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クラウド戦役をZガンダム視点でわかりやすく解説するブログ+時々書評。

実物大お台場ガンダムはカトキかガワラか。立ち姿をめぐる世代間論争

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カトキ立ちに1票。お台場に建造中の1/1実物大RX-78-2ガンダムの下半身が完成し、
現場の写真が各種メディアに掲載され始めている。この立ち姿について、
一部ガンヲタの間でカトキ立とガワラ立ちのどちらにすべきかの議論があった。

?な方のために説明しておくと、モビルスーツのたたせ方の話であり、
ガンダム、というよりガンプラの世界では古くからカトキ立ち派と
ガワラ立ち派の論争が絶えない。

カトキ立ちというのは、メカニックデザイナーであるカトキハジメ氏が好む
設定画におけるモビルスーツの立ち方のことである。

---(wikipediaからの引用)
彼の描くロボットの設定画では、両脚を肩幅程度に開き、左足の爪先を画面の右斜め下方向、右足の爪先を画面の左斜め下方向に向け、軽く両肘を曲げて拳を握り、胸を張っているポーズしか描かれない。この時の視点は真正面ではなく多少横にズレた位置であり、ロボットの顔はいわゆるカメラ目線である。
---

といわれても、なんのことやらと思われるかもしれないが、要するにガンプラを
かっこよくディスプレイできる経験則的なスタイル、と理解していただければよい。
カトキハジメ氏曰く「ロボットが最もスタイリッシュに見える素立ち姿」だそうだ。

一方、ガワラ立ちというのは、オリジナルのガンダムメカニックデザイナーである
大河原邦男の描く設定画にみられる立ち姿で、特徴としては脚を閉じてすっくと
立っていることがあげられる。

ガワラ立ちとの比較を含むカトキ立ちの解説についてはこちらが異常なまでに詳しい
肩幅との対比による黄金比的にみて、足の開き具合は37度が最適らしい。

カトキ立ち vs ガワラ立ちのどちらがよいか、という論点はいくつかあるのだが、
世代による違いに着眼した分析を紹介しよう。

「ガンダムを単なる人型ロボットと考えるカトキハジメらの(若い)世代は
見下ろし気味の視点で絵を描くのに対し、ガンダムを人間ドラマにおける
小道具と考える大河原邦男らの(ややシニアな)世代はあくまで、
人間の視点で巨大ロボットを見上げたときの視点で絵を描く」

そして、カトキ立ちがもてはやされている理由は、現在のガンダムビジネスが
模型、玩具主体で展開されているためというものである。大河原氏と同じ
世代であるMr.ガンダム、富野由悠季氏はどちらかというとカトキ否定の論調が強く
「俯瞰で描いてしまうのは、コンピュータ作業ばかりして身体的感覚を養わないからだ」ともおっしゃられている。

モビルスーツというものにどういう様式美を求めるかが世代によって違い、
ガンプラ原体験のありなしが決定要素のひとつになっているという議論である。

私の仕事上の経験でも実は同じような悩みがある。講演を行う際に、来場者層を
ざっくり把握する基準として「スーツ比率」を用いている。ERPやWebデザインなど
偏りが読めるテーマならよいのだが、「クラウドコンピューティング」周辺となると、
幅広い方々が興味を持っているため、集客対象やファシリテーションによって
スーツ組とギークの比率にバラツキがあり、どちらにより訴求する内容にするかは、
当日会場でキャリブレートが必要なのである。

念のため先に断っておくが、どちらにも敬意を払っている。
勝手にくくった呼び名を不快に思われた方がいればご容赦いただきたい。

さて、スーツ組というのは、サラリーマンエンジニアのことを指している。
ステレオタイプ的なペルソナは大手電機メーカー系ソフトウェア子会社勤務、
文系の4大卒、SEやPMと呼ばれるロールで、30代半ばから40代くらい。
セミナーの内容はあくまで社内向けの業務報告として提出するものであり、
おそらく外部のブログなどで実名で発言することは禁止されているか、
暗黙的にしてはいけない不文律があるような人たちである。クラウドがもたらす
パラダイムシフトでSI'erの仕事がなくなるかもしれないという危機感から、
使命感を持ってクラウドの情報収集をしているという方もいるだろう。

対するギークは、いわゆる「はてなー」な雰囲気で、コンピュータサイエンス
専攻の院卒、あるいは専門学校出身で、手を動かしてコードを書くのが好きかつ得意。
バーチャルなコミュニケーションを得意とする20代で、セミナーの内容は
はてぶやtwitterなどで報告する、自由な雰囲気の人たちであり、ライトニング
トークなどで話す側の立場になってもセミナーにスーツを着てくることはまずない。
クラウドに技術的なフロンティアを感じ、何か楽しいこと、新しいことができないかと
ワクワクしている方が多いように思われる。

このスーツ組とギーク、どちらもが「クラウドコンピューティング」というものに
興味を持っている。実際には無意識のうちにもう2段階くらい、スーツ組でも
技術 vs ビジネス、ITベンダー vs ユーザー企業などの軸で、見た目からの
プロファイリングを行った上で(持ち前の洞察力のおかげでだいたいわかる)、
誰を中心に、どこまでカバーした話にするかを考えているつもりである。

ただ、残念なことに、現段階においてスーツ組とギークが交わって議論やビジネスを
仲良く進めてゆけるような場は限られている。互いに理解し合うことができれば
よいチームができそうなものであるが、異なる文化と接するのは難しい。
しかし、クラウドコンピューティングによるパラダイムシフトは、この接点を
生み出す可能性を秘めており、分け隔てない協業が進むことを切に願っている。
たとえば、丸山先生が主催されている丸レクやクラウド研究会は、絶妙なバランスで
運営がうまくいっている好例といえるだろう。機会があれば参加して内容を理解
するだけでなくその雰囲気を感じ取っていただきたい。両者をうまく取り持つ
ことができるなら、そのビジネスチャンスは小さくないだろう。

さて、お台場ガンダム。実際に建造中の下半身Bパーツをみてみると、
カトキ立ちとガワラ立ちの若干中庸的な雰囲気がある。
おそらくグランドレベルから見上げたときのカッコよさを大事にしつつ、
18メートルの建造物を安定して建たせるための実用的な面からの工夫が、
カトキ立ちのような肩幅に足を開き、前後をズラした構成になっているのだろう。
37度にこだわる必要はないだろうが、建造を手がける乃村工藝社の手腕に期待したい。

個人的な興味としては、上から見下ろすとカッコイイといわれ続けてきた
カトキ立ちを、1/1実物大で実際にやってみて、下から見上げるとどうなるのか、
検証をしてみたいものである。7/11の完成が楽しみだ。
ザクIIF型3機の襲撃があれば完成イベントのサプライズ演出としては
完璧すぎるのだが、期待しすぎだろうか。

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