ブラジル社会で生きる中で、肌で感じたコトや頭で考えたコトを、ざっくばらんに吐き出します

結論:ブラジルのネット市場はアマゾンの熱帯雨林よりもアツそうです

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最近のブラジルのネット市場はとてもアツいです。

とはいっても、どれくらいアツいのか?

1つの象徴的な動向として、わずかこの数ヶ月の間に、
「ネット界の巨人たち」のブラジル進出が相次ぎました。

今の季節からするとこのblogでも2011年の「丸一年」を振り返るべき時期かもしれませんが、
今回は、彼らのブラジル進出状況について、ご紹介させて頂きます。

僕が目についたのは、大きくこの5社(5サービス)です。

ブラジル進出の顔ぶれ

■1. 楽天(11月)
■2. Amazon(12月)
■3. iTunes(12月)
■4. LinkedIn(11月)
■5. Evernote(11月)

いずれも知らない人はいない、というような顔ぶれが並んでいます。

逆に言えば、これらの巨人たちが
「今まではブラジルになかった」
という事が、驚きの方もいらっしゃるかもしれません。

これらの「変化」が起こった直近数ヶ月を振り返ってみたいと思います。

■1. 楽天ブラジルが11/23にプレオープン

今から約半年前、昨年6月7日の下記のニュース。
楽天にとって世界7カ国目の参入として、ブラジルの地場企業を買収しました。

▼楽天、南米展開の足掛かり ブラジルEC大手を子会社化
http://apertodemao.com/2011/06/1854

そしてそれから約5ヶ月半・・・
ついに買収したIKEDAの看板を外し「楽天ブラジル」として11/23にオープンしました。

オープンしたサイトはこちらですね。
▼楽天ブラジル
http://www.rakuten.com.br/

Rakuten_2

とはいっても、まだ「プレオープン」とのことで、
日本の楽天からも現時点ではプレスリリース等は出ていないようです。
そろそろ正式オープンになるはずなので、
近日中には日本でも報道されるのではないかと思います。

なお、実は、あまり知られていないかもしれませんが、
当初、facebook上で発表されていたオープン日から、一週間遅れてのオープンでした。
何かトラブルでもあったのでしょうか?
それとも、時間にルーズなブラジル人の文化を早速吸収してのことでしょうか?笑
このあたりの真実は不明です。

さて、気になるブラジル側の反応は?というと...

メディアサイドでは、
例えばギズモードのブラジル版で、下記のように取り上げられていたりもします。
タイトルで「巨大な」と語ってくれているあたり、注目度の高さが伺えますね。

▼日本の巨大なオンラインストアがブラジルに到着(※ポルトガル語)
http://www.gizmodo.com.br/conteudo/gigante-japones-do-e-commerce-abre-loja-online-no-brasil/

一方、消費者サイドでは、
さすがにまだ「Rakuten」の知名度は低く、
僕も知り合いのブラジル人たち何人かに聞いてみたのですが、

・普通のECサイトと何が違うの?
・価格比較サイトと何が違うの?
・E-bay(ブラジルではMercadoLiver)と何が違うの?

と、お約束のような質問が繰り出してきました。
「モール型」のモデルはブラジルにはまだ存在していないという事もあり、
僕も説明に苦労してしまいました。

なお蛇足ですが、ブラジルで「Rakuten」は「ハクテン」になります。
(ポルトガル語で頭文字の「R」は「ハ行」の音になるため)
個人的には締まりのない音になってしまうなと、ちょっと残念に思いました。

「え、それってどんな発音なの?」と、ネイティブの発音が気になる方は、こちらをご覧ください。
プレオープンする前のティザーサイトに貼られていた「楽天ショッピングとは?」という動画です。


YouTube: O que é Rakuten Shopping Online?

しかし、この動画、8000回以上も再生されていたんですね。
知名度がゼロだったわりには、とても多いような気がします。
このあたりからも業界関係者内での注目の高さが伺えるかと思います。

■2. Amazonが12/14に、AWS(Amazon Web Services)でブラジルに進出

えっ!?今までアマゾンなかったの?
だって「ブラジル」と言えば「サッカー」「サンバ」「アマゾン川」じゃん!
とでも言われてしまいそうな気もしますが(笑)、
「アマゾン川」はブラジルにあっても、「amazon.com」はブラジルにはなかったのです。

と、そんなオヤジギャグ的なくだらない事を思ったのは僕だけかと思ったら、
なんと、Amazon Web Servicesのblog(下記)でも、
「アマゾンがアマゾンに進出、という声が聞こえてきそうです(笑)」
というコメントが見られ、僕だけじゃないんだと、なんだかホッとしました。笑

▼Amazon Web Services ブログ
http://aws.typepad.com/aws_japan/2011/12/now-open-south-america-sao-paulo-region-ec2-s3-and-much-more.html

こちらのblogにもありますが、EC2と関連サービスをブラジルで展開していくとのことです。

1消費者としては日本のAmazonのようなECも、ぜひ展開して欲しいところではありますが、
察するにネックは物流でしょうかね。
少なくとも今の所はこの Amazon Web Services のみ、というようです。残念・・・

ちなみに、amazon.comのないブラジルのEC市場はどうなっているかと言いますと、
もちろん、地場のECサイトが使われていたりもするのですが、
一方で本家本元アメリカの「amazon.com」が、案外活発に利用されていたりします。

Alexaによるとアメリカの「amazon.com」が、
ブラジルランキングで50位以内に入っています(本記事執筆の2011/1/3時点では37位)。
実際に僕の知人のブラジル人の中でも結構な比率で、
アメリカのAmazonで買い物をした事がある、という人間もいたりします。

「ブラジルのEC市場はどうせまだまだだろう」と思われている方がいらっしゃるとしたら、
「案外ブラジルのEC市場はアツいのかも」という片鱗を、
こんなアメリカAmazonの事例からも垣間見ることができるのではないでしょうか。

裏を返せば、国内のEC市場にはまだまだ大きな隙間が存在していることの証明でもありますが。

■3. iTunesブラジル版が12/8にオープン

これも「え!?何でこれまでなかったの!?」と思うような話ですが、
iTunesブラジル版がようやくオープンしました。

ブラジル人は言わずと知れた音楽好き。
携帯音楽プレーヤーや携帯ラジオ、携帯電話等で、
四六時中音楽を聞いている人もいるような状況です。

ちなみに「ブラジル音楽」といっても、
「サンバ」「ボサノヴァ」だけではありませんのであしからず。

iTunes
※iTunesブラジル

そんな音楽好きな文化もあってか、このiTunesブラジル版がオープンしてから、
デジタル音楽の売上が倍増したとのことです。

▼iTunesブラジル版オープン後、デジタル音楽の売上が倍増(※ポルトガル語)
http://www.techtudo.com.br/noticias/noticia/2011/12/apos-o-lancamento-do-itunes-brasil-venda-de-musicas-digitais-dobrou.html

なお、ここには特に記載はないようですが、
音楽に限らず動画(映画など)の売上もグッと伸びているのでは?と思います。
この国の動画市場のポテンシャルは、非常に大きいような印象もありまして。
ま、その話はまたの機会にでも...

■4. LinkedInがブラジルに拠点を開設

残りの2つはいずれも「拠点開設」というもので、
サービスの見かけ上にはあまり変化はないのかもしれませんが、
とはいえブラジル市場の強化の象徴だとも思います。

まず1つめはLinkedIn。
元Microsoftの幹部であったOsvaldo Barbosa de Oliveira氏を迎えて、
このたび、サンパウロに拠点を構えたそうです。

この方ですね。
http://www.linkedin.com/in/osvaldobarbosadeoliveira
(さすがに自分自身でもLinkedInにちゃんと登録してるんですね。ま当たり前ですかね...笑)

日本では、つい最近になってようやく日本語サービスも開始されたLinkedInですが、
一方でポルトガル語のサービス開始は2010年と日本に比べてやや早かったようです。

ちなみに、昨年の3月のLinkedInの会員数(全世界)が1億人を突破した当時、
ブラジルの会員数伸び率が世界一である旨が公表されていたのを覚えてらっしゃいますでしょうか。
その伸び率は428%、と驚異的な数値を叩き出していました。

▼ビジネスSNSのLinkedIn、会員数が1億人を突破
http://apertodemao.com/2011/03/1461

この後も、どうやら順調に伸び続けたようで、
ブラジルの会員数は既に600万人に到達したと、昨今ブラジルでは報道されております。
そしてその規模はLinkedInにとって、アメリカ、イギリス、インドに次ぐ世界4番目の市場とのこと。

SNS好きで知られるブラジル人ですが、単なる趣味用というだけでなく、
ビジネスに関しても愛用しているようですね。
僕自身、ビジネスのMTGをした後にリンク申請が送られてくる、という事も経験したりもしていますが、
確かにブラジル人ビジネスパーソンもよく使ってるようです。

今回の拠点設立によって、よりマーケティングもしっかりと整ってくるとすると、
ますますの会員数増加が見込めそうですね。

日本に比べて転職頻度の高いブラジル。
求人サイト最大手のCATHO、そして転職エージェント各社さんあたりが、
今後どのような戦略を取ってくるのか、気になるところです。

■5. Evernoteがブラジルに拠点を開設

最後にEvernoteです。
LinkedIn同様に拠点開設のようですね。人材も募集しているようで。

ちなみに参考データですが、
ラテンアメリカ地域における新規会員登録のうちの43%はブラジルからの登録だそうです。
まぁここはイメージ通りでしょうか。(もしくは、もっとブラジルの比率が高くても良いような気もしますが)

ラテンアメリカを攻略するには、やはりまず真っ先にブラジル市場、という流れになりますかね。
そしてその後、周辺国へと展開する、という流れが王道のようです。

■結論

こうして改めて見てみると、
この年末にかけてネット界の巨人たちが、軒並みブラジル市場に手をつけ始めた、強化し始めた、
という印象が僕にはありますが、いかがでしょうか。

2月に予定されているGREEの現地法人設立も含めて、
2012年のブラジルネットマーケットは、更に動きが活発化しそうな気がします。

※参考:グリーがアジア・欧州・南米5カ国に子会社設立へ、国際展開を加速
http://apertodemao.com/2011/09/2524

「アマゾンがアマゾンに...」という冗談も飛び出ていましたが、
ブラジルのネット市場は、もはやアマゾンの熱帯雨林よりもアツいかもしれないですね。

では。
Até mais!




▼砂塚裕之



Comment(3)

コメント

Kenji Terada

>それとも、時間にルーズなブラジル人の文化を早速吸収してのことでしょうか?笑
Brazilians are not loose in time!
They are HARD workers.
Don´t fool Brazilians.
We need to change the mind of Japanese people, no stereotypes of Brazilians anymore.
Brazil is the 6th Economy in the world and it is going to be the 5th in a couple of years.
Japan is now in the 3rd place, the difference between Brazil and Japan´s Economic power is decreasing day by day.

>Teradaさん
コメントありがとうございます。
ブラジルに対する日本人の誤った認識を変えていかないといけない、
という点は、僕自身も強く感じており、Teradaさんに強く同意です。
(その意図もあって日々情報発信に努めているつもりでございます。)

実際ブラジル人は日本人が思っている以上に、勤勉な人も、優秀な人も多いと思っています。
上記の一文で書いたのは、ビジネスに限らず文化全般として、時間に対する認識は弱いという点です。
(それが良い/悪いではなく、そういう「文化」である、と)

少なくとも僕自身、幾度となく事前連絡なしで長時間待たされたり、ドタキャンされたり、
という経験を実際にしております。(プライベートはもちろん、ビジネスアポでさえも…)
例えば、よく言われる事例では、結婚式は「開始時刻」には人はほとんど集まっていません。

そんな経験を実際に僕も何度もしてきており、
日本人の「5分前行動」「遅れる時は事前に連絡」「時間きっちりに開始」という感覚からすると、
やはり「ブラジル人の時間に対する意識は弱い」と映ってしまうのは、
残念ながらしょうがないのではないか、と今は感じております。
(繰り返しますが、意識が弱いのが悪いと言っているつもりはなく、それが文化だと思っています)

もちろん、一方で時間をきっちり守るブラジル人がたくさんいるのも知っています。
特に上層のビジネスパーソンではそうかもしれません。スケジュールもパンパンですしね。

今回は広く社会全般に横たわる1つの文化として、比喩的にあのような一文を使ってみた次第です。
不愉快な思いをさせてしまったようでしたら申し訳ありません。

Kenji Terada

>やはり「ブラジル人の時間に対する意識は弱い」と映ってしまうのは、
ブラジル人は、『開始』時間に関する時間の意識は、弱いかもしれませんが、
日本人は、『終了』時間に関する時間の意識が弱いと思います。
私は、日本の会社で長いこと働いた経験がありますが、
日本の会社のエンドレスな残業の長さ、エンドレスな会議、エンドレスなメールのやり取り、エンドレスなビジネスの交渉が目につきます。
日本人の時間管理には、『能率』という言葉があまり成り立たない気がします。
日本の会社員は、残業が多いがあまり会社の実績に影響の無い仕事に熱を入れている気がします。
ブラジルの会社は、残業時間が何時間かで社員を評価しているわけでは無く、成果主義なので結果が出ていなければ評価が上がりません。
ブラジルは、日本人が思っている程、ノンキな所ではありません。これは日本のマスコミが植えつけたブラジルに関する間違ったイメージです。
ブラジルは、アメリカに似ていて日本よりも競争の激しい社会なのです。
ブラジルに進出している日本企業は、全て苦戦している状況なので、偏見で見てはいけないと思います。

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