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クラウド戦役をZガンダム視点でわかりやすく解説するブログ+時々書評。

もうひとつの戦い。昨日発売のWindowsPhoneはV作戦シナリオで完勝?

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U.C.0087のグリプス戦役ならぬ西暦2011年のクラウド戦役を戦っているWindowsAzure。
AmazonやGoogle、国内クラウドベンダー各社の頑張りもあって、おかげさまで
ブログの更新もままならないほどに忙しい日々を過ごさせていただいているのだが、
昨日8月25日、もうひとつの戦いの火ぶたが切って落とされた。
auから発売となった待望のWindowsPhone IS12T。最新OS7.5を搭載した端末としては
世界で一番早い発売となる。これは日本人として素直にうれしい。

成長著しい分野で後発のマイクロソフトが追いかけるという構図はクラウドと
スマートフォンで共通しているものの、当然のことながら市場が違えば戦略は異なる。
クラウドの場合、既存の主力事業であるソフトウェアライセンス販売モデルからの
スムーズな移行やタコ足食いにならないための戦略が、対競合と同じかそれ以上に重要で、
エゥーゴ、ティターンズ、アクシズ+旧ジオン派勢力の三つ巴の戦いがモチーフとして
ズバハマリなのだが、潔いほどに過去のWindowsMobileからの飛躍を果たした
WindowsPhoneの場合もう少しシンプルに考えることができる。

ここでは、U.C.0079の1年戦争における連邦軍のV作戦になぞらえて、
WindowsPhoneの戦いの行方を考えてみたい。毎度言うまでもないことだが、
私がブログで書いていることはマイクロソフトの方針を予言するものではない。

さて、V作戦というのは…という説明はこのブログでは大胆にも割愛させていただくが、
誤解しがちな点を指摘するならば、RX-78-2ガンダムの開発を目的としたものではない。
教育型コンピューターによる実戦データ回収をもとに、ジオンに大きく後れを取った
モビルスーツの量産を意図した大反攻作戦なのである。ホワイトベース隊および
高性能プロトタイプ機のRXシリーズはその副産物でしかない。

結果は皆さんご存知の通り、さまざまな事情で紆余曲折の末、連邦軍の完勝となり、
最終決戦の場となったア・バオア・クー攻略戦において、連邦軍艦隊は大量の
量産型モビルスーツを抱えて進軍できる状態になっていた。

さらに、Windows Phoneと同じく昨日発売となった「PSP 新ギレンの野望」において
ジオン篇のギレン総帥シナリオでは、野望、系譜慣れした熟練者でない限り
世にも恐ろしい展開が待ち受けている。三度にわたる地球降下作戦とその後の
快進撃により前半は誰もがジオンの勝利を信じて疑わないのだが、中盤あたりから
雲行きが怪しくなってくる。

まず、ジオン側の問題点として、局地戦に特化した機種の枝分かれがあげられる。
一年戦争で最大数量産された傑作機であるザクIIF型まではよかったが、その後
さまざまな地形にあわせて、砂漠用から水陸両用型にいいたるまで、実に多くの
局地戦用モビルスーツが開発されてゆくことになる。結果、開発資金の分散により
単純に投資効率が悪くなるだけでなく、現場では操縦方法の違いによる
パイロット配置の非効率や補修部品の使い回しができないことによる不都合が
起こることになり、その後、戦力の分散化を反省したジオンは統合整備計画を実行し、
操縦系統や部品の共通化を図った改良型に機種を絞らざるを得なくなる。

その間、連邦軍は量産モデルを無難なRGM-79ジムに集約し、現地適用の派生型も
最低限に抑えている。量産効果をきかせて戦力を増強する中、開発投資を集約した
高性能機の開発にも成功して、ジオンがゲルググの開発も終わらない間に
RGM-79SPジム・スナイパーIIなどの量産型とは思えない高性能機を大量に
生産・配備してくる。モビルスーツの性能で連邦に後れを取ると、資金・資源ともに
乏しいジオンでは戦局を挽回するのは難しい。

さらに、史実のようにシャアがV作戦を早期に察知することなく、リスクを取って
大気圏突入直前に攻撃を仕掛けることがなければ、ホワイトベースは早期に
ジャブローに到着し、ジム系統の量産はさらに早まることになる。先行逃げ切りが
定石のジオンとしては致命的だ。

この説明を理解できる方であれば、ジオンをAndroidに置き換えるとスマートフォンに
おける戦局と共通点が多いことに気付くのではなかろうか。機種バリエーションの多さは
ユーザーにとって一見選択の自由が与えられたことでよいことのように思いがちだが、
結果としてアプリケーション開発において問題となる機種ごとの動作の違いなどにより、
エコシステム全体を非効率にしていることに気付いていない。また、iPhoneに気を取られる
あまり、新勢力であるWindowsPhoneの動向に無頓着な層が多ければ、妨害工作を
受けることなく、技術の進化は早くなることだろう。

とはいえ、iPhone/Android優勢の世の中、WindowsPhoneが成功をおさめるといっても
にわかに信じがたいと思われる。そこで、実際にマイクロソフトがそういった戦略を
とるかどうかはさておき、私ならこう攻めるというシナリオを説明しておきたい。

一言でいうならば地上拠点制圧への戦力集中である。

ケータイ、スマートフォンの市場を個人契約(宇宙)と法人契約(地上)に分けて考えると
現在iOS/Androidが幅を利かせているのはニュータイプならぬアーリーアダプタ層が多い
宇宙が中心といえる。地上への攻略も少しずつ始まってはいるが、地上には
セキュリティポリシーの順守や端末管理などの難関が待ち構えており、強力な法人営業
部隊を大量配備しなければ、にわかに勢力を拡大するのは難しい。

その点、WindowsPhoneを擁するマイクロソフトは、パソコンOS屋からエンタープライズ
ビジネスにビジネス領域を拡大してゆく中で、大手企業を中心に法人営業における
販売力強化に努めてきた。このチャネルを利用してWindows7やサーバー製品群と共にWindowsPhoneの全社一括導入を推進することができる。

もしこの地上制圧作戦が成功するのであれば、現在フィーチャーフォンが多く使われている
であろう会社支給ケータイが順次WindowsPhoneに切り替わってゆくことになる。
スマートフォンとしてiOS/Androidと同等あるいはそれ以上のポテンシャルを持ちつつ、
Officeなど業務利用向けのアプリを標準搭載したWindowsPhoneは業務用スマートフォン
というセグメントの中で高いシェアを得ることができるだろう。

もちろん、Windows Phoneにはソーシャルネットワークサービスと連携する
PeopleHubなどコンシューマー向けの機能も多数備わっており、宇宙でもいかんなく
性能を発揮できるのだが、敵も強力であるため、ここで勝負するのは地上戦で優位を
確立した後の方が、地軍の損害が少なくて済む。

…と、もっともらしいことを書いてはみたものの、WindowsPhoneが一般のコンシューマー
層に広く受けいられ、宇宙における苦戦が杞憂に終わってくれることを祈ってやまない。

クラウド側のWindowsAzureからしてみれば、デバイスがiOSだろうが、Androidだろうが
あまり関係ないのだが(iPhone界隈で話題の某サービスも裏はAzureだし…)、
WindowsPhoneであってくれるにこしたことはない。

iOSやAndroidなら、AzureでなくてもAWSやGAE、さくらのVPSでいいじゃないか、
という声も聞こえてきそうだが、WindowsPhoneアプリのサーバーサイドとなれば、
圧倒的な開発生産性の高さでAzureを利用するのが客観的に見て賢いと思われる。

したがって、クラウド戦役を戦う我々としても、WindowsPhoneのV作戦は非常に重要で、
サーバーリソースを利用するWindowsPhoneアプリが増えれば、自然とスマートフォンに
おけるAzure利用率があがってくることで、旧ジオン派が優勢な制宙権をとれるのである。
これは担当職務を超えて、積極的に応援せざるを得ない。

昨日の発売以来、すでに私の周辺でiPhone/Androidを愛する多くの方々が
IS12Tを入手&自慢してくださっていることは非常にうれしい。みなさんもこの週末に
是非実際に手に取って、使い心地を体感していただきたい。

ザクマシンガンの直撃をくらってもびくともしないガンダムばりの高性能機。
シャアでなくともこう言いたくなること請け合いだ。
「ええい、連邦のモビルスーツは化け物か!!」

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