ようやくまともな(?)万年筆購入
このところいろいろ万年筆を買っていますが、オークションやほとんどチェックされていない中古品・委託品などばかりでした。分解してメンテナンスするのも楽しみの一つなので、状態が良くわからないものはある意味ドキドキする楽しさもあるのですが、たまには最初からまともな状態のものを買いたいと思い・・・
ヴィンテージ万年筆専門店で購入!
新品を買おうと思っていたのですが、新品で魅力的なものはとてもお値段が高くて。
ここのお店はちゃんとメンテナンスしてから販売していて、保証もあります。店主の方も楽しい方で、いろいろと万年筆の深い話を教えていただけました。
万年筆はペンポイントのサイズ・ニブの柔らかさ・軸の太さ・重さ・サイズなど書き心地に関係するポイントも様々ですし、軸の素材・色柄・インク吸引方式・ ブランドなど、好みの面でも様々ですので、あるものを手に入れると、また別のタイプが欲しくなったりするものなのですが、今回のポイントは、「セルロイド 軸で綺麗な柄のもの」でした。いまでもイタリア製や国産でもセルロイド軸の万年筆は新品で販売されているのですが、私の場合、今のところピストン吸入式が 好みなので、現行の国産では存在せず、海外製はかなり高かったりで、結局ヴィンテージものになりました。
モンブランですが、ドイツ製ではなくデンマーク製です。マーブル模様がキラキラしてとても綺麗です。もちろんピストン吸入式。244というのは、モンブランではセカンドグレードで、サイズが2,4,6,9(8とかも時代によってありますが)と大きくなるうちの小さい方から2番目。ドイツ製でも244はあるのですが、デザインや柄が異なります。
デンマーク製の特徴はキャップ先端の形状ですね。ドイツ製は丸くなっています。
おそらく1950年あたりのものでしょう。トップグレードに比べるとニブはシンプルな刻印です。
キャップにはこの時代特有のロゴがあります。
ほとんど同じに見えてボタンフィラーもありますが、これはピストン式。
ボタンフィラーだとインクはゴムサックの中なので外から見えませんが、ピストン式でインク窓が一応あるので、インクの様子が見えます。中のコルクが見えています。コルクはお店で購入を決めてから新品を組み込んでもらえました。オークションなどで入手するとピストン式で困るのはコルクです。コルクを自分で探すか、Oリングなどで試行錯誤が必要になります。専門店で購入するとこういう点がとても安心です。
モンブランマークは小さくて控えめです。ニブやボディはピカピカに手入れがされていますが、クリップはちょっと汚れていますね。まあ、この方が味があって良いという人もいることでしょうけれど、私はやっぱりピカピカが好きなので、後で手入れをすることにします。
ついでに、渋いインクを見かけたので買ってきました。「ナポレオン・ボナパルト」ブルーブラックです。ちゃんと色見本があったので、私の好みの渋めのブルーブラックを選びました。
さて、クリップの汚れを綺麗にするために、キャップの分解です。モンブランのホワイトスターマークの部品がネジになっているので、ゆるめればいいのですが、ネジはエボナイト製、キャップはセルロイド製のため、セルロイドが縮んでいてとても硬いのです。最初からドライヤーを使って、温めながらゆるめて外しました。小さいので回しにくいですね。
リューターでクリップを磨きます。
クリップの裏は緑青もあって、かなり汚れていましたが、ピカピカにできました。
満足!
ペン先や吸引はバッチリなので、とりあえずもうこれ以上いじるところはないです。やっぱり専門店は確実ですねぇ。
さて、モンブランが4個になりましたので比べてみましょう。黒い3本はマイスターシュテックつまりモンブランのトップグレードで、今回のはセカンドグレードですので、キャップリングがシンプルだったりと違いがあります。本当は146・144・142の色軸モデルが欲しいのですが、強烈なプレミア価格になっているので、とても買えません。デンマーク製は不人気なのか、なんとか買える価格です。ちなみに、昔はモンブランはグレードが3~4段階くらいあったのですが、今は基本的にトップグレードしかありません。高級路線になってしまいました。
黒い3本は同じように見えて、実は146は1950年代のものなのでセルロイド製です。黒だとプラスチック製とぱっと見は違いが分かりません。
一番手前の144と244は基本的に同じサイズなのですが、144はカートリッジ・コンバーター両用タイプなので、軸が長いですね。なお、244はクリップの形状が14Xシリーズとかなり違い、現行のモンブラン製ペンケースにはクリップをはめられません・・・。
149のニブがとてつもなく大きいですねぇ。
146と244は同じ時代のものなので、ペン芯は同じような形状です。ニブも似た感じで、とてもしなやかです。
ペリカンの100nとはほぼ同じサイズです。
キャップをお尻に装着すると100nは断然長くなり、書きやすいのですが、セルロイド製のキャップは割れやすいので、差し込みが浅くてなおさら危険ですねぇ。
同じ時代なので、ニブも似たようなイメージです。どちらもFなので、書いた際の線の太さも大体同じ感じです。やや100nの方が硬い感じですが、ニブのペンポイント側が244に比べるとかなりおじぎをしているのと、平らな部分が狭いからでしょう。いずれも今どきの万年筆に比べるとかなりしなやかで、Namiki Falconよりも柔らかいです。
モンブランは限定品以外は真っ黒のボディしか作らなくなってしまいましたねぇ。セルロイドは縮むし割れやすいし、接着が困難と、扱いにくいのですが、やっぱりこの透明感がたまらないのですよね・・・。
次々万年筆を手に入れて羽振りが良さそうに見えるかもしれませんが、使わなくなったエレキギター関連やカメラ関連を手放した分で地味に楽しんでいるのでした。買ったからにはどんどん書きたくなり、おかげで住所と名前だけはかなり書き慣れて、習字や硬筆を習っていた息子からも「相当練習した?」と褒めて(?)もらいました。