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夏目房之介の「で?」

『さらい屋五葉』3(小学館

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オノ・ナツメはノッている。旬、という感じだ。それぞれの作品が面白いだけでなく、その方向性がそれぞれ違う領域を開拓している感じがあって、わくわくするのだ。
『さらい屋五葉』は、老眼鏡をかけた紳士ばかりのイタリアのレストランの話だのというオノの世界とはかなり離れた時代劇だが、個性的な男たちの描写が面白いのは同じ。とくに、気が弱い、およそサムライらしくない秋津政之助がいい。大きめの、黒い目が、オノ的なピュアさを描く。とにかく、おじさんがイイのだね。3巻は、八木という謎っぽい侍がキレもんの与力として前面に出てきて、今後を期待させる。

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