「答えを教える」コンサルテーションから、「答えを見つけるのを手伝う」コーチングへ
9/27に放映されたNHKクローズアップ現代「“コーチ”をつける社長たち」を見ました。放送当日の夜は予定があったので、昨晩録画で見ました。
竹内さんもブログで詳しく書いておられますね。
私の場合、人と話すときは、ついティーチングしようとしてしまいます。つまり、「あ、その答えはこうです」と言いたくなるんですよね。
しかし本来のコーチングで必要なのは、相手の話を傾聴し、質問を投げかけ、相手が自分で問題解決のヒントを探し出す気づきを促すことです。
実際、相手に教えられるよりも、自分で考えて得た気づきの方が、自分の行動に定着します。
朝カフェ次世代研究会で辻口さんのお話しを伺ったときも、相手の話をしっかり聞くようにするといい結果になることを体験できるようになりました。
しかし、それでもつい相手の話を十分に傾聴せずにティーチングになってしまうことを繰り返しおり、いつも反省しています。
この番組では、改めて気づきをいただいました。
番組では、二人の社長さんがコーチングを受ける様子が描かれていました。
1番目はワンマン社長。部下の仕事を「自分ならこうやるのに」と思ってしまい、黙って見ていられません。そして、すべて自分でやろうとします。
そこに、エグゼクティブ・コーチが問いかけます。
「売上を現在の10倍にするために、自分が一番変えなければいけないところは何ですか?」
「今の自分で、それが出来ますか?どこを変える必要がありますか?」
この社長さんは、
「今まで自分は経営者ではなく、技術者だった。経営者にならなければならない。やるべきことは、私が実行するのではなく、みんなが実行できる環境を作ってあげること。そのためには自分が変わらなければいけない」
という気づきを得ます。相手に寄り添いながら、気づきを促すのですね。
2番目の社長も、ワンマンで実力派。
相手の話を聞いている、と自分では思っていました。しかし自分で話している様子をビデオに取って見て愕然とします。聴いている人達を見ずに、一方的に情熱的に話しているだけ。しかも社員から評価を見ると、「社長は、私たちの話を全然聞こうとしてくれない」という意見ばかり。自分が思っていた自分と、社員から見た自分のギャップに大きなショックを受けます。
社長さんにとって受け入れがたい結果でしたが、その後が偉かった。
社員と真摯に向かい合って話し合い、どのように自分が変わればよいか話し合います。
自分の至らなさを認め、番組で社員と真摯に話し合う社長さんは、一皮むけて成長している、という印象を受けました。
番組を見て、現在においてコーチングが求められている理由がよく分かりました。
コンサルタントは、「答えは私が持っています」という人。ある特定分野の専門家です。
一方で、コーチングをする人は、「答えはあなたの中にあります」という人。答えを見つけ出すのを手伝ってくれる人です。
世の中の変化が激しくなり、過去の成功体験が瞬く間に陳腐化し、先行する成功例を真似ても失敗してしまう時代になりました。
このような時代、他人から成功体験を学ぶ、という方法論が通用しなくなりつつあり、ひらすら「答えのない問い」を問い続けることが必要になります。
コーチングはその方法論なのですね。
番組の後半では、本社内でコーチングを組織に展開し、社員同士でコーチングし合っている会社も紹介されていました。社員一人一人が深く考える意識改革により、成長していこうという文化が生まれています。
番組の解説に出ておられた田坂広志さんは、
「誰かが答えを教えてくれる」というのは、現代の病
今、我々がいる社会は、知識社会。智恵を出していく社会。だから一人一人が深く考えることが必要なのです。
と締めくくっておられました。
自分で考え続ける、ということが、現代、ますます大切になってきているのですね。