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Lotus Spring Forum 2009

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P1060657  開催から気づけば2週間ちょっと経過してしまいましたが,3月6日にIBM大阪事業所で開催されたLotus Spring Forum 2009の様子をご紹介しておきます.
 今回ちょうど2年ぶりに大阪でも,ノーツコンソーシアム主催のパネルディスカッションが行われ,前回に引き続きモデレータを担当させていただきました.
 パネラーには,下記のとおり関西を拠点としてNotes/Dominoをこよなく愛されている方々と,IBMを代表してNotes/Domino8.5の紹介セッションを担当された大川さんにパネラーとして参加いただき,コンソーシアム座談会としてみなさんに語っていただきました.

【ノーツコンソーシアム座談会 パネラー】
 <ユーザ企業代表>
   ・バイエル薬品(株) 浜さん
   ・日東電工(株) 峯さん
 <ビジネスパートナ企業代表>
   ・キーウェア西日本(株) 浅居さん
   ・京セラコミュニケーションシステム(株) 野口さん
 <IBM代表>
   ・Lotus事業部 大川さん

P1060660 ・テーマ1:そもそもみなさんお使いのバージョンは?
 ディスカッションを開始する前に,ご来場いただいた約130名のみなさんに,そもそもみなさんの現状お使いのバージョンは?という問いを投げかけてみました.会場にいらっしゃったIBMのみなさんも興味津々にご覧になられていました.
 8.5を使用している方はIBMさん以外は0.まあ1月末にリリースされたところですからね.
 8.0を使用している方は,ポツンと1名手が挙がった.2007年9月のリリースから1年半.予想はしていたものの本当に少ないなあというのが率直なところです.
 続いて,7.0および6.5がともに,会場内の4割程度の方から手が挙がり,6.0が1割程度,R5が数名で,R4.6以前は今回は0名でした.
 現状の主流として,6.5~7.0あたりのバージョンが使用されている実情が見えてきましたが,6.5のサポート期間が2010年4月30日まで延長されたため,あと1年後くらいには6.5ユーザが8.0なのか,8.5なのか,はたまたそのままサポート外で使用していくことになるのか,その動向を今後もおっかけてみたいです.

・テーマ2:現状のNotes/Dominoの問題点は?その解決方法は?
 現在Notes/Dominoを積極的に使用されているみなさんだけあって,Notes/Dominoの利用価値は認識した上で,運用上の問題点を多数挙げていただきました.その中で2つの観点に絞って意見交換を実施しました.

P1060654 1) DBの乱立が運用管理の負担に・・・
 Notes/Dominoの良さはエンドユーザでも手軽にDBを作成でき,業務で必要になったものをパッと作ってしまえるところにあるといっても良い.それがゆえ,システム管理者の管理が及ばないところで多数のDBが無造作に作られ,いまなお使われているかどうか不明なDBサーバ上に数多く残ってしまっているというのが多くの企業さんで見られる現状であろう.各DBの生死確認(使用されているかどうかの判断)を行うにも,担当者が異動になって確認を取れないものも多く,ましてやその数が多いためすべてについて確認をとるには管理者の負担が大きいというパネラーからの意見である.
 それに対して,社内で相当数のDBを運用するIBMでは,一定期間アクセスのないDBについては,容赦なく削除され,必要であればユーザ側でレプリカを作成などの措置をとるルールになっているようだ.
 しかし,ユーザ企業の代表者からは,容赦なく削除したとしても,結果的に利用者からデータを復元するように依頼されるはめになるとの声があがった.
 これはどうも,利用者のNotes/Dominoに対する意識の違いと,情報システム部門が社内でどのような位置づけ(影響力)であるかによって,対応が難しい課題である.

2) ND8クライアントの起動時間が遅い・・・
 バージョン8がリリースされた当初からリッチクライアントに対応したStandard版の起動時間の遅さには定評があり,8.5のリリースによって改善はされているものの,利用者にとってはまだまだストレスを感じるものである.パネラーからは,マシンスペックが低いということもあるが起動までに10分程度かかっているのが現状という.
 これに対して,IBMサイドからは,最初の起動(コールドスタート)には時間がかかってしまうが,一度でも起動した後の再実行(ウォームスタート)にはそれほど時間がかからないと主張.たしかに,私が使用しているCore2Duoマシンでもウォームスタートについては数秒で起動できる.コールドスタートには数十秒レベルかかっている.
 パネラーから,「ウォームスタートが速くても,実際の利用シーンでウォームスタートをすることってあります?」の問いには,さすがに「あまりないですね。。。」とタジタジになる場面も.
 ちなみにということで,急遽飛び入りでIBMサイドから,Linux上であればそれほどスペックが高くないマシンでも,体感的に起動時間が半分くらいになりますよというコメントもあがった.ND8クライアント導入の際は,WindowsOSからLinuxOSへの置き換えということも一案としてあるのかもしれない.もちろんND8に相当な魅力が感じ取られる場合ではあるが・・・

P1060665  ・テーマ3:Notes/Dominoに抱く夢は?
 最後にパネラーにみなさんにとって,今後将来に向けて,Notes/Dominoがどのようになってほしいか?Notes/Dominoに抱く夢を聞いてみました.
  ・現行機能を踏襲したまま完全Web化
  ・1つの設計でNotesクライアントでもWebクライアントでも同じように利用できる
  ・Webアプリケーションの構築を容易にする
  ・かつてのロータスコンポーネントのようなグラフ,表計算の連携がスムーズにできる環境
 4名中3名がWeb化という内容を取り上げていました.従来のNotes/Dominoという独自の世界から,オープンなWeb環境に完全に対応することで,今後を担う技術者や利用者が引き続きNotes/Dominoが提供する価値を受け継いで,使い続けてくれるといったところを夢見ているのかもしれません.
 最後にIBM代表でパネラーを務めていただいた大川さんから,「それとは気づかないうちに,利用者に使われ,人と人,人と情報を結び付けるようなコラボレーションインフラとして成長してほしい.コラボレーションOSという位置づけを確立してほしい.」というコメントで座談会は閉会した.パネラーのみなさん,当日ご来場いただいたみなさんに感謝します!!

 久々にNotes関連のカンファレンスに参加させていただきましたが,Notes/Dominoをこよなく愛されているユーザがまだまだたくさんいらっしゃると改めて実感しました.私もその一人として,今年はNotes/Dominoにかかわる時間を増やしていきたいと思う.このブログも最近はロボコンばかりでしたので,少し原点に立ち返ってみたい.引き続きよろしくお願いします.

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