473
*「シングルソース・消費者パネル ぺるそね」は30,000人の150問にわたるアンケートをデータベース化し、あらゆる角度から分析できるサービスです。利用料金は3,500円〜と手軽にお使いいただけます。

*無料でぺるそねの分析機能を利用できる「フリープラン」のサービスを開始しました。ご登録はこちらから → ぺるそね・アカウント情報のご登録

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