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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命と変革、ミクシィの社長交代、DeNAやグリーの決算の不調はガラパゴス後遺症によるスマート革命への対応遅れが原因!!?

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<序文>

 ゲームを主体とする韓国資本のLINEが日本で急成長する一方で老舗SNSのミクシィの社長が笠原氏から弱冠三十歳の朝倉氏へと交代しました。(次期株主総会後、正式に就任予定)

 

201351515時からUstreamで中継されたミクシィの新戦略説明会では役員の最高事業責任者である川崎氏が「ブラウザーからアプリへの本格移行」を声高に叫んでいたのが印象的でした。(現在、たった2本のアプリの数を早晩、50本にするそうです)

 

ガラケー時代、ブラウザー対応により大成功した広告ビジネスがアプリ中心のスマートフォン時代には、旨く働かなくなり、広告売り上げが落ち込むなどスマート革命への対応に乗り遅れた事が社長交代の背景にあります。売上高はLINEなどに押され、前年同期比5.3%減少です。

 

また14日発表のグリーの6月決算予想は、上場来初の減収減益だと日経産業新聞(2013515日付)は伝えています。そしてスマートフォンの台頭でDeNAやグリーの存在感は急速に薄れつつあるとも記事は書いています。(尚、DeNAの6月決算予想は増収だが減益予想)グリーは米国のカリフォルニアオフィスの25人のリストラに続いて、120人のリストラを伴う中国のオフィスの閉鎖も発表しています。米国のテックブログなどは「国内のガラケーの成功体験をグローバルなスマートフォン時代に適合させることに失敗した結果」と述べています。

 

ガラケーに代表されるブラウザーベースのゲームがスマートフォンでも継続すると読み、「まさかソーシャルゲーム、カジュアルゲームがアプリ中心の時代になるとは思わなかった」と言う戦略の読みの甘さが原因だと日経産業新聞は書いています。(グリー、DeNA共に甘いと)

 

こう考えれば日本のソーシャルビジネスを中心的に担って来た3社の決算数字が思わしくなくなったのも「やはり経営の判断ミス=人災か」と思えてきます。(HTML5提唱者も罪作りですが、それの幻想を見抜けなかった経営者の洞察力も駄目だと言うことですね)

 

国内でHTML5を提唱した人々の「ハメルーンの笛吹き的なオープン幻想」に騙され(技術論的な見地)、ガラケーにおけるガラパゴスの成功体験を引きずり(経営論的な視点)、その上で経営の眼が曇っていた判断ミス(経営論的な視点)の連鎖と言う事なんでしょう。

 

一方ガラケーを体験していないLINEの韓国親会社ネイバーなどは「余計な成功体験が無い」のでさっさとアプリ中心のLINEを立ち上げることができました。この視点からは日本のソーシャルメディア系3社の失敗の本質は、ガラパゴスケータイ思想からの脱却の失敗とも申せましょう。

★★ミクシィ社新経営体制につきまして

 

 悩めるミクシィ、笠原社長の誤算と覚悟 

ユーザーファースト、ソーシャルゲームで復権なるか

 

★★ DeNA、13年4~6月期は増収減益=新作ゲーム少なく〔決算〕

 

 ★ グリーとDeNAが年初来安値=515

 

 ★ グリーが業績予想を下方修正 国内ソーシャルゲーム伸び悩み、事業の選択と集中へ

 

★★GREE confirms it is shutting its office in China and will lay off all 120 local staff

★★ミクシィ新社長に30歳朝倉氏 成長回復へ「事業の幅拡大」

 引用

 ミクシィ10+ 件は、スマートフォン(高機能携帯電話)向け無料通話アプリケーション「LINE」など競合サービスに押され、成長が鈍化。

引用終わり

ミクシィの次期社長、朝倉さんと会長に就任される笠原さんのツーショット

記者会見後に握手するミクシィの笠原健治社長(左)と新社長に内定した朝倉祐介執行役員=15日、東京・大手町

 <出所:産経新聞>

 

<出所:グリー>

<今頃、各社スマートフォンのアプリ重視の謎?>

 昔、戦国時代、鉄砲が伝来した時、多くの大名家は試しに鉄砲を買い入れました。しかしほとんどの大名家は従来からの騎馬隊重視(武田)や剣術の重視を変更することなく、天下統一の時を迎えていました。そうした中、織田信長の率いる織田家や石山本願寺に仕える雑賀衆のみが本気で鉄砲隊を養成していました。多くの大名家は鉄砲など馬鹿にしていた一方、織田や石山本願寺には、騎馬隊の成功体験は無く、また切り合いにも強くない為、鉄砲隊と言う技術革新に賭ける事が出来たと考えられます。

 

それと同じことが国内のソーシャルメディアやソーシャルゲームの世界で起こっています。ブラウザーベースのパソコンや大成功したガラケーの仕組みによるサービスが何時までも続くと思い込み、アプリ中心のスマートデバイスへの変化に対応できなかった訳です。

 

その結果、今頃になって各社スマートフォンにおけるアプリ重視を言い出しています。まあ、それでも「今から鉄砲隊に切り替えても遅くない」かもしれませんが。(ベターザン・ネバーですね)

 

一方韓国資本のNAVER (ネイバー)の100%出資子会社であるLINEは、早くからスマート革命のもたらす環境変化、エコシステム変化を捉えて、スマートデバイスやアプリに対応しています。Iモードに代表されるガラケー文化が育たなかった点が韓国企業に逆に有利に働いたようです。日本の三社の場合は、典型的な「環境への過剰適応」、「成功体験への埋没」と言うことでしょうか。(ナレッジマネジメントで良く引き合いに出される「失敗の本質」より)

 

こう言った背景が「LINEが独走的に日本の市場を制覇しつつある理由」と考えられます。

 

<スマート革命とアベノミクスの中での生き残り>

 スマート革命、スマートデバイス時代の特徴はパソコン時代の「モノ支配論理」では無く「サービス支配論理」です。ガラケーは飽くまでもパソコンが四畳半に縮退したミニチュア世界であり、その為、ガラケーゲームで一度でもアバターを使ったことのある方なら判りますが、パソコン文化を引きずる遅い遅いブラウザーでの対応でした。

 

ガラケー時代のゲームでは「あああ、またブラウザーで検索?」と筆者も何度もため息をついていました。それがスマートフォンのアプリに代わった途端、あっという間にスピードが速くなりました。グーグルは515日からのグーグルOIでスマートデバイスのMMORPGやクラウドシンクを実施すると見られています。

 

生活者目線で見ればアプリが使いやすいのは明らかですが、企業目線で見ればブラウザーの方が「開発コストが安い」のでついつい怠けてしまったと言うところでしょうか?それにアップルやグーグルにアプリの関所代の30%を支払うのも避けたいしと言うのが本音でしょう。

 

僅かな使い勝手の差に、即ちアプリに100円―500円を支払うという消費者選好が働くマイクロ取引の時代に日本の三社は乗り遅れてしまったようです。

 

それにしても韓国資本が見抜いた力を日本の三社は持っていなかったのでしょうか?それともやはりiモードの成功=ガラパゴスの後遺症でしょうか?

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