オルタナティブ・ブログ > 消費者理解コトハジメ >

マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

コンパクトカーの女性ユーザーを見てみた(1) -データから見るペルソナ図鑑(16)-

»
消費者理解コトハジメTitle.png
 先日、日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車連合会がまとめた、11月の車名別新車販売台数が発表されました。トップとなったのはトヨタの「アクア」。以下「プリウス」「N BOX」「ミラ」「ワゴンR」と続いています。

 ベスト10を見てみると、6台が軽自動車。エコカー補助金が終了し、軽自動車が大人気となっていることは理解できます。前回の誠ブログ「クルマ市場を眺めてみた」でも書いているように、「ぺるそね」回答者の自動車の所有状況を見ても、ベスト15位までを占めるのは、軽自動車、コンパクトカー、ミニバンがほとんどです。経済性が重視されるとは言え、日本も小さなクルマが人気となりました。この流れ、2000年頃に起こったコンパクトカーブームから始まったのではないでしょうか。トヨタ、日産、ホンダのコンパクトカーが出そろってほぼ10年。今回は、コンパクトカーの女性ユーザーにスポットを当ててみたいと思います。


【女性のクルマへの関心は年代が上がると下がる】

 若い男性のクルマへの関心が低下している、というお話しは以前のブログ「『レクサスな男性』と『BMWな男性』を比較してみた」にも書いています。実際に見てみると今年6月の調査でも40代の男性がピークとなり、20代の男性は50代の男性と同程度の興味しか持っていないという結果になりました。

 女性の方はというと、もともとそれほど興味のある人が多いわけではありません。また、年代的な差異も男性ほど激しくはなく、強いて言えば年代が低いほど興味は高いという結果になっています。そういう意味では女性が好む「軽自動車」や「コンパクトカー」の方が売れ行きがいいということは、クルマへの興味が低下してきていることの裏返しかもしれません。

 自動車にとても関心がある人の比率
コンパクトカー女性.001.png


【女性ユーザーのコンパクトカー所有率】

 日本のコンパクトカーブームは1999年にトヨタから「ヴィッツ(Vitz)」が発売されたことから始まります。それまでのコンパクトカーとは一線を画したヨーロッパのテイストのデザインは、幅広い層に人気を博しました。その後2001年にホンダが「フィット(Fit)」を発売。小型ながら広い車室を確保。爆発的にヒットします。それを追いかけるように2002年には日産が「マーチ(March)」と「キューブ(Cube)」をフルモデルチェンジ。日本の自動車大手3社三つどもえのコンパクトカー戦争が勃発しました。「コンパクトカー=安いクルマ」というイメージを払拭し、運転のしやすさから、女性ユーザーにも支持されるなど、その後のクルマ市場に大きく影響を与える出来事でした。

 クラウド型消費者分析ツール「ぺるそね」でコンパクトカーの女性ユーザーの所有率を見てみると、全体ランキングと同様に「フィット(Fit)」「ヴィッツ(Vitz)」「キューブ(Cube)」「マーチ(March)」の順に並びます(棒グラフ)。この中で女性比率の最も高いのは「マーチ(March)」で次が「ヴィッツ(Vitz)」「キューブ(Cube)」「フィット(Fit)」と続きます(折れ線グラフ)。フィット以外はすべて女性比率が過半数を超えています。

 コンパクトカーの女性所有率と女性比率
コンパクトカー女性002.002.png

【4車のユーザー層の違いは?】

 平均年齢と既婚率で比較してみましょう。最も年齢層が高かったのは「フィット(Fit)」ユーザーです。以下「ヴィッツ(Vitz)」「マーチ(March)」「キューブ(Cube)」と続きます。

 一方、既婚率は平均年齢と相関はしていません。最も既婚率の高いのは「フィット(Fit)」と順当ですが、次に既婚率の高いのが「キューブ(Cube)」となり、以下、「ヴィッツ(Vitz)」「マーチ(March)」と続きます。

 ポジショニングマップ(平均年齢×既婚率)
コンパクトカー女性.003.png

 既婚率と有子率で見てみましょう。実は最も子供のいる率の高いのは最も若い「キューブ(Cube)」でした。次に「フィット(Fit)」以下「ヴィッツ(Vitz)」「マーチ(March)」となりました。

 ポジショニングマップ(既婚率×有子率)
コンパクトカー女性.004.png

 当然職業にも差があります。「フィット(Fit)」は専業主婦率が比較的高め。「ヴィッツ(Vitz)」は会社員、公務員、自営業が高めに出ています。最も会社員率が高いのは「マーチ(March)」で前述の通り、独身者もここが一番多くなっています。そして、最も若くて有子率の高い「キューブ(Cube)」は比較的パート、アルバイトをしている方が多くなっています。

 というわけで、「フィット(Fit)」ユーザー→「フィットなミセス」。「ヴィッツ(Vitz)」ユーザー→「ヴィッツなね〜さん」。「マーチ(March)」ユーザー→「マーチなレディ」。そして「キューブ(Cube)」ユーザー→「キューブなヤンママ」と名付けました。次回からひとりづつご紹介して行きたいと思います。

コンパクトカー女性.005.png

*データは「ぺるそね」調べ。2012年6月 n=31,444
*「クラウド型消費者分析ツール ぺるそね」は30,000人の150問にわたるアンケートをデータベース化し、あらゆる角度から分析できるサービスです。利用料金は3,500円〜と手軽にお使いいただけます。
* 機能をフルに試せる「トライアル・パス」のサービスを開始しました。
*「クラウド型消費者分析ツール ぺるそね」の詳細はこちらへ。
 →サービスの詳細は「こちら
 →関連情報は「こちら
 →活用情報は「こちら

Comment(0)