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HP×マイクロソフトのコラボでクラウド、Azureにどう言及しているか

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「クラウド化が進むと今のようにサーバーが売れなくなってしまう」
という不安は概ね正しい。ただ、曲解で単に「売れなくなる」のではなく
「今のように」という部分が主である。

Hp_msft
(画面中央あたりのリンクでVideoメッセージもみることができる)

日本時間の今朝方、HPのChairman and CEO のMark Hurdさんと
スティーブ・バルマーが3年間で$250M(100円単純換算で250億円)の
大規模な投資を伴う発表を行っている。主な事業内容は下記3点。
投資の割合や収益モデルなどには言及していない。

•Be built on a next-generation infrastructure-to-application model
•Advance cloud computing by speeding application implementation
•Eliminate complexities of IT management and automate existing manual processes to lower the overall costs

例によってMary-Jo Foleyさんのブログが早い。
(和製MSウォッチャーのAgile catさんが一部翻訳、解説されている)

今回の概要を聞いてイチバン想像しやすいのは今回の提携で
マイクロソフトが今後拡充してゆくAzureやBing、Liveのデータ
センターの機材を、Dellが多そうだと一部で噂されている現状
からHPの比率を高めるという話。

正直、クラウド化でサーバー構築の面倒くささや運用のストレス
から解き放たれるソフトウェア屋からすれば、クラウドのインフラに
どんな機材が使われていようが、もはやコモディティ扱いであり、
本来関係ないはずなのだが、どこの馬のホネかよくわからない
機材よりは、「ちゃんとした」機材を使ってくれていた方が
なんとなく安心感があるのではなかろうか。特注モデルとはいえ
HPやDell製なら安心だ。コストは今回のようなクラウドに限らない
包括的アライアンスとボリュームでカバーできるだろう。
(※念のため注記。マイクロソフトは自社のデータセンターに
 どのようなベンダー、HWスペックの機材を使用しているかは
 オフィシャルに発表していない)

ただ、今回の発表はシロウトでも思いつくレベルのクラウドデータ
センター向けサーバー納入包括契約、という範囲の話ではない。
次世代のアプリケーションモデルや運用方式を一緒につくってゆく
ことがゴールであって、クラウドはその手段でしかない。Azureを
使うこともあるだろうが、HP製サーバーやソフトウェアで構築した
プライベートクラウドを選択することも、もちろんある。マイクロソフトが
ソフトウェア+サービスといっている、オンプレミスとオフプレミスを
用途に応じて使い分けた上、効率的に構築、運用が出来るよう、
そのノウハウを両社で蓄積してゆくことになろう。

サーバーが今までのように売れるわけではない、という正しくかつ
厳しい市場、業界、時流認識の元、両社が強みを活かして補完しあう、
良い提携であると個人的に思う。

SI'erやISVのみなさまにAzureの話をしていると、何のトラウマか
「どうせMSさんクラウドにして全部もってくんでしょ?」という
あらぬ誤解に満ちたコメントをいただくことも正直少なくない。

Azureはあくまでプラットフォームでしかなく、この上に何らかの
アプリやサービスを載せない限り、エンドユーザーはなにひとつ
嬉しくない。ソフトウェアパッケージをつくっているISV各社は
まずこの部分でビジネスを作ることが出来る。

ではSI'erはどうか?日本の場合、ハードウェアメーカー(販売)や
ネットワーク屋兼SIという企業が多いので、自然と「Azureの
インフラにうちをつかってもらえませんか?」という話にりがちだが、
もう一歩知恵を絞って、手段ではなく提携で何を成し遂げたいか
(しかも日本国内だけでなくグローバル市場に向けて)という
目的の議論ができると、非常に嬉しく思う。

マイクロソフトのビジョンを掛け声で終わらせないためには、
言うまでもなく多くのパートナーさんの協力が必要だ。サービス
開始直後でマイクロソフトさんの脇が甘い現状、Azureに絡んで
どんなビジネスができそうか、是非活発な議論をお願いしたい。

今ならまだ領域選べばAzureエコシステムにおけるデファクトが
とれるかもしれない。先行企業の事例などヒントになる
アイディアが欲しい!という方は是非TechDaysへ。

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