『起業のファイナンス』を読んでお客さんとの距離を縮める
ネット上ではIsologueの人として有名な礒崎哲也氏の著書『起業のファイナンス』ベンチャーにとって一番大切なこと、をAMNさんから頂きました。
結論から言うと、私の中でこの本は
- 取引先が中小企業中心のビジネスマンに特にお勧め
- またそれ以外の方にもお勧めしたい本
の1つになりました。
起業家の方以外にもおすすめの理由
『起業のファイナンス』という書名なので、起業家の方にむけた本だという印象を持って読みはじめました。
実際それは正しかったです。
ベンチャーで起業をしようという方にむけての、ファイナンス面を中心にしたノウハウが紙幅いっぱいに詰まっていました。それだけでもとても価値あるものだと思います。
ただ、それだけではなかったんです。
現時点で起業しようと思っていない人に対しても魅力的な書籍です。
なぜなら、会社というモノに対しての「現実感」がここにはあったからです。
「会社」というものへの現実感
振り返れば私にとって、会社というモノはどうにも現実感の薄いものでした。
元々そこにあって当たり前で、それがどうしてできたのか、どのようにして今の姿に至ったのか。
原初太古の初めからそこにあったわけではないですから、様々なストーリーがあってそこにあるはずです。
しかし、頭ではそうなんだろうな、と分かっていたのですが実際に想像できず。
「なんで会社を立ち上げるんだろう」「なんでリターンがないかもしれない会社に資金を出す人がいるんだろう」「会社の値段ってどうやって決まっているんだろう」ということは教科書的な理解で思考がストップしていました。
中で働いている方々とは実際に接していますし、私自身そうですので現実感があったのですが、なんというか会社という箱にたいしての現実感がなかったんですね。
起業というストーリーを追っていくことで解消
『起業のファイナンス』は、ストーリー仕立てというわけではないですが、ある程度時系列を意識して作られています。
なので、頭の中でシミュレーションをしながら読んでいくことで、会社というものの成り立ちを追っていくことができました。
この場面ではこういった人物が関係してきて、こういったことを考えなくてはいけなくて、ここの場面ではこれこれこういうものを作らなければいけない。
詳しい内容は書店で手にとって頂くか、Amazonの目次 を見て頂くのがいいかと思いますが、そういったものが著者の礒崎氏の豊富な経験によるリアリティとあいまって、一種の物語として自然と頭に入ってきます。
その結果、あぁ会社ってこうやって最初できあがって、こうやって大きくして、投資家って言うのはこういうことを考えてああいうことを行って、そうかそれでこの書類やプレゼンが必要なんだ、といった、今まで点でしかなかった知識をきれいに線としてまとまっていきました。
そうすると、お客さんに対しての見方が変わる
リアリティをつけることでお客さんにたいする見方が変わりました。少し大きくすると社会に対しても。これがありがたかったです。
同じ社会でビジネスを行っている存在として、今までよりみずみずしく鮮やかに、帳簿上・書類上の2Dな存在から同じ3D空間に生きる存在になりました。大げさな言い方ですね。そうなんですが、実際そう感じました。
会社にとどまらず、物事のスタート地点や歴史を知ることは、とても重要なことです。私は歴史学を専攻していましたが、やはり歴史という物語(his-storyでhistoryなので)を知ることで見る目は変わります。
人の歴史もそうですし、土地の歴史もそうです。地理なんかも楽しいです。
江戸城を守るために、徳川幕府は東京湾を埋め立てました。今の丸の内や銀座などはその時にできた埋め立て地です。
これだけでも、東京駅を出て八重洲口に出た時の気持ちは、ちょっと変わるんじゃないかと思います。
『起業のファイナンス』は会社というものに対してのリアリティを作るという点で、起業を現在考えていない方にとっても、とても面白い本だと思います。
お客さんとの心理的距離は確実に縮まります。
それは凄くお互いにとっていいことです。
お正月の一冊にぜひいかがでしょうか。
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