おもいやりとおもてなしのこころ
社内のコミュニケーションを活性化したいという場合、いろいろなアプローチがあるがイマジネーションを高める必要性については以外に語られない。ではイマジネーション力を高めるためにはどうしたらいいのか?イマジネーションと言うと急に感性の世界だから・・・と片付けてしまいがちだが、私たちは「対話」「表現」「発見」が起こる場を仕掛けをすることが、そこに繋がると実感している。
先日あるメーカーさんの工場を見学させていただいた。イノベーションを仕掛けていきたいという役員の方からのラブコールに答えての訪問。いきなり責任者15名ほどの前でプレゼンなどハードなスケジュールだったものの、アーティストKUNIさんと一緒だとちょっと社会科見学みたい。(笑)
製品ができる工程やオペレーションの詳細など聞きながら、かなり細かく見学させていただいて、気がつけば体が痛くなってきた。事故があってはいけない緊張感。製品に不備があってはいけない緊張感。機械ができないところは、つまりは人の感性や繊細な能力にかかっている。そしてその部分がアジアとの競争力の中で強みだという。日本のモノづくりのすごさは人のすごさだと改めて実感する。
ただ、その緊張感は空間すべてを覆っていた。ほっとする場所。ワクワクする場所。笑い合える場所はなかなか見当たらない。変な話だが、テロの年の6月にNYの街で感じた緊張感を思い出した。その時も全身が痛くなってしまった。
正直に感じたことをお伝えたところ大変ショックを受けておられた。名誉のために言えば、その会社が特別だとうことではない。その後他のメーカーの方に聞いても、どことも同じようは状態のようだし、その中にいるとそれが普通になってしまうのだという。
高度成長期の中で、得たものと捨ててきたもの・・・捨ててきたものをそろそろ取り戻すことが経営を変革することになる。人の能力をもっと引き出すことになる・・・ということなのかもしれない。
取り戻すためにはどうしたらいいか?それはまずはどうしたらいいか「枠をはずして」考える場を作ること。イマジネーションを膨らませる、自由に考えることを自分に許すこと・・・。そうは言っても、急には考えられないと言う方も多いので、呼び水になるような刺激を与えることも必要だ。まず何も感じなければ、何を考えていいのかわからない。
そしてそこでの思い出すのが「おもいやりやおもてなしの心」。取り立ててアメリカナイズされた手法である必要はないのだ。
辻さんのブログ「受付を工夫して・・・」にもあるが、それも日本的にいうと「おもいやりとおもてなしのこころ」とも言える。辻さんが受付で感じられたことは、まさにおもいやりやおもてなしの心が感じられなかったということ、それは社外に対してだけでなく社内も同じ状態に陥っている可能性が高い。
私の尊敬する「ねむの木学園」の宮城まり子さんの言葉で、「福祉」と書いて「おもいやり」と読ませていたが高みから言っているようでいやになり「あたりまえ」と読ませた・・そしてそれもしっくりいかなくなり、最後に「文化」と読ませることにしたという話があります。
日本にも、そんな心使いがあたりまえであり文化になっていた独自の経営があったはず。私自身もそれを継承しながら経営に生かしていきたいと思う。