ハイテクとローテクの狭間で。コレジャナイロボにWindows7を搭載してみると
最近POKENの話題が多い。ソーシャルな具体的活用例や可能性を考えるのも楽しいが、
ガジェットとして、デバイスとしても気になる存在である。
POKENを分解してみると、ボタン電池と非接触型のセンサーおよび若干のメモリで
構成されているように見受けられる。USBでPCに接続するユーザーエクスペリエンスを
とっていながら、USBでは充電できないし、Suicaのようにタッチの瞬間だけ磁気で電気を
回路に流し、電池を不要にしているわけでもない。モノ自体はローテクなデバイスであるが、
ソーシャルな仕組みの新鮮なイメージをうまく使って話題作りに成功している。
ローテクなデバイスで話題作りに成功した例として記憶に新しいのは
自爆ボタンやコレジャナイロボを世に出しているザリガニワークス殿だろうか。
モノアイだったり赤かったりキャラが仮面をかぶっていたり、シャア専用ザクを
モチーフにしながらガンヲタの私の物欲を1ミリも刺激しない
KTK-01コレジャナイロボ(敵・赤)は商品コンセプト狙い通りの仕上がりといえる。
一方、ハイテクなロボとして気になるもののひとつに、NECのPaPeRoがある。
同社の音声・画像認識技術を活用したコミュニケーション用ロボットである。
実はこのPaPeRo、なんとWindows XPで動いているのだ。
(なので、クラウド含めたデバイスMeshに組み込むこともそれほど難儀ではないはず)
WindowsはPCかサーバー向けのOSという固定観念があるが、カーナビや家電など
さまざまなデバイスに搭載されているのである。
Windows7では、デバイスとの関係性をさらに深めようとしている。
昨年秋にロサンゼルスで開催された開発者向けカンファレンスPDC2008会場では、
Windows7のプレベータ版を配布していたが、同時にSensor Development Kitなる
ものも参加者に提供していた。Freescale社のデバイスなどが搭載された
実験用のボードで、USB接続によりPCからの制御が可能になる。(関連記事)
キットにはいくつかのデモアプリケーションがソースごと含まれている。
DiagnosTool:動作確認用アプリ。アンビエントライトセンサー、加速度センサー、タッチセンサーの状況を確認
MarbleSample:加速度センサーを使ったボールころがし(XNA Studio必要)
MSDNReader_LightAware:光度の変化で文字の大きさが変わるMSDNReader
AmbientLightAware:光度の表示
といった挙動を確認できるようになっている。
Windows7のRC版でどこまでが含まれるか現段階では定かではないが、
SDKのヘッダファイルには以下のセンサー種別が定義されている。
位置センサー: GPS、STATIC、LOOKUP、TRIANGULATION、OTHER
環境センサー 温度、大気圧、湿度、風速、風光
モーションセンサー: 加速度、MOTION DITECTOR、ジャイロ、スピード計
方向センサー: COMPASS,傾斜、距離計
電子センサー: 電圧、電流
機械センサー: BOOLEAN、MULTI VALUE、FORCE、SCALE、応力、歪
光センサー: AMBIENT LIGHT
スキャナー: RFID、BARCODE
PaPeRoがWindows XPからWindows7になり、これらのセンサーを搭載し、アプリから
比較的簡単に制御できるようになれば、さらにいろいろなことができるようになるだろう。
Windows7搭載のコレジャナイロボ(ハイテクバージョン)の発売にも期待したい。
どんなハイテク部品を搭載しようが、魅力的な商品にする肝は結局センスであると思う。
ザリガニワークス殿ならば、Windows7のポテンシャルを意外な角度で引き出した
脱力系ロボに仕上げてくれるに違いない。
お約束として赤いなら3倍速く見えるようにチューンして欲しいものだ。