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前提を取り払う、結果を疑う

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仮説思考という言葉も定着したと感じますが、仮説思考を誤って使用しているケースはよく見受けられます。私の目にしているところでは大きく分けて2つ、ひとつは限られた範囲での前提に縛られた仮説を立てるケース、そしてもう一つは仮説から出てきた結果を疑わないケースです。

まず前者ですが、仮説を立てる前にある程度の前提は必要ですが、自らの知識や経験に縛られて”こういうことしか起こりえない”ということを前提にする人を見かけます。これはある意味で、その後の論理も結論も先に決めている場合が多く、融通が全くなくなるだけでなく、そもそも”こういうことしか起こりえない”という前提が何を根拠にしているのか、逆に言うと”それ以外のことが起きる”ということが全くないのか、またはきわめて少ないのかということを無視しています。ブルウィップの理論ではありませんが、手元(出発点)の振幅が小さい(限定されている)と、最終的な振れ(結論の幅)も小さくなります。ある程度の振幅の振れを抑えるために仮説を利用して、思考錯誤を繰り返すのですが、”こういうことしか起こりえない”と言う前提では振れは全く無くなってしまいます。

また、後者は前者とセットになることが多いと思いますが、出てきた結論を疑わない、検証しないケースです。偶然であったり、そもそもの前提を限定した結果であれば、結果自体の網羅性だけでなく発生確率も低いものかも知れませんし、何よりもその結果を正しいと判断することが思い込みであってはいけないと思います。

「仮説思考=前提を置いて、結論への近道を作る」という誤解の元で、誤った検証・検討を行い、結果として修正のための労力がかかるという繰り返しの中ででも、上手な仮説の立て方(一種の演繹法の実践ですね)を理解して、間違えないように思考方法を活用して欲しいと思います。

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