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「ハイゼンベルクの不確定性原理」を破った「小澤の不等式」は、世界観を変える?

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80年間、量子力学の基本的な法則と考えられ、あらゆる測定には精度の限界があるとした、「ハイゼンベルクの不確定性原理」。

名古屋大学の数学者小澤正直教授は2003年に、この「ハイゼンベルクの不確定性原理」を修正する式を「小澤の不等式」として提唱しました。

このたび、ウィーン工科大学のグループによる実験でこの「小澤の不等式」が実証された、というニュースがありました。

日経サイエンスに詳しい解説が掲載されています。→リンク

 

ちなみに、「ハイゼンベルクの不確定性原理」の式は、こんな式。

 εqηp ≧ h/4π

εqは測定する物体の位置の誤差、ηpは位置を測定したことによって物体の運動量に生じる乱れ。

要は、「物体の位置と運動量を正確に測定しようとすると、それぞれの誤差が必ず一定量以上発生する」という意味です。

ここで言う物体とは、量子という原子よりもさらに小さい物質のことです。

 

一方で、「小澤の不等式」はこんな式。赤字が加わったのですね。

 εqηp + σqηp + σpεq ≧ h/4π

赤字の中のσqσpは、物体が元々もっていた量子ゆらぎです。

つまり小澤教授は、「量子のゆらぎというもともと物体に備わっている性質があって、これは測定とは関係なく決まる」と主張しました。

そして量子ゆらぎが無限大になれば誤差ゼロの測定が可能であり、量子もつれになった2つの粒子ならそうした測定が可能である、としました。(この辺りから、私はほとんど分からなくなってきます....)

今回、それが実験で認められた、ということのようです。

この「小澤の不等式」、決して机上の空論ではなく、量子コンピューターのエラー確率の推定などに威力を発揮し始めているそうです。

  

大学は理科系だったので量子力学は少しだけ勉強しましたが、社会人になって30年近く離れてしまい、すっかり忘れてしまいました。

しかし、「ハイゼンベルクの不確定性原理」については、「モノゴトは正確に測定しようとしても、ある一定以上の誤差が必ず発生する性質を持っている」という意味と理解していました。

「結局、モノゴトは正確には分からない」、これが私にとって、そしておそらくは世の中でも、一つの世界観になっていたと思います。

これに対して、小澤教授が小澤の不等式で述べているのは、「モノゴトにはゆらぎが備わっている。これを考慮すればモノゴトを正確に測定することは不可能ではない」と述べているように思えます。

もしかしたら、世の中の世界観は、少し変わってくるかもしれません。

 

ps. 量子力学は専門家ではないので、正確なところは間違っているかもしれません。なにとぞご容赦下さい。

 

 

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