オルタナティブ・ブログ > インターネットの第二の波とソーシャルメディアマーケティング >

テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命とビジネス業態変革、大風呂敷の米国衛星テレビのデイッシュネットワークはソフトバンクと争ってスプリント・ネクステル買収に成功するか!!?

»

<序文>

 一人一台のパソコン+ブラウザーを活用する時代やアナログテレビの時代が終焉し、一人が七台の多様なスマートデバイスを時と場所に応じて使い分ける時代がやってこようとしています。そうした中、米国衛星テレビ2位のデイッシュネットワークが通信キャリアに転身するべく、通信キャリア3位のスプリントの買収を提案しました。こうして有料テレビサービスと通信キャリアの垣根が消え始めています。もっとも既に2位のAT&Tや1位のベライゾンは、それぞれ有料テレビのIPTVに出ていますが。

 

今回は買収金額が昨年10月に一旦、合意したソフトバンクによる買収金額201億ドルを13&%も上回る、255億ドルの提示と言う好条件の上に、ソフトバンクとスプリントの交渉の破棄に必要な違約金6億ドルも準備しているようです。(ソフトバンクによるスプリントの買収は一旦、合意し、現在、FCCが審査中です)スプリントの取締役会は検討するようです。

 

デイッシュネットワークの狙いは何でしょうか?

果たしてデイッシュネットワークはソフトバンクと争って勝てるのでしょうか?同社のアーゲン会長は孫さんにとって久々の強敵登場です。まるで巌流島の宮本武蔵と佐々木小次郎の果たし合いみたいですね。

 

★★Dish Network/Sprint Combination: Good Or Bad For Consumers?

 

★★How Dish's deal could improve Sprint

 

★★ Wireless spectrum is the key to Dish's $25.5B bid for Sprint

 

Softbank plans to take control of Sprint for $20.1 billion

 

                   
                Dish Network/Sprint Combination: Good Or Bad For Consumers?

  <出所:READWRITEWEB>


  ワイマックスのサービス企業、クリアーワイアーの奪い合いも絡む


clearwire.jpg


<出所:ベンチャービート>

 スリングボックス機能と広告飛ばしで地上波を怒らせたセットトップボックス「ホッパー」


ダウンロード.jpg

<引用もと:デイッシュネットワーク>

 チャールズ・アーゲン会長はスティーブ・ジョブズ並みの暴れん坊

孫さんは大丈夫か?

dishErgen_1-380x253.jpg


            

 







<出所:allthingsD>

<デイッシュ、チャーリー・アーゲン会長の大風呂敷>

 

 米国のテックブログが一斉に記事を書いていますが、デイッシュネットワークのアーゲン会長の狙いはスプリントと買収を争い、スプリントが押さえたクリアーワイアーのワイマックスとスプリントのスペクトラムであることは明らかです。デイッシュとしては、これから始まるコードカット(CATVや衛星などの有料テレビを止めてスマートテレビに移行する動き)を敏感に感じており、「衛星テレビ会社は通信キャリアになるべきだ!!」と主張しています。そしてライバルはAT&Tやベライゾンだと言いだしています。

 

デイッシュのアーゲン会長はグーグルテレビにも参加し、またロケーションフリーのスリングボックスを販売するエコスターと言うデイッシュの子会社も持っています。そしてCES2013ではデイッシュのテレビ用セットトップボックスとして広告飛ばしとロケーションフリーが可能なホッパーを発表しています。その為CES2013では怒ったCBS放送が傘下のCNETを使ってホッパーを賞の候補から下ろしました。当然、CBSなどはデイッシュと裁判を始めています。

 

兎に角、構想の大きさ=風呂敷の大きさは決してソフトバンクの孫さんには負けていません。日本で言えば典型的な商社マンタイプの人です。テックブログはデイッシュ提案の風呂敷の大きさをグーグル並みと称えています。

 

デイッシュの将来を通信キャリアへの転身と考え、テレビは早晩、IPDCによりインターネットに吸収されると考えているようです。

 

<デイッシュは何で今頃割り込むのか?>

 

FCC(米国連邦通信委員会)は昨年末、衛星テレビなどが衛星電話用に所有している帯域を他の分野に応用することを認めました。その結果、デイッシュネットワークは集めた周波数を使って通信キャリアに出ようと考える判断をしたようです。そこでソフトバンクとスプリントの合併協議が中国のファーウエーなどからの調達を巡って議会がもめ、審査が遅れているのを見て割り込んだと言う訳です。

 

通信キャリア2位のAT&TはユーバースTVを1位のベライゾンは既にファイオスTVをそれぞれIPTVとして所有しています。デイッシュとスプリントが一緒になれば、3位の通信キャリアに衛星テレビが付加され、AT&Tやベライゾンと同じ競争条件になります。

 

まずはAT&T、更にベライゾンと同じ規模の通信キャリアに転身するのが目標と考えられます。次に時期が来れば衛星テレビの信号もNOTTVの蓄積型放送のようにIPDCに変更していくのでしょう。そうなればインターネットもテレビも同じ土俵に載りますね。

 

<さてどうなるか?>

 違約金まで支払う準備が出来ているデイッシュの提案ですが、これからスプリントの役員会で議論されます。そして6月頃の株主総会にかけられます。

両雄が雌雄を決する巌流島の結果は神のみぞ知るですね。

Comment(0)