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ビジネスと社会に貢献する人間の知性を高める「スマートマシン」~Smart Machines 出版記念セミナーに参加して

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2014年7月14日(月)、東京コンファレンスセンター・品川で「Smart Machines 出版記念セミナー」が開催され、参加をしてきました。

最初に

Smart Machines : Augmenting Human Intelligence for Business and Society
(ビジネスと社会に貢献する人間の知性を高めるスマート・マシン)

というテーマで、IBMコーポレーションコミュニケーション・ストラテジー&コンテンツ・クリエーション担当で「スマートマシンがやってくる」の著者でもあるスティーブ・ハム 氏より基調講演です。

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ワトソンに関する動画を紹介し、学習するマシンで教えることもできるワトソンの紹介から始まりました。ワトソンは、IBMの初代の社長のワトソンが1914年に立ち上げ、象徴的な存在として名前をつけています。

新しいコンピューティングの時代が到来し、大量のデータからパターン認識して学習するマシンであるワトソンが最初のコグニティブコンピューティングの中心的な存在であると指摘しています。ワトソンの研究機関は、世界中10ヶ国で研究しており、そのうちに東京にも拠点を構えています。

コグニティブコンピューティングにより、企業や政府、科学者、個人もビッグデータを活用する時代になっおり、ブレークスルーの時期を迎えています。

書籍「スマートマシンがやってくる」は、ミステリアスであったり、明るい未来の展望を描くために、コグニティブコンピューティングよりも、いろんな機能を包含するキーワードである「スマートマシン」で表現しています。

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コグニティブコンピューティングは、マシンとビッグデータと融合し、人間の意思決定を支援し、人間との対話を実現するものです。機会が人間に適合することによってより使いやすくしています。スマートマシンは、AI=人工知能ではなく、IA(Intelligence Augmentation)=知能拡張であり、人間の知恵を拡大、強化するものであると位置づけています。

人間をもっと成功するもの、ビジネスを成功させるもの、社会課題を解決するもの、人間とコラボレーションをすることで、お互いがお互いを強化・拡張することを目指しています。人間はより良い合理性をもって意思決定をすることが可能となります。

2011年には、Jeopardy!という全米でもっとも有名なクイズ番組にワトソンがが参加し、優勝しています。初代ワトソンは、92基のCPUを備えた巨大なコンピュータでした。

医療分野での実験での活用も始まり、医療の改善、医療システムの改善などの事例も紹介されています。

その他にも銀行や保険など、様々な活用が始まっており、トップパフォーマーのノウハウを共有することができるようになります。

講演の最後に

スマートマシンの流れは5年で終わるバブルではなく、何十年も続く新たなコンピュータの歴史の始まりである。さて、あなたはこれをどのように活用しますか。

とコメントをされたように、ワトソンを中心に、人間とコンピュータとの関係を考え、社会、ビジネス、個人を変革する様々な可能性を示唆したお話だったと思います。

 

次に

The era of cognitive computing
コグニティブ・コンピューティングが創る未来

というタイトルで日本IBM 東京基礎研究所 所長の森本 典繁氏のお話です。コグニティブコンピューティングまでの時代の変遷で第三の世代を迎えています。

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あらゆるところでデータは生み出されており、2020年に全データにおけるセンサーデータの割合が42%になると予測しており、マシンデータの重要性はましています。

コグニティブコンピューティングの技術的な要件としては超高速計算や大量・多言語のデータ処理、仮説の出力などがあげられています。

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コグニティブコンピューティングは、以下のとおり、幅広い分野で研究が進んでいます。

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ワトソンの進化の変遷では、新たな情報源を特定し獲得することによって自律的な学習するシステムにより自己学習し、能動的な知的の蓄積ができるようになることを目指しています。

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人とのインタラクションのための自然言語理解をを行い、診断書処理による保険金支払査定支援、不具合情報からの製造不良増加検出、コールセンター支援などの利用ケースをあげています。

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保険金支払査定支援では、自然言語で書かれた診断書から支払いに必要な情報(手術名、支払い理由等)を自動検出できるようになっています。

また、大量の時系列データからの相関検出では、性能予測、異常の早期検出、非破壊検査、状態監視などの取り組みも紹介しています。

不完全な情報から都市全体の交通の流れを推定する事例も紹介しています。

Agent-based Traffice Simulatorは、日本全国道路ネットワーク上の1000万車両の10倍の早さでシュミレーション可能なエージェントベースの交通流シュミレータで、地図データやプローブデータ、交通モニタリングデータなどを使って数理モデルにより、リンクコスト予測などの分析を行っています。

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コンピュータと脳とを比較すると、周波数も消費電力も大きな差となっています。技術的には可能となっていますが、省エネとハードウェアの革新が必要となっており、コグニティブチップの存在が注目されています。

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最後に、コグニティブコンピューティングが創る未来では、コグニティブエージェントと人間の共創によるインテリジェンスなネットワークの将来像を紹介しています。

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スマートマシン、コグニティブコンピューティング、そしてそれらを実現するワトソンは、これからの社会に大きな変化をもたらす大きな可能性を感じました。スマートマシンというテーマは、これからも掘り下げていきたいと考えています。

 

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