2013年のクラウド予測:第一弾:DCIM(Data Center Infrastructure Management)にとっての2013年
1. DCIMのカバーする範囲がエネルギー管理より上のビジネス面での管理に広がる。
DCIMの従来の役割は、主としてデータセンターの電力消費等、インフラの運用コストの最適化のためのソリューションとして位置づけられていた。今後この機能がよりエンハンスされ、データセンター全体の運用効率を監視/管理し、向上させるためのツールとして活用される方向に成長していく事が予想される。電力消費に特に着目していたのは、データセンタ運転コストの最大要因である、電気料金の値上げに伴い、如何にそれを安くするか、という事に最大の関心が寄せられていた事に要因がある。他のコストも同様に上昇の傾向にあり、それを同様に管理するニーズが高まっている。
2. 顧客の知識がますます高まり、その対応が必要になる。
2011年の後半は、まだDCIMの価値についてはあまり市場に浸透していなかったせいか、受注は一部の非常に先進的な顧客に絞られていたのが現状。
今や、DCIMのもたらす価値を理解するユーザ(データセンタ運用者)も多くなってきており、Nlyte社の様に2012年の後半から急激に売り上げを延ばし始めているベンダーが目立つようになってきた。具体的には、RFPの数も多くなってきているの現状のようだ。
3. 市場はかなり混み合っていて、買収、合併等の動きはかなり活発になる。
現在、DCIMソリューションを出しているベンダーハ80~100社に登るが、提供しようとしているソリューションはあまり統一感が無く、ユーザに取っては選択が非常に難しい状況である。恐らく2013年の後半には、10社程度の大手ベンダーが買収を通して広い機能セットを提供する市場構成が期待されている。これらの統合によって、DCIMの市場に於けるメッセージもある程度統一される、と予測される。
4. 新しいタイプの競合の登場
今まで市場にいなかった会社でDCIM事業に参入するベンダーも登場する傾向もある。最も成長する可能性が高いのは、BMC、HP、IBMとCA Technologiesの4社になる、と予測する。
5. 価格体系が明確になる。
先日登場したGartner Groupのレポートによると、DCIM業界の価格帯をもっとわかりやすくする必要があり、この複雑な価格体系が市場への浸透を妨げている、と述べている。
最も受け入れられているのは、ラック単位の価格体系の様であり、この体系の基づいたソリューションが多く登場するものと予想される。価格帯としては、現在$500~5,000、と非常に幅広いが、最終的には$1,000/ラック程度の価格帯に落ち着くもの、と思われる。
6. オープン化
業界は、DCIMのオープン化を強く要望している。DCIM間、もしくはDCIMとつながるデータセンタの他のコンポーネントとのインタフェースの同期が必要になっている。
7. DCIMエコシステムの形成
DCIM業界内でのエコシステムが形成され始める、と予測される。特に開発者同士の連携を通して、DCIMシステム間のデータ互換性の確保が大きなメリットとして出てくる。所詮、DCIMはデータセンタ内の様々なデータを集めて分析をするツールである故、より多くのコンポーネントと接点を持つ事が重要になる。
8. 視覚的な機能より分析機能を重視
DCIM市場の当初は、様々なレポートやコンソール表示等を通して、視覚的に訴えるソリューションが多く、マーケティング重視のビジネスモデルであった、と言われている。これが、より機能重視の市場に移っていき、今後は異なるシステム間を統括する機能、広い範囲のデータを収集して高度な分析を行う機能、等の面でベンダー間の競争が激化するもの、と想像する。
9. リアルタイムデータ
リアルタイムに情報を収集する事の重要性はあるが、市場は、それよりもDCIM内の様々なコンポーネントが統合的に動く事とシステム間の互換性がより重要な要件となる。
10. 25%の市場シェア
Nylite社のMark Harris氏の予測によると、2013年の6月までには25%の市場シェアが確立する、考えられている。
記事=http://www.datacenterknowledge.com/
投稿者=Jason Verge, Editor/Industry Analyst on the Data Center Knowledge
投稿日=1/3/2013