「狩猟生活」から、「農耕生活」へ進化する、セールスのスタイル
時代と共に、セールスのあり方は進化します。
これは、「狩猟生活」と「農耕生活」に例えて考えると、分りやすいかもしれません。
現在でも、狩猟で生活を営んでいる人達がいます。しかし少数派です。
一方、数万年前の昔は、人類の多くは狩猟生活を営んでいました。
これは自然界に食料である獲物が比較的豊富だったために、可能だったようです。
実際、縄文時代の日本は、割と豊かな生活だった、という話も聞いたことがあります。
ここから先は想像ですが、この時代、見つけた獲物はその場で確実に捕獲していたのではないでしょうか? そのために、どんな獲物でも仕留められるように、狩りの個人技を究めていたのではないかと思います。
これをセールスに例えると、顧客の現場に出向き、そこで案件を見つけ、顧客の要望には絶対Noと言わず、個人のセールススキルを徹底的に極めて案件を獲得する、といった感じでしょうか?
「どんな要望にも、対応できます」というイメージですね。
案件ベースでの視点が中心で、市場という視点はありません。
ただこのスタイルは、古き良き時代のセールスとも言えますね。需要が飽和し、要望が高度化する時代には、顧客の要求レベルに応えるのは難しいように思います。
一方で、人類はある時期から農耕生活を始めています。
自然界の獲物の減少や人口増などで、自分達で食料を確保する必要性に迫られたから、という説もあります。(もちろん、地域差はあるでしょう)
このような時代は、食料は水田などで自分で大切に育てますし、個人技ではなくチームワークが必要になります。
セールスに例えると、顧客要望が高度化してきたため、顧客課題を考えて市場を捉え、予め課題解決手段を開発しておき、それに合う案件の種を見つけてきて、個人技ではなくチームワークで(場合によっては顧客にも入ってもらって)案件を育てていく、といった感じになります。
予め顧客課題を定義するのですから、顧客要望が想定している課題や解決手段に合っていない場合、Noと言うこともアリでしょう。
ニーズ単位で市場全体を捉える視点も必要になります。
このように考えると、「農耕生活」は、ソリューション・セールスの基本的な考え方であるとも言えると思います。
逆に言えば、「どんな要望にも、対応できます」というのは、本来のソリューション・セールスとは言えないのかもしれませんね。