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次世代技術を活用した新たな電力プラットフォームの在り方

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経済産業省は2018年10月25日、「第1回 次世代技術を活用した新たな電力プラットフォームの在り方研究会」を開催しています。

開催背景は以下のとおりです。

電力ネットワークが直面する課題は、系統需要の伸び悩みによる収入の低迷、系統設備の高経年化対策の本格化に加え、大規模災害対応を含むレジリエンスの強化、再生可能エネルギーの「主力電源化」への対応など、多様化・複雑化しています。

こういった背景もあり、既存系統を最大限に活用しつつ(日本版コネクト&マネージの具体化等)、安定供給性、環境適合性、効率性(3E)の更なる高度化に向け、新たな電力ネットワークへの転換が必要な状況にあるとしています。

テクノロジーの進展と、電力ネットワーク分野にも新たなビジネスの出現の兆しが表れているところ、これらが、

①安定供給:系統の IoT 化・データ活用による需給管理の高度化
②環境適合:EVや蓄電池などの新たな分散リソースによる低炭素化
③経済効率:アグリゲーションや P2P 等の新ビジネスによる多様・低廉な電力供給

へ貢献することが期待されており、既存の電力ネットワークの高度化を含め、これらの実現を支える新たな基盤(プラットフォーム)が求められるとしています。

電力ネットワークへの投資は巨額・長期であり不可逆性が高いことを踏まえれば、これらの課題や論点については、2030 年以降も見据えた中長期的視点に立ち、早急に整理を行っていくことが必要とし、「次世代技術を活用した新たな電力プラットフォームの在り方研究会」を開催しています。

本研究会では、これらの実現に向けた課題や論点について、テクノロジーや新ビジネス等の新たな知見も得るべく、電力以外の有識者やヒアリングも交え、様々な視座から検討を行うとしています。

検討すべき論点の例では、

テクノロジーの進展による"3E※"の更なる高度化や電力ネットワークへの貢献と新たなビジネスモデルの可能性
※3E;Energy Security(安定供給)、Economic efficiency(経済効率性の向上)、Environment(環境への適合)

・IoT、データ解析、AI、Blockchain技術など、近年テクノロジーは目覚ましい進展を遂げている。こうしたテクノロジーの進展が、系統のIoT化や分散型リソース普及による低炭素化、エネルギーアグリゲーションビジネスによる多様・低廉な電力供給を始めとして、エネルギー政策における"3E"や電力ネットワークへどのような貢献をもたらす可能性を秘めているか。
・とりわけ配電サイドにおいて、EV等の他産業との連携や分散型リソースの普及等により期待されるプラットフォームビジネスを含め、どのような新たな付加価値とビジネスモデルが創出されるか。
・また、データの扱いや計量の在り方を含め、新たなビジネスモデルの実現に資する環境整備として何が必要か。

テクノロジーの進展等に対応する新たな電力ネットワーク事業の在り方

・テクノロジーの進展や再生可能エネルギーの大量導入、大規模災害等の外部環境変化に対し、電力ネットワーク事業に求められることとは何か。人口減少や住宅用PV等の自家発の増加に伴う系統需要の伸び悩み、レジリエンス強化の必要性の中、持続的な電力ネットワーク事業を実現するためには、どのような変革が必要となるか。託送料金制度を始め、どのような環境整備が必要となるか。
・電力ネットワーク事業の効率化・コスト削減に資する取組を促進するための仕組みをどのように構築すべきか。調達等における広域化、共通化・共同化を含め、効率化・コスト削減を実現するためにはどのような取組を後押しすべきか。
・テクノロジーの進展等により、電力ネットワーク事業についても、グローバル展開を含め、どのような新たなビジネスの可能性があると捉えるべきか。

の2点をあげています。

2018年10月30日には、「第2回 次世代技術を活用した新たな電力プラットフォームの在り方研究会」を開催し、特にデータ分析/活用に焦点を当てた検討を行っています。

配電①(データ分析/活用)では以下のとおり整理しています。

<データ分析/活用の可能性>

 AI・IoT等の急速な情報技術の進展は様々なデータ活用の可能性が指摘されるが、電力分野について、具体的にどの電力データが、どのようなビジネスモデルの実現等に貢献し得るのか。

 電力分野データ活用のニーズや可能性について、電力分野に限らず、どのような形で収集・議論するべきか。

<データ活用促進のための環境整備>

 計量制度に加えて、どのような環境整備が具体的に求められるか。制度として考えていくためには、当該データ活用が社会全体へ及ぼす様々な影響として、個人情報保護など、どのような点を考える必要があるか。

 データは社会の公共的な価値とも考えられる。他方で、電気事業から生まれるデータについてはその取扱いに留意する必要があると思われるところ、取扱可能なデータをどのように仕分けし整理していくのか、またデータの種類と公共利用の是非や、規制と非規制の仕分け方などをどう考えるか。

 データ利用に関する制度上の規制の在り方につき詰めるにあたり、どのような論点を整理すべきか。

スマートメーターのデータの活用ニーズでは、スマートメーターから得られる需要家の電力使用量データについては、電気事業者のみならず、自治体や他分野の事業者等においても活用ニーズがあると考えられるが、活用方法に応じて、必要な情報(①個人情報、②匿名加工情報、③統計情報)は異なっています。

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出所:第2回 次世代技術を活用した新たな電力プラットフォームの在り方研究会 2018.10

「統計化」したスマートメーターデータについては、例えば、以下の利用が考えられるとしています。

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出所:第2回 次世代技術を活用した新たな電力プラットフォームの在り方研究会 2018.10

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