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ブラジルの発展とアフリカの停滞

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Foresightの特集で、ブラジルの急成長が取り上げられていました。相対的に考えると、中国、インド、ロシアよりも有望な市場であり、かつ世界の経済ドライバーとしての役割を果たす可能性が高いようです。資源争奪、バイオエタノール、穀物市場の変化と追い風になるものも多いことも事実ですが、その一方で十数年前まで破綻寸前であった国家ということが信じられない状況です。

一方で資源産出国が多くありながら政情安定、経済成長という道をなかなかすすめないアフリカの事情は複雑なようです。今回読んでみた「アフリカ 苦悩する大国」は、断片的ではありながらも、日ごろ私達があまり知らないことも含めた、実地での見聞を元に、アフリカの現状、成長のシナリオに入っていけない原因、さらにはそれに対する対処まで、多岐に渡った論旨展開を行なっています。

特に実態を確認した上での指摘として、”南アフリカにおける「積極的差別是正措置」は、貧困層を助ける効果は薄く、実際には高学歴の中間層のみが恩恵を受ける”という事実です。私の感覚では、「どんな人にでも初めの土俵を同じにする」、そして「その後競争をさせる」ということが「積極的差別是正措置」だと思っていましたが実態は全く異なっているようです。そして何よりも「積極的差別是正措置」で恩恵を蒙った人達を中心として、「積極的差別是正措置」は維持されることになり、アメリカを除いて世界では「積極的差別是正措置」が廃止されたことも一例もないそうです。

また、アフリカの現状として、心を痛めるものとして、先進国にクラス人達の善意の理屈による行動が、かえってアフリカの現状を悪化させていることです。例えば、アフリカで不当に安く労働力を搾取しているとして企業が攻撃された場合に、多くの場合には企業活動が衰退してしまうそうです。その結果、たとえ一円でも収入があった人達は職を失い貧困が激しくなるようです。つまり「少しでも収入がある」という状態と「職も収入も無い」という状態の選択肢しか無い状態の人達を、結果として悪い方向へ追いやっているという結果も多く存在しているようです。

だからと言って、支援を行っても、アフリカ諸国ではまだまだ不正が横行していて、支援が結果として何も役に立たないことも多いようです。

私達からは、もしかすると一番遠い国々であるアフリカの現状を垣間見ることができたとともに、どうすればアフリカが力をつけて発展することができるのか、改めて考える示唆を与えてくれました。

日本も人口減少の影響で、相対的には経済力が低下する可能性が高いため、ブラジルもそうですが、世界の随所での経済発展とそういった国との交流が日本の将来を支える柱になると思います。その意味でも、経済、政治だけでなく、社会の仕組みを構築していくために、日本がどのような貢献をすべきか、ODA以外にももっともっと真剣に考える時期に来ていると思います

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