オルタナティブ・ブログ > Randomwalk >

予測できないITの行く先を、あちこち歩きながら考えてみます

Ajaxの統合開発環境でもマイクロソフトが先行する予感

»

いまやAjaxの波に乗って注目が集まるJavaScriptですが、歴史が長い割にはエディタやデバッガ、ライブラリなどが統合された統合開発環境はありません(私が知らないだけ?)。

今後の統合開発環境は、どんな言語であろうとマイクロソフトのVisual StudioとEclipseの2つに収れんして、それ以外は全部プラグイン化していくだろうというのが大きな流れだろうと私は考えています。ですから、JavaScriptの、あるいはAjaxの統合開発環境もEclipseをプラットフォームにして登場するだろうというのが私の予想(大方の予想もそうでしょうけれど)。

そんなことをこの数カ月考えていたところ、ついにEclise上にJavaScriptの統合開発環境を提供しようという提案がApache Software Foundation(以下ASF)にあったようだ、ということを知ったのは、RSSリーダーに登録していつも読んでいるブログ「arclamp.jp」からです(ブロガーの鈴木さんは、以前@IT情報マネジメントに記事を執筆していただいたことがあります)。

ASFで新しいプロジェクトを支援するためのIncubationメーリングリストに対して、IBMのAdam Pellerから「Ajax Toolkit Framworkプロジェクトを開始したい」という提案があった。ということです。さっそくメーリングリストのアーカイブを目で追ってみました。

提案の内容は、
・EclipseベースのJavaScriptエディタデバッガなど統合開発環境
・ウィザードベースの簡単なものにする
・ライブラリとして、Zimbraのライブラリを提供する
・開発の初期には、IBMとZimbraが全面的にサポートする
といったもののようです。

Zimbraは、Ajaxを使って本格的なメールやカレンダーのクライアントを実現している新興ベンダ。Ajaxの世界では注目されています。これでEclipseベースのAjax開発環境の本命がついに登場かと思いきや、メーリングリストの反応はやや冷ややかです。

・ASFではJavaScriptツールとしてDojoを使おうという動きもある。今回の提案は偶然か?
・この提案はASFのほかのプロジェクトと連携していないけれど
・Eclipseプラグインなのに、なぜEclipseファウンデーションに提案しないの?

といった反応が寄せられて、あまりポジティブな動きになっていません。

ものすごくたくさんのコメントが寄せられて、私は全部追い切れていないのですが、結局、提案者のAdam Peller が「もっと(Eclipseに依存したり、特定のツールキットに依存しないよう)ニュートラルになるように考えてみる」ということになって議論はいったん落ち着いたようです。

Javaの統合開発環境としてEclipseが登場するまで、プログラミング環境としてマイクロソフトのVisual Studioは何年も先行していました(ボーランドのJBuilderはありましたが...)。マイクロソフトは.NET環境でAjaxをサポートするAtlas Frameworkを今年のPDCで発表していますから、Javaに続いてJavaScriptの統合開発環境でもマイクロソフトはしばらくは先行するのかもしれません。

それにしても、マイクロソフトは最新技術を取り込んで開発環境としてまとめることに伝統的に強い会社ですね。

Comment(1)