「商品」と「作品」は違う。しかし「商品=作品」を目指したい
一般的に、「商品」と「作品」は相容れないもの、と考えられ勝ちです。
そもそも、なぜ人は「作品」を作るのでしょうか?
それは、「表現したい」という強いパッションがあり、自分の表現で相手に感動を伝えたいからではないでしょうか?
私のライフワークは、写真です。写真を始めたのは、写真という「作品」で何らかの表現をし、感動を伝えたいと思ったからです。
自分の表現なので、「こうあるべき」と考えたものを試行錯誤しながら作っていきます。コストは考えざるを得ませんが、収益はあまり考えたことがありません。
例えば写真展を1回行うと50万〜100万円かかりますが、ほとんどが持ち出しです。
そんな写真展で、「作品を売って欲しい」というお申し出をいただいたことが何回かありました。
大変嬉しいことなのですが、「収益化しよう」と思ってやっていることではないので、正直言って値付けには悩みました。
実際には、「よかった」「感動した」という一言が嬉しいのですよね。
一方で、顧客ニーズはあまり考えていませんでした。
時には「つまらない作品だ」と言われることもあります。これは大変残念なことですが、その方と私の価値観が違うのだ、と考えます。
一方で「商品」の場合は、必ず顧客がいます。
ビジネスです。
顧客は商品が提供する価値に対して、対価を払います。これが「価格」です。
「商品」ではあくまで顧客が主体。顧客ニーズを徹底的に考え、応えることが必要です。
ですので私も、例えば講演などの場合は、お客様がどのような課題を抱えていて何を望んでいるかをお伺いし、それにあわせて講演内容を変えるようにしています。
中には私の講演では期待にお応えできないということがわかる場合もあります。このような時は、辞退させていただくこともあります。
講演の前は、毎回ビデオ撮影しながら事前リハーサルしたり、講演の様子もビデオ撮影して、結果を反省するようにしています。
加えて毎回アンケートも採るようにし、どのように改善できるかを毎回考えています。
実はプレゼンには苦手意識があり、いつも上達したいと思っています。
そして、何とかしてお客様の期待値を上回ろうと考えます。
さらに、ビジネスなので収益も考えます。
これに対して、私は写真作品を作る場合は、顧客ニーズを徹底的に考えたり収益を考えるということはありません。あくまで「表現したい」というパッションが出発点です。
では、「商品」と「作品」は相容れないものなのでしょうか?
実は私自身も、「『商品』を『作品』として届けたい」という気落ちはあります。
なぜそう思うのかというと、ビジネスでも感動を伝えたいからなのですよね。
これらをあえて、「収益」「価値/感動」の軸で整理して図にすると、こんな感じでしょうか?
常に「商品=作品」を目指していきたいものです。
ただし、「商品=作品」を目指すには、あくまで「商品」として顧客に価値を届けることが第一歩。
「作品」に育つのは、その次のステップなのかな、と思います。