Google Waveを使ってみた感想はカオスな雰囲気のAMX-015ゲーマルク
Google I/Oでの見せ方がうまかったのか、期待値が高すぎたのか、
まだ完成途上なのでこれからもっとスゴいものになってゆくのかわからないが、
正直イマイチというのが、Google Waveのアカウントを取得して喜び勇んで
使ってみた初日の感想だ。まわりの反応を見ても特に悪く言っているわけでは
ないのだが、前評判ほどの感動はなかったというあたりだろう。
あまり使い方を理解していない時点でブログ投稿するのも勇気がいるものだが、
タイムリーな話題なので触れておくことにする。
本国Google I/Oや先日横浜で行われたGoogle Developer Dayに参加した人に
Google Waveのアカウントが配布されている。今後どのような形で枠を広げて
ゆくのかはわからないが、アカウントをお持ちでない方は、しばらく開発者が
どう理解して、料理してゆくのかを見守るしかなさそうである。
ただ、現時点においてはアカウントを配布された側もイマイチ使い方がわからず、
カオスなチャットルームのような感じになっている。複数ユーザーによる同時編集
が可能であることやスレッドの中にいきなり地図やチェスゲームのガジェットが
貼り付けられるなど自由度が高すぎることも原因のひとつだろう。
新しいネット上のコミュニケーションツールというアプリケーションとしての
とらえ方をするのであれば、メールとも、チャットとも、メッセンジャーとも、
掲示板とも、twitterとも違う何かとしか言いようがなく、テクノロジーではない
他の何かの要因が牽引することで普及してゆくことになるのだろうか。
あえて技術的に見てこのアプリのおもしろさを指摘するならば、Google Docsや
スプレッドシートですでに実装されている複数のユーザーが編集している様を、
ほぼリアルタイムに他のユーザーの画面に表示する仕様を引き継いでいる点で、
スケーラビリティやリソースのロック制御をマジメに考えると大変そうな処理を
肩代わりしてくれているため、使いようによっては面白いことができるかもしれない。
正しい見方なのかどうかはわからないが、個人的にはGoogle Waveのアプリケーション
プラットフォームとしてのポテンシャルに期待したいと考えている。
サンプルガジェットの中に、チェスや倉庫番などのゲームが用意されているのだが、
これらは個人で楽しむのではなく、みんなでソーシャルに操作しながら進めてゆく
アプリのイメージをつかんでもらうためのサンプルなのだろう。文書作成や
画像編集など、複数同時編集ができることで使い方がより発展できそうな
アプリ領域では応用が利きそうである。
Google I/OのストリーミングでこのWaveのチェスを見たときに、
「これって、Live FrameworkのMesh Enabled Applicationに含まれる
ソーシャルクロスワードゲームと同じじゃない?」と感じた。
なんだそれは?と思われる方もいるかもしれないが、Meshアプリというのは
マイクロソフトがLive Servicesの一部として提供している包括的な開発環境
Live Frameworkに則って開発されるアプリの状態を同期する仕掛けを内包した
ソーシャルアプリケーションのことである。
(上図はブラウザのデスクトップで動くMeshアプリ。クライアント上でも同じように動く)
現在はCTP(ベータの前の開発コミュニティ向け提供)段階にあるため、
invitationがなければ使ってみることもできないが、私の手元にいくつか
invitation codeのストックがあるので、興味のある方はご連絡いただきたい。
また、モノをチラっと見てみたいという方は、Meshアプリに関してもReMIXの
私のセッションで紹介するので「ReMIXに優待して!」という方も、私宛に
ご一報いただきたい。メールでも、twitterでも、ブログコメントでも構わない。
メール:shisago@microsoft.com(@は小文字に)
twitter:shin135
それにしても…、WaveはIE8に冷たすぎる。
IE8でGoogle Waveにアクセスすると、対応ブラウザではないというメッセージの後、
それでも使ってみるというリンクをクリックすると、枠しか表示されず操作どころか
コンテンツを見ることもできない。最終的にはブラウザ互換性にも多少は配慮する
ことを期待したいが、使いにくかったり制限があったりするだけでなく、
何もできないというのはいささか問題と思われる。
また、Google Waveのコンソールのリッチアプリぶりをみるに、
HTML5でがんばるのもラボ実験的にはよいが、ここまでくるとFlashかSilverlightで
実装した方がよほど素直な気がする。プラグインがいらない、という以外に、
開発生産性が高いとか、メンテしやすいとかの利点があればよいのだろうが、
パフォーマンスなどの問題で実質的にChrome専用アプリになるのなら、
プラグインがいらないという利点も打ち消されてしまうだろう。
自分で自由にブラウザを選べない企業ユーザーは使うなということになってしまいかねない。
HTML5を旗印にAdobeやマイクロソフトに対して優位に立ちたいという思惑もわかるし、
現在の開発者向けラボ的なアプローチの段階ではこのような対応もわからないでもないが、
このサービスを世に浸透させたいと本気で考えるのであれば、動作環境にも配慮すべきだろう。
下位互換を気にしなくて良いやんちゃな立場は正直うらやましい限りだが、
もはやスタートアップとは言い難い大企業に成長したGoogleがいつまでその姿勢を
保てるのか見守りたいところである。
そして、今後の開発はもとより、これをどう使いこなして欲しいと考えているのか、
その方面の啓蒙活動にも期待したい。
未だにしつこく「ウェブはバカと暇人のもの」を往復の電車の中で読み返して
いるのだが、正直ヘコむ。(怖いモノ見たさが気になるWebビジネス関係者は
冷静な視点を意識し直すために、一読しておいた方が良いかもしれない)
Webおよびそれをとりまく社会やテクノロジーの明るい未来を切り開きたいという
思いは、GoogleもAdobeも、我々マイクロソフトも同じだろう。
外野から見るに、Google Waveにはそのポテンシャルを感じるところもあるので、
先鋒切り込み隊長としての役割を果たしていただきたいと思う。
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今のカオスな感じのGoogle Waveはこのままいくと強化人間用AMX-015ゲーマルクな予感。
洗練された正当派ニュータイプ専用機NZ-000クイン・マンサになれるだろうか。
パイロットが錯乱して敵味方なくメガ粒子を砲乱射しながら動き回るのだけは勘弁して欲しい。