コメントできる展覧会
ニューヨークにあるメトロポリタン美術館で、ブログを活用した展覧会が行われているそうです:
■ 「ブログ・モード」展開催中 NYメトロポリタン美術館 (asahi.com)
メトロポリタン美術館で「ブログ・モード」展が開催中だ。18世紀から現在まで約65点の服飾作品を、美術館とウェブサイトで公開する新しい試み。サイトには作品がほぼ毎日1点ずつアップロードされ、誰でもコメントを書き込める。
とのこと。コメントは100件以上寄せられる日もあり、オンライン上でのディスカッションが活発に行われているのだとか。例えばこちらの"Casta Diva"というイブ・サン・ローラン作のドレスについては現時点で27件のコメントが投稿されていて、「ゴージャスなドレスで本当に素晴らしい」「私は80年代のクチュールが美しいと思ったことはほとんどないんだけど、これだけは例外だ」などの反応が返ってきています。
ウェブサイト上で収蔵品を見せる美術館は珍しくありませんが、1つの展覧会に専用のブログを設け、そこでディスカッションを可能にするというのはユニークな試みではないでしょうか。考えてみれば、美術ファンでもない限り、友人や家族以外の見知らぬ人々と特定の展覧会・展示品について語り合う、というのはそれほど頻繁にある経験ではないでしょう。もしかしたら「こんなのアートじゃない」「この展覧会にこの作品を選ぶなんて、キュレーターはセンスがない」などと酷評されてしまうかもしれません。しかしそうだとしたら美術館の側にとっても、観客の率直な反応をダイレクトに得る新しい手段となるでしょう。
ここから先は個人的な意見で根拠はないのですが、美術館での企画、特にインスタレーションを対象にして「ニコニコ動画」のような取り組みを行ってみたら楽しいんじゃないかなと想像しています。ある作品・行為を目の前にした個人の感想を、時間と空間を超えて共有する――まさにニコニコ動画で日々繰り返されていることですが、それを美術館に応用すれば、アートの新しい楽しみ方として支持してくれる人も多いように感じます。「1つ1つの出展作品にコメントできる展覧会」が、その第一歩になってくれたら面白いのですが。