海外のスマートフォン、特にAndroid(アンドロイド)に関する情報を発進していくブログ

ソーシャルゲームをGoogle Playに直置きで出す際に知っておきたいこと

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先日書いたベンチャーがグローバル展開するためのブログ記事は気がついたら4500近くfacebookでいいねを押されていて驚きました。今日は本職のGooglePlayとAndroidの情報を書いていきたいと思います。

スマートフォンの普及で一番影響を受けている市場のひとつにゲーム業界が上げられます。日本ではスマホはガラケーの進化版として捉えられていますが、グローバルで見るとスマホはゲームのハード機の代替物としてゲームメーカー各社には捉えられていることが多く、実際に海外のユーザはDSやPSなどの代わりとしてスマホで遊んでいる人がたくさんいます。

スマホ普及でゲーム業界はハードウェアのプラットフォーム自体が変わってしまったので、またゼロから収益を上げるためのノウハウを蓄積しなければならなくなっています。さらにソーシャルメディアの普及もからみ合って、従来のマーケティングも通用しなくなってきています。今は新しい市場に積極的に攻めていち早く勝ちパターンを掴んだ人間が市場を取ることができる戦国時代さながらの状態です。

そんな中でソーシャルゲーム業界も同様にスマホの普及でルールの変更を迫られている市場のひとつです。海外のソーシャルゲームはFacebookのプラットフォームを中心に成長してきました。日本はガラケーのモバイル版SNSプラットフォームでソーシャルゲームを出す企業が中心です。いずれもスマートフォンの普及でFacebookも日本のガラケーベースのソーシャルゲームも大きな戦略の転換を迫られている状況にあります。

私の展開しているビジネスは主にアプリ開発者向けのマネタイズを支援する事業ですが、最近ではソーシャルゲームを運営するSAPさんからご相談を頂くことが非常に多くなりました。 この周辺は最近ではM&Aも活発化してきており明確な淘汰が始まっているようですが、生き残りはまさに「スマホ展開」と「グローバル展開」で成功できるかの2点に掛かっているのは間違いないでしょう。

ソーシャルゲームはビジネス構造上、利益率が非常に高いゆえに、一度成功すると他の業種とは比べ物にならないスピードで売上・利益ともに拡大できる事業です。ただ競争が「超」がつくほど激しいので、一度波に乗り遅れたり展開を誤ると取り返しがつかないほど失速していきます。

私が関わった案件でも半年で数十倍まで企業を拡大させてまったく別のステージへと上がっていった会社がけっこうありました。逆にスマホ展開で失敗すると会社が消滅するほど影響は大きく、上場企業の場合は時価総額が半年で半分なんて話も今後はさらに増えていくと思っています。 そこでよくご相談頂くソーシャルゲーム市場とスマートフォンの領域に絞って全体のトレンドと勝ちパターンをざっくり書いてみたいと思います。


■スマホ普及でソーシャルゲーム市場におこっている変化

●直置きソーシャルゲームの増加

直置き(じかおき)ソーシャルゲームとは、SNSプラットフォームと連携せずに自社でデータベースを持って出す形のソーシャルゲームです。 通常ソーシャルゲームは膨大なユーザの母数を持つSNS上で展開されるブラウザベースのゲームを指すものでした。

海外ではfacebookなどのPC中心、日本ではmixi、GREE、mobageに代表されるモバイルSNSが中心です。そこで提供される膨大なユーザの口コミがバイラルを拡散させユーザ間の交流で信じられないトラフィックと課金を生み出してきました。

ただスマートフォンの普及でゲームを探す場所が、SNSからスマートフォンOSが提供するアプリストアに移行し初めています。Appleが提供するAppStoreやGoogle(android)が提供するGooglePlayの集客力がここ最近になり急激に高まってきています。

2010年にスマートフォンアプリを出してもお小遣い程度の売上にしかなりませんでしたが、2011年にはAppStoreで本格的なソーシャルゲームを出して月商で数千万円程度稼ぎ出す開発会社が現れ、2012年前半には遅れてGooglePlayでも月数千万円単位の売上を出す企業が増えました。 その後ガンホーさんのパズル&ドラゴンやスクエニさんのミリオンアーサーなど月商で数億円、iOSとAndroidの両方のOSを合わせると月商が2桁億円に届きそうな大型タイトルが登場し、一気にマーケットが盛り上がりました。ここに来て「アプリ=儲からない」の流れが変わりブルーオーシャンを狙って競争が 激化します実際に私も開発者サイドの人間としてソーシャルゲームのプロジェクトに加わりましたが、ほとんどの案件では月商数千万円のラインまでは比較的難しくなく持っていくことができました。

このあたりの情報はこっちで詳しく解説しています。 これらの直置きソーシャルゲームは自前でデータベースを構築し、独自にマーケティングを実施しています。

日本のAppStoreとGooglePlayでの売上ランキングトップ25位までを見てみると、いずれもほとんどが直置きソーシャルゲームに分類されます。赤丸が直置き

Appstore Googleplay

これらのトレンドが強まっている点としては2点あるかと分析しています。(1)コミュニケーションの変化(2)グローバル展開、などがあげれるかと思います。


(1)コミュニケーションの変化

2006年ぐらいからSNSがネットユーザにとってのコミュニケーションの中心になっていました。その前は通信キャリアのポータルがネットへのアクセスの入り口を握っていましたが、2007年あたりからSNSへと入り口が変化していきました。SNSが抱える玄関としての膨大なアクセスから、ユーザの「流し込み」をソーシャルゲームに行う集客力がプラットフォームの競争力に繋がっていました

2010年ぐらいから様々なソーシャルメディアが立ち上がり、ユーザのコミュニケーションの「場所」が属性によって多様化していきます。例えば20代の地方の人であればmixiのユーザが多いですし、東京のビジネスマンはfacebook、海外での活動が多い人はリンクトインなども増えています。10代~20代前 半はチャットアプリの「LINE」が急激にユーザを増やしています。イラストであれば「pixiv」、写真であれば「pinterst」などです。さらに個別のアプリやゲームの中でもコミュニケーションが行われているので数えきれません。

Socialmedia

これらの現象を今風に言えば、ソーシャルグラフが分散されてきている、と言えます。それぞれ人が自分にあったコミュニケーションサービスを使うようになり、以前の大手SNSが持っていた支配的なポジショニングが崩れてきています。結果としてユーザの「流し込み」の力も減退して、総じて必然性が薄れて直置きソーシャルゲームが増えたとも言えます。

最近ではチャット系アプリの影響力が強まっており、2~3年前にガラケーでモバイルSNSが取っていたポジションは、長期的にはチャット系アプリが代替していくと個人的には思っています。


(2)グローバル展開

facebookを除く各国ローカルSNSはアプリをグローバル展開する際に逆に障壁になるケースもあります。特にアプリの領域ではAppStoreやGooglePlayなどのOSに標準実装されている公式ストアが世界で統一のアプリ流通網を作ってくれているおかげもあり、開発者向け管理画面からボタンひとつで世界中のユーザにアプリを提供することができます。

ガラケー向けサービスとは異なり、表現力が劇的に向上したスマートフォンではWebベースで中身を作っても開発コストは数倍に跳ね上がります。採算を合わせるためには全世界のユーザ向けに提供しないと、同じ利益率を維持できない計算になります。

各国ローカルSNS上でアプリを提供することは、逆にその国以外のユーザの心理的・実質的(ログインなど)なハードルを上げてしまうことになり、グローバル展開とは真逆の方向に向かう恐れがあります。 海外にトップディベロッパーは1社で億単位のダウンロードと数千万人単位のユニークユーザを抱えているケースがあり、彼らを束ねる統一のプラットフォームを提供できる会社はfacebookぐらいになってしまいます。


●ハイブリット型ソーシャルゲームの増加

Webとネイティブのハイブリット(混合型)のソーシャルゲームが増加した理由は、ネイティブでゲームの表現力が上昇したという前向きな理由と、アップルがただのWebビュー型のブラウザソーシャルゲームをAppStoreの審査ではじき始めたという審査上の理由があります。

2012年の夏ぐらいからポツポツと審査ではじかれはじめて、最近ではかなりの高確率で突っ込みをくらいます。Objective-Cを使ったネイティブ言語の普及をAppleが進めたい明確な意図が見えます。審査基準も厳格化の傾向があり、以前は2週間程度で通っていた審査も、最近では1ヶ月とかもざらにあります。

逆にGooglePlayは審査がなくほぼリアルタイムでアプリが出せるので、ブラウザWebビュー型のソーシャルゲームはGooglePlayで出されるケースが増えてきています。


■直置きメリット・デメリット

●直置きのメリット

最大のメリットはマーケティングの自由度と言えます。自社の資産としてユーザを保有できるので、プラットフォームに依存せずに色々な施策が打てます。そのプラットフォームの流行り廃りに左右されることがありません。またGooglePlayやAppStoreは各国でほぼ共通したルールで運用されている事が多いので、1カ国で蓄積したマーケティングノウハウをそのままある程度他の国でも流用することができます。言語の壁をクリアできればスピーディーに世界でスケールさせることができます。


●直置きのデメリット

逆にデメリットとしては自由度が高い分、自力でユーザをかき集める必要がある点です。SNS上で展開する場合はどちらかというとプラットフォーマーとの距離によって集客数は決まりますが、GooglePlayやAppStoreの場合はもろマーケティング力が売上にもろ響きます。従来のエンジン開発と運用に加えて、マーケティングも強化しなければならないので企業の総合力を求められます。

結論としてはプラットフォーマーと色々な意味で近い位置にある場合は短期的に見ると直置きは非効率とも言えます。逆に中立なポジションであり、自社でのマーケティングを強化できるリソースがある場合は直置きは向いていると言えます。


■GooglePlayで直置きのポイント

失敗するケースは「とりあえず出してみた」のパターンが一番多く、担当者の情報収集と調査不足が要因であることがほとんどです。ネイティブのストアではトライ&エラーはかなり繰り返されているので、売上を出すためのパターンのようなものがあるところには溜まってきており半年前に比べると成功確立は格段に上がってきています。


●勝ちパターンの考察

1アプリで年商100億円となると話は変わってきますが、国内のみで月商数千万円~1億円程度の規模に関しては、経験則ではありますが、下記のようなサイクルに入れればある程度の売上が見えてくることがわかりました。 ちなみに日本以外の国でもユーザの動きと売上ランキングの上昇具合を実験しましたが、ほぼ同じモデルが当てはまることが最近やっと分かってきました。 ポイントは①初月の「人気の新着(無料)」からの自然流入数の最大化と、②ソーシャル活用などによる人が人を呼ぶ流入サイクルの確立の2点です。

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●初月のプロモーションがコケるとGooglePlayはキツイ

ブラウザのSNS上でゲームを出す場合にはリリースのタイミングを大手とかぶらせずに出すことし、SNS上での誘導枠をプラットフォーム側からいかに多くもらえるかが生命線になってくると思います。 もちろんGooglePlayで出す際にはSNSと違いトップページから誘導はしてくれないので、自力でプロモーションを実施する必要があります。

成功か失敗かは、初月の自然流入数にほぼ掛かっています。 AppStoreと異なり、GooglePlayでは「人気の新着(無料)」という欄に30日間しか掲載されません。

ほかに「人気(無料)」というカテゴリもあるのですが超有名アプリ(facebookとかGmailとか)が上位を占めていて、新規のソーシャルゲームが上を取るのは至難の技です。この「人気の新着(無料)」欄に掲載される30日間でどれだけユーザを集められるかが勝負になります。

最多の失敗する例としては、先にGooglePlayにアプリを公開してデバッグなどを本番上で行い、数週間ならした後で2ヶ月目以降に本格的にプロモーションを開始するパターンです。

「人気の新着(無料)」に乗らなくなった31日目からでは、ランキングからの自然流入が大きく減少するので、プロモーションを打ってもランキング上昇による恩恵を受けれず広告のみで費用対効果を合わせることになります。現状の日本のスマートフォン広告単価を考えると、広告のみでCPAを合わせるのはよほどの高ARPUか、知名度があるアプリで無いと難しいです。

アプリをGooglePlayに公開したとほぼ同時にプロモーションを開始し、30日間目一杯使って、順位上昇とそこからの自然流入を獲得し続けます。 実際にやった事例に関しては以前の記事で紹介しているので参考にしてください。

過去記事:

Androidアプリで日商100万円達成した時にやったこと

具体的にはインストールベースで短期間に大量のネイティブアプリユーザへのリーチと、レビューサイトとのタイアップ広告などを絡めたコアゲームユーザへのリーチを同時に掛けます。 「人気の新着」の注意点は下記二つです。


(1)アプリユーザへの効率的なリーチを最重要に考える

GooglePlayは単純なダウンロード数だけで順位の推移をしていないロジックを組んでいると見られ、質の悪いアプリが上昇しないようにアルゴリズムで調整をかけています。もちろん継続的に使われるアプリの評価が高いです。Web系のポイントサイトの場合は大量にリーチできる代わりにスピーディーにアンインストールされる場合が多く順位を上昇させるにも多めの予算が必要になります。


(2)アイコン・スクリーン等で順位と流入は大きく異なる

これも当然と言えば当然ですが、登録するアイコンやスクリーンショットだけで自然流入の数値は30%以上変わります。GooglePlayは一覧ページが2列ずつ表示されアイコンもAppStoreの半分程度のサイズです。表現力に限界があるため、いかに直感的なアイコンにしてあげれるかが重要です。スクリーンショットも素直にそのままても良いのですが、アプリの看板だと思って簡単な説明文と面白さをテキストを入れて解説して上げたほうがコンバージョンが高まります。

またジャンルもターゲット層が広いアプリ(例:ゆるキャラ、カジュアル・ミニゲーム等)は自然流入を集めやすく順位を上げやすい傾向があります。逆にコア向けのアプリ(例:ダークファンタジー、美麗系カードバトル)など特定のターゲット層向けのアプリは自然流入は獲得しづらく順位が上昇しにくい傾向を持っています。


●ユーザの増加曲線が異なる

ブラウザのSNS上とGoogleplay上でソーシャルゲームを出すとユーザの増加曲線が明らかに違う点に気づきます。 SNS上で提供する場合は、リリース初日に大量のユーザが集まり、2日目に半分程度離脱し、3日目、1週間目とユーザが減少していき、右肩下がりの曲線を描くことが多いと思います。そのため初月に大きなアクセスが急激にきて、売上に関しても初月からある程度の数字につなげることができます。

GooglePlayに関してはリリース直後はユーザがいないので、アクセスも売上もありません。ここでランキング対策のためのプロモーションを実施し自然流入ユーザをストアから徐々に増やしていきます。初月に関してはユーザはゆるやかな右肩上がりの曲線を描きます。最初にドンッとアクセスと売上があると身構えていて、拍子抜けする感想を持つ方が多いです。

人気の新着非掲載になる31日目からは右肩上がりの増加が止まり、小カテゴリなどから新規入ってくるユーザと、飽きてやめてしまう離脱ユーザとが相殺されユーザ数は横ばいになります。 成功するパターンでは初月でかき集めたユーザをドライバーにしてユーザを微増へと持っていきます。

逆に失敗する場合はアンインストールするユーザが増えてユーザが減少していきます。このあたりのリテンション(ユーザを維持する仕組み)は後述します。


●ソーシャルゲーム未経験者が多い

SNS上でソーシャルゲームを提供する場合は、ほとんどのユーザがソーシャルゲーム経験者で目が肥えています。逆にGooglePlayでは様々なタイプのアプリやゲームがあふれているため、多くの人がソーシャルゲーム未経験者です。特に「人気の新着」の欄から来る自然流入のユーザはソーシャルゲーム未経験者が多い印象です。

そもそもどうやって楽しむのかわからずに来るユーザが多いので、SNS上で提供するよりも厚めにルールなどの解説をする必要があります。またゲーム内に掲示板やコミュニティで経験者ユーザと未経験者ユーザが情報を交換できる仕組みを早い段階から入れておくと、わからなくなってやめてしまうといった離脱を避けることに繋がります。少々言い方は悪いですが、経験者ユーザにゲームのヘルプを代わりにやってもらうように動いてもらうと良いです。


●課金率は低いがARPPUはやや高い傾向

よくガラケーに比べるとAppStore/GooglePlayでは課金へのハードルが高いと言われていますが、これは現段階においては事実です。SNSプラットフォームでは4~5割程度が実際にゲーム内で課金経験があり、ゲーム内でコインを購入する行為になれているので課金率も高めです。 逆にGooglePlayは登場して日も浅く、クレジットカードの登録も不要で使えるので、実際にアプリにお金を払ったことのあるユーザは少ないです。

独自ソーシャルゲームも9割は無課金ユーザになります。 ただしクレジットでの決済になるので、課金者は二十歳以上の人が対象と考えて良いかと思います。すると逆にARPPUはSNS版に比べて高い水準になり、結果としてARPU/DAUに直すとSNS上に提供する場合とGooglePlayで提供される場合はほとんど変わらない値になるケースが多いです。


■31日目以降はリテンションの勝負

31日目以降は普通に運営していると右肩上がりにはユーザが増えてくれません。むしろ放置しているとどんどんユーザが減っていくので、いかにユーザ曲線を上向きにできるかのリテンション(ユーザを維持する工夫)の勝負になります。ここらへんはどこでソーシャルゲームを提供しようが変わらないと思います。 ここではSNS上で提供する場合とGooglePlayで提供した場合の相違点・ポイントだけ簡単に記載します。もちろん個別具体的なゲームの中身によってもここらへんは変わってきます。

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(1)無課金ユーザのモチベーション維持の重要性

GooglePlayで独自ソーシャルゲームを提供する場合は、圧倒的多数が無課金ユーザですので、無料ユーザをどのように扱うが非常に重要になってきます。もちろんほとんどのユーザは課金をしなくてもゲームを継続したいので、無課金ユーザでも課金ユーザと同様にプレイし続けることができる仕掛けが必要です。

一番ベストなのは無課金ユーザにマーケティングやマネタイズを手伝ってもらう関係性をゲーム内で作れるのがベストです。アプリは特にローカル端末にダウンロードして使われるので、ソーシャルでの口コミはWebサービスよりも発生しにくいです。

無課金ユーザに対しても、口コミを広めてもらったり、広告へのアクションを実施してもらったり、レビューの依頼を頼んだりすることで、無料ユーザをマーケティング資産として捉え直すことができます。 常に無課金ユーザがゲームをやめてしまわないような課題をゲーム内につくっておく必要があります。この9割のユーザに対応で、ただのサーバへの負荷となるか、貴重なマーケティングの財産になるかの分かれ道です。


(2)分断されたソーシャルグラフを満遍なく活用する

直置きソーシャルゲームを出す場合にはもちろんソーシャルメディアは経由したバイラルは発生しにくいです。積極的にユーザの興奮を外に伝えて上げる導線を作ってあげる必要があります。特にソーシャルメディア活用はユーザの「招待」などの施策で新規ユーザの獲得に大きな差がつきます。韓国でソーシャルゲームを始めるきっかけの6割以上は友人・同僚の招待という記事が出ていましたが、どの国でもこの状況は変わらないでしょう。

この時の注意点としてはできるだけ多くのソーシャルメディアへの導線を用意して上げること。ソーシャルメディアを限定してしまうと思わぬ機会損失が発生してしまいます。

経験として、自分がFacebookとtwitterを主に使っているので、この二つのソーシャルメディアと絡めたイベントをアプリ内で実施したら、ユーザの半数近くが使っていなくてアカウントすら持っていないという声が出て驚いたことがあります。自分の周りではFacebookは当たり前のメディアになっていて、国内でもmixiを抜いたとかプレスリリース出ていたので、皆使っているのかと思い込んでいました。自分の当たり前が必ずしもゲームユーザの当たり前とは限らないということがよくわかりました。

直置きソーシャルゲームでは基本的にバーチャルな関係ですが、GooglePlayは属性に偏ったストアではないので、年代な趣味などで使っているソーシャルメディアもユーザごとにかなり分散しています。

最近はチャットアプリなどの限られた仲間内でのコミュニケーションも主流になりつつあるので、広く薄く多くのソーシャルメディアに熱量が伝わるような導線が必要になります。 理想はひとつのアプリを起点に様々なソーシャルメディアが輪のように存在し、口コミがそこ経由で「外」の世界にひろがり、それを見て「外」のユーザがアプリ「内」へと入っていくような、人が人を呼ぶサイクルを作ることが重要です。そのためにはユーザがどんなことをに対して共有したり人を呼んだりしたいと思うのか、そのモチベーションの源泉を見極める必要があります。

うまく使えればユーザの獲得コストをゼロにまで近づけることができます。


(3)独自仮想通貨のマーケティング活用

上記(1)(2)はSNS上で出す場合も共通点が多くありますが、(3)独自通貨の活用に関しては独自でソーシャルゲームを出す際に初めて発生する最も「強力」なメリットです。 この点は多くのSAPさんが見逃しているポイントで、うまく活用することができれば信じられないほどのレバレッジが発生します。

通常はひとつのSNS上で流通する共通通貨が1つないし2つ程度存在し、これを勝手にSAP側は発行したりするのはタブーです。勝手に共通通貨を発行されると他のゲームの売上に影響を及ぼし、プラットフォームのエコシステムのバランスが崩れます。

経済に例えるとインフレがおこり、プラットフォーム全体が破綻してしまいます。 そのため通常のプラットフォームでは共通通貨の発行権限は胴元の運営者が唯一持っています。国に例えると「中央銀行」、日本で例えると「日銀」見たいなもので、ご存知の通り通貨供給量をコントロールすることができるので全体経済(プラットフォーム)に大きな力を持ちます。

プラットフォームの運営者はこの権利によって、共通通貨を発行してマーケティングに役立てることができます。例えば人を招待する際のインセンティブにしたり、レビューを促したり、スポンサーサイトへ誘導したりとプラットフォーム内のユーザのモチベーションの左右する大きな源泉になります。

自社でデータベースを持って直置きでソーシャルゲームを出す際には、アプリ内で使える独自通貨を自社で設定することができます。これはプラットフォーマーが得ていた仮想通貨発行権限という強力なメリットを、各アプリが享受できるという事になります。各アプリ、各SAPがそれぞれあたかもプラットフォーマーかのようにアプリを運営する事が可能になります。

仮想通貨を何タイプ用意し、それぞれにどんな役割を担わせるか、購入可能にするのか、それとも何かのアクションに対して特別に付与するかなどの設定は各アプリの運営者が決める事ができます。

この部分はこのまま書き続けると論文かけてしまうぐらい長くなるのでここで止めておきますが、勘の良い人ならこれによって発生するレバレッジは信じられない規模感になる事は、現在のプラットフォーマーが得ている利益を考えれば予想がつくと思います。

実際にこの点を理解して運営がされているアプリを少数ですが、日本を含む各国マーケットに数社程度確かに存在していて、他社の数十分の一のマーケティングコストで数十倍の結果を出しています。これをもしグローバルマーケットで同様に実践すれば、1アプリが年商100億円(月8億円)も珍しくない時代がもう目の前に来ていることが実感できました。


■「集客」と「運営」を「イコール」にできれば勝ち

これまでアプリはユーザを獲得するマーケティング(集客)と、ユーザの満足度を高め継続率・ARPUを上昇させるリテンション(運営)が分かれて別々の担当者によって行われているケースがほとんどです(大手であればなおさら) しかし上記の「無課金ユーザ活性化」「複数ソーシャルグラフ活用」「独自仮想通貨のマーケティング活用」の3点をうまく活用すると面白い現象がおこります。本来別々であったはずの集客と運営がイコールの関係に近づきます。 

ユーザの熱中させる運営ができれば、そのアプリ内の熱気がソーシャルメディアを伝ってアプリ「外」の世界にまで拡散し、バイラルを引き起こし、また新規ユーザの獲得(集客)に繋がります。 このサイクルにハマれば2ヶ月目以降もユーザを増加させる続ける事ができ、ユーザが増えれば発生するバイラルも拡大し、また人が増える好循環に入ることができます。

Cycle
ただしバイラルの原点である最初のユーザに関しては、初月のランキング活用による自然流入で集める必要があります。初月で集めたユーザの母数と発生するバイラルは正比例の直線ではなく2次関数的な曲線を描きます。

初月で獲得する母数が大きければ大きいほどそこで発生するバイラルが広まる速度と面も当然大きく、レバレッジを大きく掛けることができます。 ゲームのジャンル(育成系・カードバトル・カジュアルゲーム)などによって個別具体的に攻略の仕方が異なるので、それぞれチューニングは必要になるので個別に工夫する必要があります。


■1度成功すると2度目も高確率で成功する

どのビジネスでも言える事ですが、GooglePlayにおけるソーシャルゲームも一度成功してある程度の数字が積めると、2回目のタイトルもかなりの確率で成功します。集客のノウハウが会社に蓄積されるのはもちろんの事ですが、何よりも一度目の成功で蓄積したユーザがそのままマーケティング資産として次のゲームにも生きるためです。

最初からマーケティング資産を持った状態でタイトルを出せるのは、試験で下駄をはいて受験するのに近いので、前回よりも少ない労力でランキング順位の上昇・そこからのユーザの獲得が可能になります。 3発、4発、5発・・・・10発と出していくとそのアプリ群が新タイトルに対してユーザを流し込める資産になり、それぞれソーシャルメディアを通して強化され、ひとつの擬似的なプラットフォームのような機能を帯びてきます。

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ここまで来ると新規タイトルを外すのがむしろ難しい「負けにくい」体質へと代わり、アプリ間の相乗効果が発生し加速度的に売上が伸びてきます。半年で他社が追いつけない領域まで到達することも可能になります。

逆に最初に初歩的なバグや、GooglePlay特有の「クセ」のようなものにつまずいて初期のプロモーションを失敗したり、次月以降にリテンションがうまく働かず売上が出ない状態が続くと、次回作で当てるのは当然難しくなってきます。

企業であれば予算がおりにくくなり、失敗したコンテンツに対しても閉鎖するリソースが掛かってしまい、次タイトルのみに集中できなくなります。 また精神的に思い切った投資もできなくなるので、次月以降に運営フェーズで発生するレバレッジも小さくなりがちです。個人的にすばらしいコンテンツにも関わらず、最初でこけてしまい、二度と浮上することの無かったAndroidアプリをたくさん見てきたので、非常にもったいないと感じていました。


■確かに存在したイノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマとは、「既存の市場で順調な企業ほど、新しいイノベーションの波がおこった時に対応に遅れて、衰退してしまう」という経営でよく言われる理論です。これは学者さんが授業で使う理論で自分にはあんまり関係ないと思っていたのですが、スマートフォンとソーシャルゲームを見ているとはっきりとこの現象が目の前で確認できました。

2009年にSNSがオープン化しソーシャルゲームが誕生した時は、既存ビジネスでうまくシェアを取れなかった企業や、Web2.0(ブログ・CGM)などの流れでマネタイズに苦戦した企業が、起死回生の一手として参入したケースが多かったと思います(もしくは本業が存在しないスタートアップ) そこから2年で市場が急成長し、初期に参入した企業は業績を急激に拡大(回復)させて、一気にIT業界の主軸となりました。逆に当時、既存事業がうまくいっていた大手公式CPや一部の大手ゲーム企業は参入が遅れて莫大な市場を取りこぼす形になってしまいました。

さらにそこから2年たった2011年にスマートフォンの普及が明確なトレンドとなって伝わりましたが、当時のAppStoreやGooglePlay(旧Androidマーケット)はひどい有様で、これがビジネスになるとは到底思えませんでした。 しかし同様に既存のSNS上でのSAP事業でうまくシェアを取れなかった企業が、起死回生の一手としてAppStoreやGooglePlay向けにアプリを作って試行錯誤を繰り返した結果、2012年になって大きく売上を伸ばす企業が増えてきました。このあたりはSNSがオープン化したあたりにベンチャー企業が比較的容易に月数千万円の売上を上げれた状況と非常に良く似ています。

2012年の秋からは大手ゲーム企業やプラットフォーマー自体も参入し、月商で数億円からグローバルで月商10億円に近い売上を記録する企業が登場しました。 逆に既存のSNS上で大手と呼ばれたSAPに関してはAppStoreやGooglePlayにはほとんど参入してこなかったので、その空白の市場に新たなプレイヤーが参入し、市場の拡大に押し上げられる形で急成長したという背景があります。

この5年足らずの間に「公式サイト、モバイルSNS、スマートフォンアプリ」とコンテンツの主戦場が三度も変わって、その度にまったく同じ栄枯盛衰とプレイヤーのほぼ総入れ替えが行われるのはIT市場特有のスピード感を感じさせます。 「これがあの有名なイノベーションのジレンマか」とちょっと感動してしまいました。 ただ中には既存市場で好調にも関わらず早期に次の「波」を読み、新市場への投資を怠らない凄まじい嗅覚を持った企業も存在していました。「このタイミングでこの意思決定をするのはすごい手腕だな」と外から見て感じることが何回かありました。

普通は絶好調なはずの現在の市場にすべての経営資源を投下し「選択と集中」を図るのが経営の常道であるという意識がどの経営者にもあるはずです。その逆をあえてやるには勇気がいるはずですが、それをさらりとやってのけてしまう経営者が運営する企業はトレンドに流されずに成長し続けるんだろうなと思います。ネットバブル・リーマンショック後も生き残り今も成長しつづけている企業は特にですね。


■今までの「波」と今回の「波」の違い

あと2年程度は次のイノベーションがおこるまでは、OSシェア争いは置いといてスマートフォンアプリ市場がコンテンツの中心になるのはほぼ間違いない流れです。

今回のスマートフォンの「波」が今までの「波」と大きく違っているのは、グローバルでほぼ統一した市場である点です。 

SNSのオープン化は、USではfacebookを始め、フレンドスターなどでも起こり、日本ではmixi、mobage、GREEと同様におこりました。時間差はあれど各国で全く同じ流れを経ていますが、マーケットは国ごとに分断されていました。 以前の各国ごとに分断された市場ではその国ごとのプラットフォームが存在し、それぞれのプラットフォームで勝ち組のSAP/CPが存在していました。

今回のスマートフォンは土台のプラットフォームにAppleとGoogle(とAmazon)が争い、その世界統一のプラットフォーム上でSAP/CP同士の熾烈な競争が行われています。 確かな事は、世界統一のマーケットでは「勝ち組」に回れる企業の数は以前に比べて圧倒的に少ない点です。

AppleとGoogleのスマートフォンOS競争の裏では、スマートフォン端末メーカー同士も世界中で販売シェアの争いを繰り広げていました。結果、AppleとSAMSUNGの2社以外はほぼ利益を出せない状況に陥っています。かつてガラケー時代は圧倒的な販売シェアを持っていた日本の端末メーカーも、ホームである日本ですらシェアが取れない状況です。

一部の上位層に食い込めたSAP/CPは以前では考えられない程の急激な成長を得ることができ、そちら側に回れなかった多くの企業は買収もしくは事業縮小し、中途半端なプレイヤーが退場を余儀なくされてしまうことになります。特に失うもの少ない始まったばかりのスタートアップ・ベンチャーにとってはこれほど攻め時なタイミングはないです。

大手の場合は組織を動かすのにもある程度時間がかかりますが、50名以下のベンチャ-企業であれば経営陣のコミットと強力なリーダーシップがあれば最短2週間ぐらいで事業のピボットも不可能ではないです。(もちろん色々荒れると思いますが)小さい企業ほど、リスクとチャンスの秤が、チャンスのほうにアンバランスに傾いていると言えるかもしれません。

最後に自分が一部執筆を担当させて頂いた書籍が近いうち出るらしいのでここで共有しておきますね。エンジニアの方向けのアプリ内課金を解説した技術系の書籍です。ソーシャルゲームも直置きの際は、AppStore・GooglePlayの公式決済を導入する必要があるのでSAPで働くエンジニアの人にはアプリ内課金は必須スキルになってくると思います。

iPhone&Androidアプリ内課金プログラミング完全ガイド

最近お会いする方に「あの長いブログを書かれる人ですね」と言われる機会が増えてきたので、ここら辺で一区切りとしておきます。

私からは以上です。 


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