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②ケンブリッジはどんな組織を作ろうとしているのか?

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前回の記事で「①ケンブリッジは何を目指しているのか?」という質問を取り上げた。
大雑把にまとめるとこんな感じだった。

ーー
アンチコンサルティングファームの姿勢を貫くのがケンブリッジ
・タスクの遂行ではなく「変革全体」を担う
・先生型ではなく「ファシリテーション型」でプロジェクトを推進する
・自社売上ではなく「変革の成功」に責任を負う

キーワードは
・「顧客にとって正しいこと」を真剣に追求する
・プロジェクトの常識を根こそぎ変える
・コンサルいらずの世界を
ーー
これは伝わったのではないかと思う。今回は、次によくいただく質問を取り上げたい。


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ケンブリッジはどんな組織を作ろうとしているのか?

「どうやって社内を束ねていくのか?」「自我の強いコンサル達をどうやって掌握するのか」という質問をいただくことがある。確かに、組織作りは経営の大事な仕事だ。だが・・・

僕らは「束ね」もしないし「掌握」もしていない。
社員は管理の対象ではない。会社のために社員がいるのではないのだ。
言うまでもないが、社員(と顧客)のために会社がある。

だから主語は社員。
・社員が、力を存分に発揮できる
・社員が、生き生き働ける
・社員が、顧客に全集中できる
そんな環境を作りたい。僕はこれを「社員を迷わせない環境」と表現している。

反対に「社員が迷う環境」はこんな感じ。
・ケンブリッジの売上が下がる提案をしたいが、本当にこんなこと提案しちゃっていいんだろうか?
・絶対A案で行くべきだと思うけど、社内の各部に根回しが必要かな・・・
・なんで経営陣はあんな判断したんだ?全く意味がわからない
・実はxx案件に関りたいのだが、言い出すのも怖いな
迷ってる。これでは力は発揮できない。気持ちよく働けない。これじゃない。

ケンブリッジの社員は、めちゃくちゃ能力が高い。
社員が迷わず、生き生きと、やりたいことをやってくれれば、経営陣の想像など軽く超えてくれる。僕らが考えもしなかったすごいことが起きる(実際起きてる)。管理も掌握も全くいらない。
そんな組織、めっちゃよくない?

5つの要素で「社員を迷わせない状態」を作る

経営陣の仕事は、管理ではなく「社員を迷わせない状態」を作ること。
とは言えこれは、言うほど簡単ではない・・・。難しいのだが、僕は5つの要素を押さえるようにしている。

1.考え方のベースを示す
2.情報格差を減らす
3.対話する
4.「やりたい」を後押しする
5.良質な機会を提供する
この5つだ。一つずつ解説したい。

1.考え方のベースを示す

社員が迷わない状態を作るには、ベースとなる考え方を共通言語として持っておく必要がある。
何をどのくらい、どんなふうに大事にしている組織なのかわからなかったら、怖くてしょうがない。自分の判断で、伸び伸び行動するためには「暗黙の価値観」が揃っていないといけない。
トップの命令が絶対なのか、反論OKなのか、組織によって価値観は全然違う。例えば、絶対的なトップダウンの会社なのに、それを全く知らず、新入社員が無邪気な気持ちで社長に反論してしまったらどうなるか...。
トップダウンが悪という話ではなく、組織の文化や価値観の話。これが理解できて体に馴染んでこないと、普通は怖くて行動できない。だからこそ「考え方のベース」をきちんと共通言語にする必要がある。

ケンブリッジでは、4つのドキュメントで考え方や価値観のベースを言語化している。
・4つのビジョン
・9つのカルチャー
・37項目の経営方針書
・2万字のケンブリッジガイドライン(社内的には「泳ぎ方」と呼称)

「我々はこういうことを大事にしてるよね」「こういう時は、こんなことを大事にしながら意思決定することが多いよね」「この制度は、こういう意図で運営されているんだよね」といったことをかなり頑張って言語化している。

ざっと読めば、なぜこういう意思決定をしているのか、なぜこういう振る舞いをしているのかが(ある程度)分かるはずだ。ベースとなる考え方が理解できていれば、自由に振る舞えるようになる。

これらは「憲法」ではなく、あくまで「現時点でのベースとなる考え方」である。変える提案も超絶welcomeだ。実際、経営方針書は毎年見直しているしね。

2.情報格差を減らす

次に大事なのは、全員が同じ情報を見れるようにすること。情報の非対称性を減らすという言い方もする。「知らない」が生みだす不信感・疎外感は極めて強烈だ。
経営陣しか見えていない情報が多いと、なぜそのような意思決定をしたのかわからず、不満と不信感が生まれるだろう。部署間でも同じだ。内情がわからない部署に対しては、敵対心、不信感、不満が生まれやすくなる。
同じ情報が見れて、ベースとなる考え方が揃っているなら、自然と同じ結論にたどり着くはずだし、不信感も生まれづらくなる。(実際はそんなにうまくいかないが)

ケンブリッジでは、
・経営会議はフルオープン
・経営会議の議事録も誰がどんな発言をしたのかがわかる詳細なものが展開
・財務情報もオープン
・引き合いの状況、各プロジェクトの状況などもオープン
(守秘義務に触れない範囲、かつ、人の体調などセンシティブな情報は除く)

全員が全部を見ているわけではないが、「情報にアクセスできる」のが重要だと考えている。

3.対話する

社員との対話を増やすことで、1.2.だけで補えなかった社員の不安や不満、モヤモヤを拾いたい。
これは経営-社員という関係だけでなく、社員ー社員の関係でも同じだ。多くの会社で「対話を大事にしてます」というが、1.2.が揃っていないなら、一方的な尋問になってしまう。
1.2.が揃った状態での対話に意味がある。対話によって1がアップデートされることもしばしばある。

ケンブリッジでは、
・毎週マネージャー陣が書き込む、WeeklyReport間での会話
・毎月1回の全社ミーティング
・2か月に1度のカエルバー(経営メンバーとの飲み会)
・年1回の1泊2日オフサイトミーティング
・不定期にやっている全社対面イベント
などが対話の場になっているし、かなり意図的に対話を仕掛けるようにしている。
(個人的にはそれでもまだ十分ではない気がしている...もう少し増やしたい)

4.「やりたい」を後押しする

1~3が回るようになると、社員から自然と「これやりたい!」が出てくる。
内発的動機から生み出される「やりたい!」はいろんな意味で超強力だ。ケンブリッジにとって最高のエネルギー源といってもいい。これを大事にしない手はない。
だが、意識して拾い上げて、後押ししないと、ついつい黙殺してしまう。だから4つめの項目としてわざわざ上げている。

ケンブリッジでは
・ワークアウト(やりたいこと、提案したいことを経営メンバーの意思決定にかけて、その場で決めてしまう仕掛け)
・プラスワン(自分がやりたいことを最大20%の範囲でやれる制度)
・スタッフィングリクエスト
・バイスプレジデント面談

などの仕掛けで極力拾い上げるようにしている。本当はこんな制度に頼らなくても声を上げてくれればいいのだが、制度があればハードルが下がるらしい。

5.良質な機会を提供する

「やりたい」が出てこない社員もたくさんいる。
「与えられたプロジェクトで、最大限お客さんに貢献する!それが私のやりたいことです!」という社員も多いし、そういう姿勢も僕は好きだ。そういうプロフェッショナリズムが溢れる人にこそ、良質な仕事、成長の機会を提供したい。

だから、周囲が勝手にあれこれ考えて、当人にとって良い機会、良質な経験を積める機会を(お節介かもしれないが)提供できるように努力している。(必ずしも実現しきれているわけでない...。努力、というのがポイント)

これは毎週行われているスタッフィング(アサイン先を決める会議)で時間をかけて議論しながら決める。

◆迷わせない環境が可能性を広げる

これら5つの項目を大事にして、改善してくことで、「迷わせない」環境を維持できるんじゃないかと考えている。その結果、優秀なケンブリッジの社員の力が最大限に引き出される。僕の思いもよらなかったすごいことが次々実現されていく。

経営陣の器が会社の限界になるようなつまらん組織じゃなくて、勝手に成長していく組織にしたい。

正直、良い状態が維持できているとは言い切れない。まだまだこれからの部分もある。だけど、理想を追求できるポテンシャルがケンブリッジにはあるんですよね。
そして、規模に関係なくこの状態を維持出来たら・・・とんでもないことが起こりそうな予感がする!

あなたにとっての理想の組織はどんなものだろうか?ケンブリッジのちょっと変わった組織作りをどう感じるだろうか?もし共感度が高いなら、ぜひ応援してもらいたい。理想を目指すって大事ですよね。

HP:https://www.ctp.co.jp/strong_point/
YouTube:https://www.youtube.com/c/ctpchannel

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【余談】逆に多様性が失われるのでは?と心配されることもあるが、全くそんなことはない。
4つのドキュメントには基本的な考え方(原理原則)しか書いてないから。
例えるなら、扇子の要の部分だと考えている。扇子の根っこの部分は重なりあって共通しているけど、扇の先端に行くと、めちゃくちゃ広がりがある。
そんなイメージ。

次回は「③ケンブリッジであなたがやりたいとはなに?」というテーマ。
ケンブリッジで「僕個人がやりたいこと」もあるので書いてみる。

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