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良い落としどころはないものか

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#Disclaimer: このblogの各エントリーはあくまでも私の一個人としての感想・意見であり、弁理士としての公式見解ではありません。よろしくご理解お願いします。

さて、のま猫問題ですが、なんとか良い落としどころはないものでしょうか?

あくまで個人的感覚なんですが、ネット・コミュニティ(あえて、2ちゃんねるとは言いません)が今回の件で怒っている理由は、モナーが勝手に使われたことではなく、モナーを改変して出自を明らかにしなかった点にあると思っています。

2ちゃんねるのコンテンツを使って商売すること自体は、電車男の例もありますし、テレビでも2ちゃん系のAAがんがん使われてますが、それほど問題とはされてないでしょう。しかし、仮に、脚本家がこれは自分のオリジナルストーリーだと主張して、たとえば列車野郎とかのタイトルで2ちゃんに全く触れずに電車男のモチーフで映画を作ったとしたら、仮に法律的には問題なくともCSR的には問題でしょう。

たとえば、"Mona as Nomaneko appears through courtesy of the Net."(「ネットコミュニティのご厚意により、モナーがのま猫のキャラを演じています」)と出自を明らかにしてネットコミュニティをリスペクトしたクレジットを付けるなりの粋な対応はできないものでしょうか?既に出荷済みの商品にはステッカーで対応するとかして。もう遅すぎ?

Comment(18)

コメント

ほげほげ

謝罪や出自の表明なんぞ意味はありません。
少なくても私がほしいのはだれでもがモナーやギコを利用し創作や商売ができる権利です。
GPLやコピーレフトのようなものがほしいのです。

hiro4

今回はエイベックス側の不義理でネットコミュニティに不評をかってしまいましたが、こういったフォークロアで商売をしようとした場合、名称・意匠関係の権利をどのように処理したら良いのでしょうか?
ドワンゴの着メロミックスのCMの様な自社で完結している場合はほとんど問題は無いのでしょうけど、今回の場合は多分、ライセンス商売を計画していたため自社に権利が無いと出来ないと判断したような感じです。
素人考えだと、フォークロアでライセンス商売は出来ないように思います。

僕は「出自を明らかにする」という意見に賛成です。実際にフォークロアというものを考えてみると、そこの著作物には宗教的な意味合いの強いものがありそうですし、それに対しては誰も権利を主張することは出来ないし、すべきではないと思うからです。だから少なくとも・・これは僕の意見ですが、改変物でしか商売はできない。それならば、法や権利の問題というより住民の感情に最大限に配慮した礼儀の問題ではないかと思います。

栗原 潔

よくよく考えて見ると、伝統的なキャラクターライセンス商売としては、エイベックスは当たり前のことをしてますよね。他人の既存の権利に抵触しないことを明確にして、そして、他人が自社の権利に抵触した場合には確固たる対応を取ることを表明するということです。
ただ、フォークロアとは言っても桃太郎や金太郎のように、完全に著作権フリーと言ってよい状態になったものとは異なり、モナーは完全にフリーとは(感情的には)言いにくいものがあります。その辺が問題の種でしょう。
商標の話でちょっと観点が違うのですが、二十四の瞳事件を思い出しました。某化粧品会社が「二十四の瞳」の商標権を獲得して、地元小豆島の商工会ともめたケースです。結局、化粧品会社が無償で商標権を譲渡することで解決がつきました。企業が法律的な権利よりもCSR的メリットを優先した例だと思います。

かとま

まさしく、今回の問題は栗原が書いた通りの事です。
もし、2ちやんねるのモナーとして発表していれば事態は180度違った展開になったでしよう。
きっと「モナー!ついにエイベックスからデビュー!」という事で歓喜を持って迎え入れられたでしょう。
きっと2ちゃんねるでも大部分は好意的だったと思います。
でも、実際は逆。
エイベックスは金のためなら平気で盗作をする会社、何かあったら「ああ、あのエイベックスなら金のために盗作ぐらい平気でやるでしょ」というイメージができあがりつつあります。
のまネコ自体は来年には忘れ去られたとしても、「のまネコ問題」は繰り返し話題になるのは間違いありません。
今後、エイベックスがいくら「違法ダウンロードは止めましょう」と言ったところで、盗人の言う事なんて説得力はありませんし、逆に「インスパイヤ」つまり一部改変すれば著作権なんて踏みにじっても良いという前例をエイベックスがお墨付きの上で出したと言ってもいいです。
既にネット上では、エイベックスと同じく「インスパイヤ」されてドラエモンに眉毛を書けば著作権を主張できのかとか、「インスパイヤ」されてキティちゃんからリボンを取れば違う著作物になるとか色々言われています。
もちろん、比喩と皮肉で言われていて誰もそうだとは思っていませんが、エイベックスががんばればがんばるほど、そして、エイベックスの主張が認められる事態にでもなったらエイベックスに限らず各方面に影響が出てくると思っています。
たかがグッツ販売1つのためにエイベックスの評価は大きく下がりました。
また、今後の盗作問題の時には悪しき事例として末永く語り継がれるのは間違いありません。
本当にエイベックスは愚かとしか言い様がないです。

かとま

すみません、前の投稿では名前をコピペしたせいで栗原と呼び捨てになっていました。「栗原さん」と訂正します。いやー、投稿前にはちゃんと確認しないとだめですね。(^_^; 反省。

livinginabox

> 「違法ダウンロードは止めましょう」と言ったところで、盗人の言う事なんて説得力はありません
違法ダウンロードは違法ですが、avex の行為は法律的な問題ではなく、コミュニティに対する敬意の欠落といった心情的な問題です。のまネコを理由に違法ダウンロードを正当化することはできないし、そういう発言や行為は、コミュニティ側の質が問われることになると思うので、やめるべきです。

yith

はじめまして。冷静に知財の観点から論じられる場を提供してくださってありがとうございます。
自分は素人ですが、著作権法を少し勉強してみました。その上で、法的な観点から、疑問に思っていることが何点ありましたので、質問させていただきます。

1:そもそも、「のまネコ」は、「モナー」の二次的著作物に当たるのでしょうか?
avexは、「アスキーアート(以下AA)にインスパイヤされた」と言っていますが、「新たなオリジナリティを加えてキャラクター化した」とも言っています。結局、「のまネコ」は「モナー」の二次的著作物にあたることを認めているのかいないのかよくわかりません。

2:今後は、「のまネコ」に類似したAA・キャラクター(以下キャラ)は自由に作れなくなってしまうのでしょうか?
avexは、「のまネコ」の著作権を主張し、「既存のAA・キャラ」の使用に対しては問題ない、との声明を発表しましたが、今後作られる作品に関してはあえて言及していません。これは、例えば、私が「モナー」を原著作物とするつもりで新しいAA・キャラを考えたとしても、「のまネコ」に類似していると認められた場合、「のまネコ」の二次的著作物として扱われて、avex側に権利が発生する可能性があるということなのでしょうか?

3:原著作者が不明の場合は、文化庁長官の裁定と補償金の供託がいるのでは?
著作権法第八節六十七条には、「著作権者不明の場合は、文化庁長官の裁定を受けた上、著作権使用料の代わりの補償金を供託せよ」と書かれているように読めます。仮に「モナー」が著作権者不明だとすると、avexは、この手続きをとっているのでしょうか?

かとま

livinginaboxさんへ
あくまで違法ダウンロードは「違法」です。もちろん、正当化できる事ではありません。
私が言いたかったのはエイベックスが言っても「説得力」に欠ける事態になるという事です。素直に聞けないという事であり、エイベックスが「違法ダウンロードは止めましょう」言っている事自体は正しいと思いますよ。

関係無い話しですが、商標検索を行っても「のまネコ」では何もヒットしませんでした。商標登録以前に商標申請さえ見つけられませんでした。(C)マークは商標登録されないと使えないという認識でいたのですが、何か認識が間違っているのでしょうか?(別に誰かに質問しているわけではなく、個人的に分からないという事で)

栗原 潔

>>かとまさん
(C)は著作権(Copyright)のマークですから、商標権とは関係ないですよ。
あと、商標登録出願しても1ヶ月間くらいは公開されません。ネット(IPDL)の商標検索で検索できるようになるにはさらに時間がかかります。つまり、現時点ではAVEXがのまネコを商標登録出願しているかどうかはわかりません。
>>yithさん
AVEXはのまネコとモナーは別の著作物であると主張していると思います。つまり、二次著作物ですらないと言っているということです。

yith

>栗原さん
早速のご回答ありがとうございます。なるほど、avexは、二次的著作物ですらないと主張しているるととれるのですか・・・これって、結構怖いことですよね?
なぜって、もし、二次的著作物ですらないとすると、モナーを改造してキャラを作ったつもりでも、のまネコに似ていたら、avexから訴えられることもあるってことになるわけですから。
参考になるところは徹底的に真似をして、ひとたび自分の物にしたら、他人が真似することは許さない、という姿勢ですかね。相手がライバル会社だったらわからなくもありませんが、購買層と重なっているコミュニティーに対して行うのは、企業戦略的に失敗だと思います。

楽曲の違法ダウンロードの件が話題に上っていますが・・・「のまネコ」のやり方が許されるのであれば、同じ論理で、既存の曲の頭に少し音を入れたりしてアレンジしただけで、オリジナル曲だと言い張って、アップロードすることも許されてしまうのでは?と思うのですが、どうでしょうか?

栗原 潔

著作権上の二次的著作物とは、翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、その他翻案したものということなので、今回は当てはまらないのではと思います。(ここで言う変形とはアニメ絵をぬいぐるみにしたりとかそういう話です)。
インスパイア(ヤ?)という言葉使いは、別の著作物であることを示唆していると思います(それが正しいことであるかはさておき)。
たとえば、荒野の7人は七人の侍にインスパイアされた映画(別の著作物)と言えます。もし、七人の侍アニメ版というのがあれば、それは黒澤映画の七人の侍の二次的著作物と言うことになります。

かとま

栗原さんへ。
確かに(C)はそうでしたね。超初歩的勘違いで恥ずかしい限りです。考えたら私が仕事で作ったホームページにも自分自身で(C)を入れてました。
また、商標のネット公開もそうですね。
以前、商標申請した際にネット公開までの時間が長くてやきもきした記憶があります。更に実際に登録されるまでにもけっこう日数が必要でしたし。
間違いのご指摘ありがとうございます。

横から失礼します

二次的著作物の変形でアニメ絵をぬいぐるみに……という話しですが、ではモナーのぬいぐるみだとどうなるのかな?
つまりavexから訴えられる可能性はあるのかな?と素朴な疑問に思うのですが。
そのようなものはavexに連絡してくれ(許可をとってくれ?)、という返事をavexからもらったという話しがどこかにありましたが。

栗原 潔

著作権法上は、モナーぬいぐるみはモナーのAAから作った(のまネコから作ったものではない)と主張すれば(そしてそれを裁判官が認めてくれれば)大丈夫です。
ただややこしいのは、不正競争防止法というのがあって、モナーぬいぐるみをのまネコぬいぐるみと混同して買っている人がいて営業上損失を出したとAVEXが主張してそれが認められると面倒なことになります(まあ、いくらなんでもそこまでははしないと思いますけど)。
後、AVEXがのまネコのキャラを商標出願しているとこれまた面倒なことになります。

横から失礼いたしました。

横入りの質問にご回答いただき、ありがとうございます。
不正競争防止法……ありましたね、そんなの。
とか言っちゃいけない大事な法だとは思いますが、(例えモラルに反していても)著作権や商標権を握られてしまうと、もう相手の手の平の上で踊らされてるだけ、せいぜい握りつぶされないようにご機嫌を伺うしかないのか、と言ったら言い過ぎでしょうか。

>もし、七人の侍アニメ版というのがあれば、それは黒沢映画の七人の侍の
>二次的著作物と言うことになります。

議論の本質とは全く無関係且つ余計なお世話なんですが、ファンとしては気になるので、指摘しておきます。「七人の侍」のアニメ版は存在します。

SAMURAI 7
http://www.animax.co.jp/program/program.php3?naiyo=m_samurai7

栗原 潔

これはすみません。アニメ系まったく疎いもので。
(C)黒澤明となっていることから、これはインスパイアものではなくて、二次的著作物と言うことでしょうね。
まあ、現実的には、インスパイアされて作った別著作物なのか、翻案して作った二次的著作物かの厳密な線引きは難しいですけどね。

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