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夏目房之介の「で?」

『カジノ・ロワイヤル』

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つわけで、日曜は歓送会に出てから部屋でぐだぐだしつつ、夜、N井氏に借りっぱなしだった007映画『カジノ・ロワイヤル』のDVDを観た。面白かった。過去の007モノの中でも出色のデキではないかと。これまでの豪華B級シリーズの軽さからすると、ボンドに翳があって、そのぶんクオリティが上がってる感じ。
ショーン・コネリー以来の007ファンとしては、ショーン・コネリー版は別格なのだが、そんなファンから見てもいいデキだと思える。新たなボンド造形には、とりあえず成功したんじゃないかな。おまけにシリアスに恋しちゃうし。

『カジノ・ロワイヤル』には、同じ原作ながら、例の007シリーズではない、豪華キャストの超おバカなパロディ、どたばた映画版もあり、じつは僕はそれも大好き。何しろ、ボンドがデヴィッド・ニーブン、ピーター・セラーズなど複数いるばかりか、監督もジョン・ヒューストンなど複数で、悪役は何とウディ・アレン。チョイ役でピーター・オトゥールやジャン・ポール・ベルモントが出たり、もう最高に楽しいお遊び映画(ただ、なぜか劇場で観ると面白いがTVだと全然つまらない)。

今回、ボンドは00ナンバーになりたての頃って設定なのだが、時代は携帯やPCや衛星を駆使する現代。つまり、ショーン・コネリーに始まるボンドは一巡し、現代の007ナンバーが誕生したってことだろうか。新しい、今のボンドを、できるだけいいところを残して再生したいって気合は感じるし、けっこう成功したと思う。シリーズの楽しみでもあるタイトルも、主題曲も、古さと新しさをミックスした感じになってる。

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