Swarm Computing: McAfee買収の裏にある、Intelの新しい戦略
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Intelが先ごろ発表したMcAfee社の買収を通して、Intelが狙っている次世代のコンピューティング環境についての分析が様々なところで行われている。
Infoblox社のGreg Ness氏によると、Swarm Computingとい新しい市場の登場を提唱しており、今回のIntelのMcAfee社買収がこの新たな市場に対するアプローチである、と予測している。
Swarm
Computingは、最近話題になっている、Ambient Computing、Pervasive
Computing等といったキーワードと同様に、元々の源流をUbiquitous Computingに持つ。Ubiquitous
Computingは、Xerox PARC研究所の当時Chief TechnologistであったMark
Weiser氏が1980年代から1990年代にかけて提唱した言葉で、MITのOxygen Project、MEMSのSmart Matter
Project、等、数多くの文献が登場し、一時期話題になった。基本的には、多くのコンピューティングデバイスに囲まれた状況の中で、人間がどの様にそれを利用するか、というコンセプトである。
Intelがこの動きに向かおうとしている根拠は、Intelの製造するCPUの市場が従来のPC市場から、急激にネットワークデバイス(スマートフォン、タブレット、等)中心の時代に変遷している、という事である。
ネッ
トワークデバイスの数は、既にコンピュータの数を超えている、と言われている。毎年増えるネットワークデバイスの数は、1999
年に存在してた全てのデバイスの数を超えている。これらのデバイスのCPUを製造するIntelとしては、この事実に注目しないはずが無い訳である。
すなわち、今日の「ネットワーク」、と呼ばれるものは、PCのネットワークではなく、もはややモバイルデバイスのネットワークである、ということである。
"More than 1 billion mobile devices will access the Internet in the New Year, research firm International Data Corp. (IDC: 33.83 +0.03 +0.09%) says. That's catching up to the 1.3 billion users that use a PC to go online, and the rate of growth for mobile users is 2.5 times the growth rate for PC use."
IDCの予測によると、来年頭には、10億台のモバイルデバイスが市場に存在し、オンライン接続しているPCの総数である13億台に迫る勢いである。モバイルデバイスの伸び率はPCの伸び率の2.5倍であり、逆転するのは時間の問題である。
こ
れだけの数のネットワークデバイスが接続し、相互通信が行われる環境において、Intelの最大の関心は、セキュリティを如何にハードウェアアーキテク
チャレベルで確保するか、ということである、
当然、ネットワーク上のアプリケーションやミドルウェアのレイヤーでセキュリティを確保する事も発想としてあるが、果たしてこれだけ分散化した環境で上位
のソフトウェアが下位のハードウェア、ネットワーク機器環境通信プロトコルまでをカバーできるセキュリティを確保する事ができるのかどうか、という疑問が
出てくる。
Intelのコンセプトは、ハードウェア、それもCPUレベルのプロセス間通信のレイヤーで強固なセキュリティを確保してはじめて、上位レイヤーでのセキュリティ実装が可能になる、という考え方にあるのでは無いか、と類推する。
そのハードウェアレベルでのセキュリティプロトコルに関して、今回の買収で独占的な仕様を作り上げ、市場に一挙に投入することができるのであれば、非常に戦略的な買収である、
という事ができる。 AMD等はどういう動きを取るのか、非常に興味が湧くところである。
個
人的には、クラウドコンピューティングの新たな時代に向けたアーキテクチャの登場、と解釈しようとしている。
VMWare等の仮想化技術をさらに超えた、真のUbiquitousクラウド、という感じだろうか?
スマートグリッド市場で大きく伸びている、AMI技術と非常に近いアプローチである、という事も非常に興味深い。
http://www.infra20.com/post.cfm/intel-prepares-for-age-of-swarm-computing#
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