複雑な問題の検討で”はまった”ときの対処
様々な検討を行っていく過程で、どうしても細部にこだわってしまい、全体が見えなくなることがあります。特に検討期間が長い場合、複雑な事象の場合には、検討が深まるにつれて様々なケース・バリエーション、オプション、前提条件など、網羅性の追及をするにあたって発見される複雑な要素に気をとられ、どうしても分析や結論付けが「細部にこだわるが、全体が見えず」また「詳細なのだが、網羅性があるかどうかわからない」という内容になります。特に分析等の上流工程の経験が浅い人によくありがちな傾向です。
このような状態になった時には、殆どの場合が対応方法自体を明確に理解できないほど袋小路に入っています。従って、現状のアプローチや資料に対する小手先の対応策でなく、具体的に根本から考え方を構築しなおす指示が必要になります。その場合には、一度作成した資料をすべてご破算にする必要があります。
では、上記のような状態でまず何をすべきでしょうか?そこでよく言われる仮説思考が必要になるのです。仮説思考は言葉や理屈でわかっていても、実際には使う場で使われていない、さらには中途半端であることが多いことも事実です。従って、袋小路にはまった場合には、チャンスだとおもい仮説の建て直しから入ってみるべきです。
まず、問題の本質、どのような形の解答を導き出すかを明確にする必要があります。これが課題の設定ですが、この時点でアウトプットがどのようにまとまっているかという目標を立てている必要があります。この部分の検討が曖昧なため、結局検討の過程で本来解くべき問題の本質を見失うことが多く発生します。
そして、次にグラウンドデザイン等に対する仮説(仮解答)を設定します。これは大方針と考えるべきでしょうか、わかっている事象をもとに本来の問題に対して、大くくりの答えを作成してみます。この時点では、詳細化、さらには網羅性自体は検証せずに、本来の問題が仮説(仮解答)の適用で解決するかどうかを検証します。
そして、最後に冒頭ではまりやすい状況を書いた詳細な網羅性検証に入ります。このときには、詳細化するにあたっても、常に前述の問題の本質、アウトプット、仮説を忘れずに、つねにこの3つの検証のための予備資料という位置づけで調査・検討を加えていく必要があります。
「木を見て森をみず」にならないように、複雑な問題の検討のときこそ、シンプルかつ構造的に物事を考える必要があると思います。