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夏目房之介の「で?」

2021.9.29 さいとう・たかを先生逝去

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嗚呼。「乱」のみなもと太郎さんとの対談を読んでる最中に訃報に接した。覚悟は少ししてたけどショックだ。さいとうさんはご本人がいうように評論家受けのしない作家だったが、60年代から70年代にかけて日本の子供マンガを、青年向け大人向けの大衆娯楽として精錬した立役者だった。『ゴルゴ13』連載の現場は、さいとう学校と呼ばれ、プロダクション制作、脚本家(日本では原作者と呼ばれたがさいとうさんは反対して「脚本」でいいといわれていた)など制作システム、マンガの演出法など、多くの影響を周囲(作家や編集者)に与えてきた。貸本時代の、ひたすらカッコいいアクション劇画も、「深み」や「意味」ではなく表層的な娯楽性だけでもいいのだ、という大衆娯楽の潔さを見せ、マンガ青年への影響は深かった。園田光慶や川崎のぼるの美意識もそこからやってきた。日本では珍しく作家でありながら出版社(リイド社)を作り、成功させた稀有なマンガ作家だった。あらためて戦後マンガ史の中で再評価されないといけない作家なのである。生前、何度かお会いしてそれを何とかお伝えしようとしたが、きちんと仕事で表現できないまま送ることになってしまった。今までありがとうございました。心よりご冥福をお祈りします。
『ゴルゴ13』さいとう・たかをさん、すい臓がんのため死去 84歳 本人の遺志を継ぎ連載は継続へ
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『ゴルゴ13』さいとう・たかをさん、すい臓がんのため死去 84歳 本人の遺志を継ぎ連載は継続へ
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