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知られざるインターネットの巨人『アカマイ』

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アカマイは、2014年7月現在で、92ヶ国、1200以上のネットワーク内に配置された15万台以上のサーバーを所有し、それぞれの拠点(エッジサーバー)から近いユーザに対して、分散してデータを配信する世界第1位の超大規模CDN(Contents Delivery Network)事業者です。

また、世界23ヶ国、49都市に拠点を設ける4300名以上の有業員、2013年度の年間売上総額は15億800万ドルの世界的な大企業であり多国籍企業です。

アカマイの発表では、

世界の15%から30%のWebトラフィックを配信している

と公表しているように、驚異的な数値で世界全体を覆うネットワーク環境を保有しており、現在のインターネットに大きな影響力を持っています。

一方、ISP事業者などはその巨大さを実感できる一方で、一般ユーザは、その存在をあまり意識することはありません。その理由は、アカマイのユーザは新聞社やテレビ局、ヤフーなどのように法人向けユーザを対象としている事業者であり、あまり一般消費者が目に触れる機会がないためです。

多くの事業者はアカマイのCDNを利用することで、最適な経路による効率的な配信が可能になり、コスト削減などにもつながります。特に震災のときや、イベントなどでWebにアクセスが集中する際に効果を発揮します。

小川 晃通さんの著書「アカマイ―知られざるインターネットの巨人」では、これまで紹介したアカマイの事業概要のほか、アカマイの距離×経路などによる最適配信やインターネット技術などについてもわかりやすく解説し、グーグルなどのハイパージャイアンツに代表されるように、インターネット配信を取り巻く市場環境などについてもまとめられています。

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アカマイは、CDN事業者というイメージが強いのですが、「CDN事業者のみ」というイメージからの脱却を図っています。アカマイはCDN事業のために構築した従来のプラットフォームを活用した新事業を展開しており、具体的には以下のサービスなどに取り組んでいます。

  • セキュリティ系ビジネス
  • Webアクセラレーション系のビジネス
  • ISP以外のネットワークへのアカマイサーバーの導入
  • IPv6
  • P2Pサービス

アカマイでは、2000年から2014年までに15社の企業を買収しているなど、CDN事業を強みとしつつ、事業拡大を進めています。特に、注目されるのがセキュリティビジネスで、外部からの攻撃をアカマイのエッジサーバで効果的に防御することで、オリジンサーバーを保護することができます。

グーグルやフェイスブックに代表されるようなハイパージャイアンツ、ISP事業者、クラウドサービス事業者、そしてアカマイのようなCDN事業者など、インターネットを取り巻く環境は、さまざまな事業者によって自律的分散環境でビジネスが成立しています。

小川氏は、最後に

インターネットはどこに行くのでしょうか?

と、投げかけられています。

最近では、IoT(Internet of Things)に代表されるように、パソコンやスマートフォンだけでなく、様々なデバイスやサービス、コトやモノがインターネットにつながる時代に進んでおり、インターネットの存在は益々重要なものとなる一方で、空気の存在としてより身近なもので存在として気づかない状況となっていくでしょう。

「知られていないけどすごい会社」のアカマイの存在を頭の中で整理することで、インターネットを取り巻く世界とこれからについて、改めて勉強する機会となりました。

 

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