にわたま
前回に続き、今回も立ち上げ屋さんを志す人へのメッセージを書いてみます。興味がある人は1意見としてご参考ください。
事業運営や推進会議には必ず「鶏か先か、卵が先か(以下:にわたま)」的な話が出ます。「もし、事例があったら、もっと売れるのに。でも売れていないから事例が出来ないんだよね。」とまぁ、そんな感じです。そんなときに、「ホント、鶏か先か、卵が先かだよなぁ」などという発言が出ることもままあります。立ち上げ屋さんの仕事は白紙で更地な場所から始める仕事が多いので、最初はいつもこんな[にわたま]な議論から始まることが多いです。ビジネスはお客様、パートナー、メーカー全て一つの市場で動いているので、全て関連性があります。(ここではソフトウェアの間接販売ビジネスを例にとりますが)ビジネスを上手くまわすためには、この顧客とパートナー(パートナーといってもいろいろな種類のパートナーがいますが)とメーカーの3社が同時に動き出す必要があると考えています。しかし顧客もパートナーも主体性を持っており、弱小メーカーの言う事なんかそうは聞いてくれません。更に立ち上げ当初なので予算なんかほとんど無い状態となれば、3者を同時に動かすなんて不可能に見えてしまうことも多いと思います。
日本のIT業界のベンチャー企業が成功する確率は「千三つ」と言われることもあります。成功するのは3%くらいということだとおもいますが、ほとんどの会社が立ち上がらずに10年もたずに飛ばないままの零細企業で終わってしまうようなきもします。実際に調べていないのでわかりませんが、ほとんどの「成功しない理由」が、この「にわたま」な状況から脱せていないことのように思えてなりません。(間違ってるようでしたら、是非コメントでご指摘ください)
今日は立ち上げ屋さんとして一番期待される部分である「にわたまからの脱出」について書いてみようと思います。
まず、[にわたま]な状態とは?
[にわたま]な状態とは、経営者や現場キーマンが製品が売れないことと、売れない理由しか理解していないので、その議論ばっかりが進み、明快なプランが出てこないまま会議に疲れて、仕事をした気分になったり、問題が先送りになったり、時間ばかりがたってしまう状態のことを意味しています。経営的に時間だけがたつことは、給与を社員に支払っている以上、資産の流出であり、これが続けば倒産の危機もまねくこともある由々しき状態であると思っています。
立ち上げ屋さんとして食べていくためには、こういう[にわたま]な時に事業を脱出させる能力が無くてはならないと考えています。それが出来ない様であれば、立ち上げ屋さんなんて必要ないですし、それが出来るから立ち上げ屋さんは時に、救世主のように社員・市場に歓迎されることもあります。(失敗すればけちょんけちょんですがw)
ではどうやれば「にわたま」な状態から脱出できるのかを自分なりに書いてみます。
いきなりですが、これは文章で説明するのが実は結構難しいです。何故なら、その解法は本質的にはシンプルではありますが、方法としては複雑だからでです。そもそも立ち上げ屋さんが契約をする相手というのは、その市場で仕事をしている現場作業のプロであり、それなりの知識と経験があります。そういう現場作業のプロが見つけられない解法なので、解法自体は非常に複雑になっていることが多いようです。
では、その解法とは?
解法は将棋の戦略のようなものであると考えています。将棋は最初の一手で勝負に勝利することは絶対にありません。何手も打ちながら戦場形成を変化させ、局面を変え続け、勝利の打ち筋を確立すると思います。解法におけるミソはまさにこの「何手も打ちながら戦場形成を変化させ、局面を変え続け」の部分であると信じています。将棋では、王手に行くまでに「王手ではない手」を何手も打ちますよね。それは全て局面を有利にするための一手だと思います。「にわたまの解法」もまさに、この部分が一番肝心であると信じています。
事業が成功するためにの重要なプランがあれば、そのプランが有効に実行できるための小さなプラン(将棋で言うところの局面を有利にするための一手)を同時に創造できることが「にわたまな状態」から脱出するためには非常に大事であると思います。一般的に「にわたまな状態」陥りがちなのは、「事業が成功するためにの重要なプラン」があっても、市場の状況にマッチしていないので、成功しにくく見えてしまい、議論と事業運営が堂々巡りになってしまうからであるようです。その際に、「事業が成功するためにの重要なプラン」が有効に働くための「お膳立てプラン」のような小プランもできていれば、事業は「にわたま」から脱出できる案を実行できるようになると思います。
しかし・・。その「お膳立てプラン」が1段階ですめば、かなりシンプルなのですが、実際にはもっと複雑で、本プランを実行するまでの「お膳立てプラン」が3段階くらいあることもあるようです。更にその本プランも何個もあるのが普通なので、シナリオ自体は非常に複雑であり、5手も10手も先を読んだシナリオであり、そしてそれは柔軟さを欠いてはいけないようなシナリオつくりが必要となります。仕事として請け負えば、当然そのシナリオの明文化が必要です。しっかり作れば、その長さは相当な長文になるのは間違いありません。以前、某一部上場企業に新事業の立ち上げのシナリオを書いた時は企画書の枚数が販売戦略だけで100ページ近くになったこともあります。市場がこうなったら、こういうプランを開始し、中間結果Aのときはプランを維持、中間結果Bの時はさらにプランを追加する・・といったシナリオでした。私はこういうのが苦にならないタイプなので、楽しかったですが、当時は結構時間がかかり大変でした。
話しが脱線したので、「にわたまからの解法」に戻します。今回は簡単にしか説明できませんでしたが、、「にわたまの解法」のイメージはできましたでしょうか?
一言で言えば、「事業効果が高い本プランを実行するための戦略局面を有利にするプランが解法」であると信じています。
今日は「にわたまからの解法」の話をしましたが、実はもう一つ肝心なことがあると思っています。それは「圧倒的な実行力」です。常に変化をしている実際の市場で、自分に有利な局面を作り上げるためには、複数の顧客、複数のパートナーに対して同時に手を打つ必要がある場合があります。一手一手打っていれば、打っているそばから市場は違う形に変わってしまうので、同時に何手も打つことが出来る「圧倒的な実行力」が有効な局面は多いと思います。と言っても、言うはやすし、行うは難しですね。私も精進しますw
それでは今日はこの辺で