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ケンブリッジ語録#32 プレップしまくってプロセス固めて、一旦忘れろ

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僕が勤めるコンサルティング会社、ケンブリッジには、厳しいプロジェクトの現場で生まれてきた「語録」がある。多くのコンサルタントの琴線に触れ、成長を促すカンフル剤になってきた。現場感がみなぎるエネルギッシュな語録を書き留める。
今回はこれ。

プレップしまくってプロセス固めて、一旦忘れろ

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ケンブリッジに転職してきたころ・・・。先輩コンサルタント達はお客さんとの会議を見事にファシリテートしてピシャリと着地させていた。ケンブリッジは特定の知見を持ったコンサルタントであると同時に、プロのファシリテーター集団でもあった。先輩たちのファシリテートはそれは見事なものだった。

そんな先輩たちを見ていたので、僕も会議をスマートにファシりたかった。先輩たちの様にプロフェッショナルになりたかった。



"会議の準備"はマジで大事

当時、七転八倒しながらファシリテーションのツボを押さえていった。そして「準備」が本当に大事だと気付いた。だから、当時の僕は会議の準備にとても力を入れていた。
会議の流れを想像して、起きそうなこと言われそうなことを先読みして・・・。もちろん対策も考えて、これならうまくいきそうだってイメージを作ってから会議に挑んでいたのだ。

自分で言うのもなんだが、事前に想定した流れに乗って議論が進むと会議は面白いほど上手く行った。

ピシャリと結論が出るし、短時間で終わる。しかもイメージ通りに行くと気持ちいい。やっぱり準備は大事だ・・・!

※準備のコツや大事さについては <ダメ会議を変える!会議の基本動作⑦ 「"4のP"で会議を準備せよ」>で少し触れた。



でも準備しすぎると"固執"してしまう・・・

ところが、準備すればするほど、準備したプロセスに乗せよう乗せようと思ってしまう時期があった。

だって超考えたんだもん。誰よりも真剣に考えたんだから・・・。その通りに進めたい!・・・でも、実際に会議になるとその通りの流れにならないことも間々ある。

想定外の事態に直面すると、僕の頭の中はこんな感じになっていた。
(このプロセスなら想定通りなのに!上手くいくのに!・・・でも、ああ、違うプロセスになっちゃいそう・・・。それは想定外で・・・。準備できてない領域で・・・)

で、自分の進め方に固執してしまい、「自分の考えたプロセスに乗っかって議論して欲しい」のか、「みんなが納得行く結論を導きたい」のかよくわからなくなってしまった。

準備しないとグダグダな会議になる。でも準備しすぎると考えた進め方に固執してしまう・・・。このさじ加減が難しい。何度も失敗を繰り返してようやく対策が分かった。



だから、しっかり準備した上で、"一旦忘れる"

対策は「一旦忘れる」こと。これしかない。

具体的には、会議の主催者としてガッチリ準備して会議のゴールもプロセスも考えた上で「第三者的な立場に移る」ということだ。

「準備は他の誰かがやってくれた。まぁせっかく考えて準備してくれたんだし、ひとまずこれに乗っかって会議を進めてみるか」くらいの感覚でちょうどいい。

ファシリテーターはいつだって「ゴールを達成するための最善の策」を考える立場じゃないとね。



~人事担当 影さん(元コンサルタント)のコメント~

ああこれ、素晴らしい語録ですね。

ゴールはそんなにブレないけれども、プロセスは思い通りに行くことってあまりないですよね。むしろ、思い通りにいくときは却って怪しみます。お客様を置いてけぼりにしているのではないかと。

大切なのは、「準備」したとおりのプロセスで進めることではなく、ゴール達成のために欠かせないポイントをしっかり理解することで、それを押さえておけば、プロセスは柔軟に変えられますよね。

でも、そのポイントを理解するためには、ひと通りのプロセスをPrepしないといけないわけです。だから、Prepはするしかないんだけど、それはプロセスにはめるためではなく、ポイントを理解するためだと。

これ、いただきます。

~営業 村上さん(元コンサルタント)のコメント~

なんとドンピシャな語録。
最近気をつけてることはまさにこれです。ちなみにプロセスだけでなくて準備で得たコンテンツも、一旦忘れるようにしてます。参加者から良いアイデアが出たらそれに乗っかる。
準備で得たプロセスやコンテンツも、参加者から良いアイデアを引き出すための判断材料だと割り切ってます。


~2年目コンサルタント Aさんのコメント~

毎回語録を見るたびに100回ぐらいうなずきたい気持ちに襲われております。

自分が考えたプロセスに固執するな、と先輩たちに何度言われているか分からない...でもやってしまう...。
亮さんが言っている通り、「超考えたもん!」という気持ちと、「このまま、考えたプロセスとは違うプロセスにのっかって、ゴールが達成できるのだろうか」と不安になるあまり、どうしても考えてきたプロセスに乗せたくなってしまう...。

そのためにはゴール達成のためのポイントを押さえるってことなんでしょうけど、難しいです。本当は枝葉のことが大事なように思えてしまって、本質を捉えきれない。
ポイントを的確に押さえるために私が試みていることとしてはプロセス通りにいかないパターンを想像してみて、その中でもどうゴールを達成するか考える。
「こう言われたとして、ゴール達成できない?」
「ここの順番が入れ替わるとして、達成するためにはどうする?」
を考えるうちに、「達成するためにはどうする?」の共通項が見えてきて、それがゴールを達成するためのポイントなのかなと、おぼろげながらにやっています。


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