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クラウド戦役をZガンダム視点でわかりやすく解説するブログ+時々書評。

LiveFramework報道についての整理。次のLiveでデルタプラスとしての完成を望む

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All About Microsoftという人気ブログがある。他社メディアで恐縮ではあるが、
ITジャーナリストであるMary-Jo Foleyさんがマイクロソフトの動きを観察し、
日に数回の更新頻度でエントリーしている。メアリー・ジョー・フォリーさんは、
日本では「マイクロソフト ビル・ゲイツ不在の次の10年」(原題:Microsoft 2.0)の
著者であると言った方がなじみ深いかもしれない。

このAll About Microsoftで、先日下記タイトルのブログがポストされた。
Microsoft to cut Live Framework and Services from its Azure cloud platform
ZD Net Japanでも「Azure」クラウドプラットフォームから「Live Framework/Services」を削除へ
というタイトルで翻訳記事が掲載されている。マイクロソフトの中の人になった私からすると、
彼女のブログが情報をオープンにしてよくなったのか、と気づかされることも多い。
社内秘扱いで先日連絡はあったものの、今回もこの記事を見て正式アナウンスを
確認したところ、Live Frameworkのチームブログでも掲載されていたので、
私のブログでも本件触れさせていただくことにする。

これまで、私のブログでも何度か紹介させていただいた Live Framework を用いたCTP開発
環境が来月9月8日をもっていったん終了となるという告知である。本件の責任者である
David Treadwell のコメントをそのまま掲載する。

"At the Professional Developer Conference 2008, we gave the developer community access to the technical preview of the Live Framework. The Live Framework is core to our vision of providing you with a consistent programming interface. Now we are working to integrate existing services, controls and the Live Framework into the next release of Windows Live. Your feedback continues to help us build the best possible offerings for Windows Live users, for you and for your customers. "

日本でも、多くの開発者の方々の支持を得ていたLive Frameworkではあるが、
ここで一度CTP環境を閉じて、社内でWave4と呼ばれているWindows Liveの次(以降)の
サービスに向けた準備を行うという内容である。

メアリー・ジョー・フォリーさんのブログおよびその翻訳版では、Cutやら削除やらと
言われているが、これはあくまでAzureの観点からみた場合のコメントである点に
注意していただきたい。現時点において、AzureやOnline、Liveなど、さまざまな
サービスが存在していてわかりにくいのだが、徐々に整理されてゆく方向にある。

とはいえ、Live Framework、特にMesh対応アプリがそのままの仕様で何かのサービスに
統合される保証はなく、また、少なくともしばらくの間は、開発環境が使えなくなることで、
特に、深いコミットメントをいただいてきた多くの開発者の皆様にご迷惑をおかけする
点については、日本でこの技術を紹介してきた担当として、真摯にお詫び申し上げたい。

なお、フォルダ共有サービスを公開ベータとして提供しているLive Meshはそのままの形で
存続となるので安心して引き続き評価・ご利用いただきたい。

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さて、ここからはタイトルのデルタガンダムって何だ?という方のために解説。

関係者としてだけでなく、同じ時代を生きる技術者の一人として贔屓目なしに
Live FrameworkおよびMesh対応アプリのポテンシャルを高く評価していたのだが、
やや時代を先取りしすぎていた感じは否めなかった。Google Waveが発表されて
からはその溝も埋まりつつあるが、アプリケーションが他のデバイスやユーザーと
状態を疎結合なアプローチでゆるやかに同期するというコンセプトは、具体的に
どのようなアプリケーション、ユースケースで活用すべきかを考える上で、
開発者にやや飛躍的な発想力を求めてしまっていた感もある。

以前、私がこの技術を、Live MeshとLive Frameworkの対比で、百式と対をなす
デルタガンダムとして紹介していたのは、あながち間違った見立てではなかったように、
今となっては思えてくる。

デルタガンダムは傑作機百式の開発過程で、可変機構のテストベットとなった機体だが、
グリプス戦役初期の、可変モビルスーツ技術が十分に発展していない段階において、
高いGが掛かった状態で変形すると胴体フレームに歪みが生じるというトラブルが発生し、
可変機としての開発は断念された。しかし、機体ポテンシャルが高かったため、
変形機構を排除した攻撃型モビルスーツ百式として完成している。

そして、グリプス戦役のU.C.0087から9年後、ユニコーンガンダムの舞台となるU.C.0096には、
型式番号:MSN-001A1デルタプラスとして量産を前提とした試作機が完成し、ネェルアーガマ
部隊に配備されている。

Windows Azureファミリーを離れ、CTP環境をクローズすることになったLive Framework
ではあるが、近い将来、蓄積された技術をつぎ込んで新たな先進的開発フレームワーク
としての姿を是非とも見てみたいものである。

今回の件に関して、私があらかじめ将来を見越していたわけではないのだが、ガンダムの
背景知識があると私のブログをより一層楽しんでいただけるかもしれない、という点は
ご理解いただけたのではなかろうか?

リックディアス、ゼータ、アーガマはどうなるのか?Mk-IIはいつ奪取されるのか
今後もAzureがらみの発表には、引き続き傾聴するようにしていただきたい。

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