入社2年目の女性がヒット商品を生んだ理由は、マーケティングの王道を地道に歩んだから
ITmediaに掲載された『男の知らない“きれい”とは――4000枚以上の写真から完成したカシオ端末の「美撮り」』は、徹底的に顧客視点で考え抜いた、とても素晴らしいお話しですね。
当時、入社2年目だったカシオ日立モバイルコミュニケーションズの中澤優子さんが開発チームに抜擢されて、考案したのがこの「美撮りモード」です。
「人物をきれいに撮れる」ケータイに搭載された機能です。
中澤さんは1984年生まれで当時23歳。
この機種が女性を主なターゲットにしていたこともあって抜擢されたそうです。
中澤さんは中学1年生からケータイを使い始め、今まで43機種使い続けてきたとか。
現在でも4機種同時に使っているそうです。
43機種という数も、4機種同時というのも、驚きです。この世代にとって普通なのでしょうか? (私は14年間で6機種しか使っていません。うむむ)
リンク先の記事には、中澤さんご本人がモデルになって、「通常モード」と「美撮りモード」で撮り比べた写真が掲載されています。
これで注目の画質が比較できます。
確かに微妙な差ですが、本当に決定的な差ですね。
この写真の差を見るだけでも、女性の心がいかに微妙なものなのかということが、よく分ります。
素晴らしいのは、この微妙な差は、4000パターンもの写真をチェックするという地道な作業を行った末に辿り着いた結果である、ということです。
単なる思い入れだけではなく、あくまで事実に基づいて仮説検証を繰り返して、「具体的にはよく分からないけどきれい」という狙いをまさに実現しているのですね。
マーケティングの王道を地道に歩んで、微妙な人の琴線にタッチした、素晴らしい作品だと思います。
「顧客中心主義」というものは、大上段に「お客様第一」を唱える環境ではなく、中澤さんのように、当り前にごく自然に顧客やユーザーのことを考え抜いていくという環境から生まれてくるのでしょう。
大きな拍手喝采を差し上げたいですね。