オープンクラウド陣営がこの時期にマニフェストを出した意義がわからない件
マイクロソフトとAmazonが参加しないという事実とともに発表されて以降、
Googleもサイン後に撤回を表明し、にわかに議論が活発化しているので
オープンクラウドマニフェストについてコメントしておきたい。
あくまで個人的な見解であるが、PaaS的クラウドの相互互換性を議論するには
まだ時期尚早な気がしている。まずはじめにやるべきことは、それぞれの陣営が
「我こそ正義」との信念の元自分たちに見えている範囲の顧客やパートナー向けに
多少猪突猛進でもかまわないので急激な立ち上がりでテクノロジやビジネスモデルを
進化させることにある。そうでなければどんな革新的技術もキャズムを超えられはしない。
相互接続性を担保する取り決めだけならまだしも、そもそも、相互互換性を実現する
業界標準が標準化団体の活動だけで和やかに決まることはまれである。
トム佐藤氏著の「マイクロソフト戦記」に、PC黎明期の状況が描かれている模様。
実は私もまだ読んでいないのだが、日経コミュニケーション菊池氏の書評によると
世界標準を作るために必要な能力を「技術の波を理解する力」と
「適切な関係者に売り込む力」に集約して述べているようだ。
WindowsをPCの業界標準に発展させてきた功労者の主張と考えると説得力がある。
とはいえ、事を急いてこの取り組み自体が闇に葬られるのはもったいない気がしている。
長期的に考えれば健全な技術・業界発展のために継続的な対話は重要である。
焚きつけている特定個人がいるとは思えないが、もし本気でオープン化を目指したい
という強い信念に基づいた行動であれば、時の流れをもう少し考慮した方が
よかったのではないか。さらに深読みすると、離反組がでることを想定してあえて
この時期にマニフェストを発表し、賛同が得られなかったという状況を作り上げたかった
誰かが仕組んだことなのか…?
Why now? がわからない。