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日本における中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討状況について

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財務省は2024年1月26日、「第1回CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する関係府省庁・日本銀行連絡会議」を開催しました。

今回は、この中から、日本における中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討状況についてとりあげたいと思います。

経済・社会のデジタル化が急速に進む中、キャッシュレス決済サービスの利用が広がりを見せています。2019年のグローバル・ステーブルコイン構想などを契機に、諸外国では中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討が本格化しています。これらの国々はまだ発行を決定していませんが、積極的な調査研究が進められています。

日本におけるCBDCは、スマートフォンアプリやカードを用いた決済手段として考えられており、日常取引に幅広く利用可能なデジタル通貨です。利用者にとっては、信用リスクがなく、安全で即時の決済が可能な点が魅力です。

デジタル通貨の導入に際しては、利便性の向上や、既存の民間決済手段との共存・役割分担、クロスボーダー決済の課題への対応、プライバシー確保など、様々な側面が考慮される必要があります。今回の有識者会議での議論は、CBDC導入の可能性を探るものであり、制度設計の主要論点に関する基本的な考え方や選択肢を明らかにすることを目的としています。

制度設計の大枠の整理に向けた考え方

国民生活・経済取引や決済環境は国や地域によって多様です。CBDCの目的・意義や検討動機もそれぞれ異なるため、日本の実情や利用者のニーズに合わせた多角的な検討が重要です。

以下の主要論点が考慮されます。

日本銀行と仲介機関の役割分担:
多様な利用者ニーズに応えるため、どのように利便性の高い決済手段を提供するか。

CBDCと他の決済手段との役割分担:
決済システム全体の安定性と効率性を確保するための共存と役割分担。

セキュリティの確保と利用者情報の取扱い:
常時機能を保ちながら、プライバシーへの懸念にどう応えるか。

その他の考慮事項:
法令面の対応、コスト負担のあり方、クロスボーダー決済への対応。

今後の展望

今後、財務省は関連省庁や日本銀行と連携し、CBDCの制度設計の大枠を整理します。もし国民的議論を経てCBDCの導入が決定された場合、迅速な発行が可能となるよう、諸外国の動向や技術的進展を踏まえた具体化と必要な見直しを行います。CBDC導入に当たっては、社会課題の解決策やセキュリティ、プライバシーの確保方法について、国民に分かりやすく説明することが求められます。また、関連事業者やステークホルダーからの意見を踏まえた議論の積み重ねも重要です。

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主要論点のイメージ
出典:財務省 第1回CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する関係府省庁・日本銀行連絡会議 2024.1

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