クラウド戦役をZガンダム視点でわかりやすく解説するブログ+時々書評。

ゼータの鼓動。Azureの大幅アップデートにマイクロソフトの本気を見た

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レイ・オジーがAzureを含むマイクロソフトのクラウド・サービス戦略に大きく影響を与える
きっかけとなった戦略メモを2005年に発表してから7年。2008年のPDCで
開発者向けに披露されたWindows Azureは、レイ・オジーが当時語っていた
完成形に到達することができたのである。

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日本時間で本日6月8日5時から行われたMeet Windows Azure (#MeetAzure)
というイベントにおいて、現WindowsAzureの責任者である「赤シャツ」こと
スコット・ガスリー(@scottgu)が新機能のデモを行い、早朝にも関わらず
#jazug を中心に、多くの方がリアルタイムで歴史の転換点的なイベントを
ご覧頂いていたのは大変嬉しいことである。

Meetazure01

ガスリーのセッションはオンデマンドで見られるようになっている(英語のみ)し、
日本でも多くの方々およびメディアがAzure新機能の紹介をしてくれているので、
本ブログ「Azureの鼓動」的には、独自のスタイルで各機能の意味合いを解説しつつ、
今後の展開について思いを馳せてみたい。

Publickey:[速報]新Windows Azure登場、IaaS型クラウドとしてLinuxやMySQLのサポートをデモ
ブチザッキ:Meet Windows Azure Keynote
蒼の王座:知っておきたいWindows Azure Web Sitesのまとめ10個
S/N Ratio (by SATO Naoki):新たなWindows Azureとの出会いscottguブログ翻訳)

今回のAzure Spring Releaseは、エゥーゴが進めてきた「Z計画」の到達点、
すなわちMSZ-006ゼータガンダム的存在と言える。その特徴にあわせ、
Spring Releaseを解説してゆきたい。

■可変機
グリプス戦役最高の傑作機と言われるゼータガンダム最大の特徴は、可変機構にある。
モビルスーツ形態からウェイブライダー形態に0.5秒で変形し、宇宙空間はもちろんのこと
1G重力下の地球上でも戦闘区域を選ばず性能を発揮することができる。

今回のSpring Release最大のポイントはPaaS、IaaSの共存にある。
従来のPaaSに加えIaaSを使えるようにしたことで、Azureを活用できるシナリオが
大幅に広がった。AWSや国産クラウド、ホスティングに慣れた方には、
一見、IaaSの方が自由度高く便利そうに思われるかもしれないが、
本来クラウドが目指すべき高みであるインフラ層の監視保守運用の一切から
エンジニアを解放して、付加価値の高いソフトウェア開発業務に専念してもらいたい
という理念からすれば、PaaSの方が望ましいといえる。

しかしながら、PaaSには運用の自動化の対価としてある程度の制約が課せられることも
事実であり、今回のAzure Spring Releaseではその両方のメリットを引き出すべく、
PaaSとIaaSを共存できるようにしている。

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これまでPaaSしかなかったWindowsAzureでは、様々な工夫で強引にIaaS的に
使う必要があったため、幾多の精鋭を発掘したインストールマニアックスなどの
スキルを競うイベントを実施できていたのだが、今後は誰でも当たり前にできすぎて
企画自体が成立しなくなってしまうため方向性の再考が必要である。

基本的にPaaS(クラウドサービス:Web/Worker)で運用し、難しい場面で
IaaS(仮想マシン)を組み合わせるというのが、賢い使い方と言えるだろう。

よいことずくめのゼータガンダムではあるのだが、その製造にかかるコストが
高すぎたため0087年当時のエゥーゴでは量産に至らなかったのだが、
物量なら負けない連邦軍たるマイクロソフトの資金力をもってすれば、
現場での大量配備も問題ない。

また、複雑すぎる変形シーケンスから量産には不向きとされていたが、
その後ほどなくして変形機構を簡略化した量産機RGZ-095リゼルとして完成させている。

今回のSpring ReleaseにおけるPaaS側の目玉機能であるWebSitesおよび
WebMatrix2を何にあてはめるか、このブログを書きながら悩んでいたのだが、
0087年にはあってはならないオーバーテクノロジー的存在とすることですっきり整理できる。

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簡単に使い始められることを主目的として開発されたAzureWebsites(コード名Antares)は
性能を犠牲にしたMSA-005メタスではなく、ゼータガンダムの正当な後継量産機、
RGZ-95リゼルなのである。

■ウェイブライダー
幾多の苦難を乗り越えてゼータガンダムが可変機構を搭載したのは1G重力下での
運用を目的としたためである。本ブログ、Azureの鼓動での設定では…

宇宙:
エリアは広大だが1年戦争で壊滅したコロニーも多く、一部サイドや月面都市を除き
経済活動は低調。無重力かつ過酷な環境が次世代を担うニュータイプを生む土壌となる
→転じてWeb、モバイル、ソーシャルなどの領域

地上:鉱物資源が豊富で宇宙世紀以前から経済活動は活発で既得権益にすがる
富裕層が多い
→転じてエンタープライズビジネスアプリケーションの領域

…となっており、クラウドのスケーラビリティを素直に発揮しやすい宇宙空間と、
従来のIT業界慣習に引きずられがちな地上の両方で、クラウドビジネスの戦闘が
繰り広げられている。

Google App EngineはもとよりAmazon Web Servicesなどジオン的
クラウド専業ベンダーのサービスは基本的に宇宙空間用の仕組みを地球降下作戦で
領地を拡大しようとしていて、反対に連邦軍的エンタープライズ向けソフトウェアベンダーが
はじめたクラウドサービスは地上から宇宙への侵攻作戦を進めているという構図は
わかりやすいと思う。

その点からすれば、マイクロソフト謹製のAzureは地上戦に強いのだが、
それはジオンとの比較においてであって、地球上には宇宙空間での使用を前提としていた
モビルスーツでの侵攻が難しい砂漠や海洋、湿地、雪原、山地などのエリアが存在する。

このような地形(ビジネス/システム環境)においても1G重力下での自力飛行、さらには
モビルスーツを載せてのサブフライトシステムとしての運用が可能なウェイブライダー
であれば、地形適性の高さから本来の性能を発揮して作戦を効率的に進めることができる。

PaaSに専念していたAzureがここへ来てIaaSを提供した目的はここにある。
特にエンタープライズエリアで多く見かけられる、クラウドにしたくない勢力からでてくる
言い訳を駆逐するために、IaaSは非常に有効である。

また、あわせて今回提供を開始することになる仮想ネットワークを使えば、Azure上に
社内ネットワークをそのまま拡張することができる。

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ガンダムMk-II強奪におけるグリーンノア潜入の折、クワトロ・バジーナは
「連邦軍はいつになったら、ここが地球と地続きでないってことがわかるんだ!」と
言っているが、Azureの仮想ネットワークとIaaSにより、まさにオンプレミスと地続きな
クラウドリソースを手に入れることができるのである。さらに、System Centerで
管理運用も統合すれば盤石だ。

ちなみに、IaaS、中でもLinux系ゲストOSによる仮想マシンが有効活用できるエリアは
もちろん宇宙、すなわち、Web、モバイル、ソーシャルエリアにも存在する。例えば、
ASP.NETに限らずnode.jsやPHPは、ランタイムさえあればOSに依存するところは
少ないため、PaaSとしてのクラウドサービス(Web/Worker:WindowsServerベース)を
使いつつ、nginxやmemcached、redisなどLinuxで動かした方が相性が良さそうなものに
ついてはIaaSを利用するという混在パターンが現実的かつ経済的といえる。

■オプションなしでの大気圏突入が可能

宇宙空間と地上の環境の違いを理解しつつも競合各社がバリュート的なオプション装備を
必要としているのに比して、Azureはウェイブライダーに変形しての大気圏突入、
すなわちエンタープライズ要件におけるビジネスアプリケーションのハイブリッド運用が
可能なのである。

AzureのホストOSにおける仮想化技術はKVMやVM Wareなどの3rdパーティーもの
ではなく、自社純正技術であるHyper-Vをベースにしている。これまでのWindows Azureは
Hyper-V 2.0を大規模クラウドデータセンター用に拡張したものであったが、今回の
アップデートでWindows Server 2012世代のHyper-V 3.0ベースのものに変わっている。

手元のWindows Server 2012でHyper-Vを構成し、VHDブート可能なイメージを
作成していれば、それがそのままAzure上で使えるのである。これがあれば
VHD化されたサービスは自由にクラウドとオンプレミスを行き来できる。

さらに、どちらかに完全移行するのではなく、一部をオンプレミスに残しつつクラウドと
連携させて使うハイブリッド環境で活きてくる機能群も層が厚い。SQL Azureから
名称変更となったWindows Azure SQL Databaseのデータ同期をクラウド-オンプレミス間
でも可能にするData Syncや、認証を司るWindows Azure Active Directoryなど、
エンタープライズ領域におけるハイブリッドクラウドを実現するための機能群が
サービスとして標準提供されている。このあたりの充実ぶりはジオンの追随を許さない。

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■メガビームランチャー
ビームライフルとビームサーベルを標準武装とするゼータガンダムには、追加兵装として
メガビームランチャーが用意されている。これは、MSN-00100百式用に開発された
メガバズーカランチャーと同じく、武装自体に融合炉を搭載した高出力のビーム兵器
であるが、百式のそれと比較して、取り回しが容易になっておりウェイブライダー形態でも
装備することが可能である。

Azure Spring Releaseのタイミングでのメガビームランチャー的な機能としては、
HadoopとAzure Media Servicesがあげられる。これらは、BigDataおよび
大規模コンテンツ配信において大きな威力を発揮しながら、PaaSとして
非常に使いやすくまとまった形で提供される。

Hadoopazure

Azure上のHadoop環境はElastic Map Reduceのように、必要な部品群があらかじめ
構成されており、分析などの処理を行う対象のデータとHadoop用に書かれたアプリ
(jarファイル)があれば、簡単に使えるWebインタフェースと、JavaScriptの
インタラクティブなインタフェースがついている。

Azure Media Servicesは米国で開催された放送業界向けの大規模イベントNABにおいて
発表しているものであるが、今回のSpring Releaseの新機能と並んで、
プレビューページに掲載されている。コンテンツ配信に特化したPaaSで、映像ソースを
1種類用意すれば、マルチデバイス配信で問題になりがちな、端末にあわせた
エンコーディングをクラウドリソースを使って一括して行うことができる。現段階では
オンデマンド配信向けの機能だけで構成されているが、近々ライブストリーミングにも
対応する予定である。近年多くのAndroid端末向けサービスで採用著しい
DRM(権利保護)技術であるPlayReadyでの暗号化や、AzureCDNを介した配信も
包括的にできてくれるのはありがたい。マイクロソフトのソリューションではあるが、
Apple HLSにももちろん対応している。

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すでに今年のロンドンオリンピックでAzure Media Servicesでの配信が決まっており
開発が遅れがちな弊社とはいえスケジュールはあわせてくるだろう。

気軽に書き始めたつもりが随分と長くなってしまったが、ガンダムの世界観や用語が
わからない人であっても、今回のSpring Releaseを、私がどれだけ待ち望んでいたか、
理解して頂けたかと思う。

今回の発表は、非常に多くの新機能を詰め込みすぎてしまったため、いくつかの記事を
読んだくらいでは理解できないという方も多いと思われる。そのような方々のために、
Spring Releaseがらみで本日の披露の場としてのMeet Windows Azure、
来週米国TechEdで行われる技術詳細を説明するLearn Windows Azureの内容を
まとめたGo Azureというイベントを東京(汐留)で開催させて頂くことになっている。

Goazure01

すでに一般枠はおかげさまで満員御礼になっているのだが、もしどうしても
参加したいという方がいれば、いさご宛に何かの手段(twitter, FB)でご連絡頂ければと思う。
必ずご提供できると約束はできないが、善処させて頂きたい。

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