コンペティター・マイオピア?
Harvard Business Review 2007年2月号では「戦略論の原点」という特集を組んでいます。
この中で、大前研一氏の「競争は戦略の目的ではない」という論文が掲載されています。1988年の論文ですが、Harvard Business Review本誌に掲載され、今まで邦訳されていなかったそうで、日本語で世の中に出るのは初めてだそうです。
20年近く前の論文ですが、今読んでも説得力があります。以下、引用します。
「ライバルに勝つ」という目標は、行動方針や業績評価指標を設定するうえでは説得力がある。しかし、その考え方がそもそも間違っているのである。
....ライバルに勝つことだけに血眼になると、戦略は相手の出方次第でくるくる変わることになる。
....相手の一挙手一投足に反応する行動様式が常態化していく。
確かに競争の激しい市場では、常に競争相手の動きが気になります。しかし、戦略の軸足を競争相手に置くと、戦略は状況によりクルクル変わってしまう訳で、首尾一貫性を失う可能性もあります。
戦略プランニングにおいて競合他社の存在を考慮するのは当たり前だが、必ずしも最優先事項ではない。まず考えるべきは「顧客ニーズ」である。
....戦略は顧客第一主義に基づいて立案されなければならない。そして、ライバルを相手にその成否を試すのだ。ライバルに対抗する戦略を全面的に否定するわけではないが、それだけでは受け身になる。ライバルとの勝負は、戦略を立案した後で考えればよい。最優先すべきは、顧客価値を創出する戦略なのだ。
この点は重要な指摘だと思います。バリュー・プロポジションも、このような視点で考えていくと、わかりやすいかもしれません。
また、マイケル・ポーターも、「競争の戦略」で「既存企業同士のポジション争い」だけでなく、他に4つの要因「サプライヤーの交渉力」「顧客の交渉力」「新規参入の脅威」「代替製品や代替サービスの脅威」を考えるべし、と述べています。
ライバルばかり見ていると、自分を見失ってしまう危険性があります。
当たり前のことですが、ライバルのことよりも、お客様に対して我々は何が出来るか、まず最初に考えるようにしたいものです。