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戦略、プロモ、広報など実務から見たマーケティングをお話します

物量に頼ったマーケティングでは残るものは少ない

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17日の泉谷さんの「マーケティング部門が集めたリードは役に立っているか?」という投稿に触発されて、自分なりに考えていたことを書こうと思います。

ある時期に非常によく目にする商品や会社名があるとおもいます。目に付く理由は、広告、POPなどいろいろな媒体やプロモーション手法を実施して、ATL(Above The Line)とBTL(Below The Line)による露出を行っているためです。例としては、消費財では資生堂のTSUBAKI(だったっけな?)、ITではINTELなどが代表的なものです。その他にも短期的には、様々な会社が一時点に集中的にプロモーション投下を行います。これを俗に”物量マーケティング”と言います。

物量に頼ったマーケティングでは、一時的に知名度(広告代理店は認知率で数値提供します)は上がりますし、消費財ではブームや話題をよんで売上が上がることもあります。消費財の場合には、BTLのプロモーションと連動してリベート等の販促プログラムが動きますので、ある程度の売上は確保できたりもします。

しかし、過去に物量マーケテイングを展開したもので、どの程度の商品が残っているでしょうか?数値や論理的な証明はまだまだできていませんが、「名前は覚えている」、「CMは覚えている」、「キャンペーンは覚えている」が「商品は残っていない」場合が多いと思います。ひどい場合には「会社が残っていない」こともありえます。

物量に頼るマーケテイングは、一時的にビジネスに効果があるように感じますし、会社の活気やイメージ向上を実現しますが、所詮はお金で作った虚像に近いものがあります。もっとひどい場合には、社長やマーケティング部門やマーケターの趣味で行っているだけで、会社に何の貢献もしていない場合があります(特にITでは企業広告ですね)。

商品やサービスをビジネスとして確実に展開するためには、単に物量でのメッセージ発信にたよるだけでなく、まず商品やサービス自体が良いものであること(何かユーザが欲する特徴があること)が必要です。さらに、その伝達は、物量だけでなく、明確なマーケテインング・シナリオを持って行うべきです。

特にITの世界では、安易に「広告だ」、「セミナーだ」、「DMだ」、「インターネットでのキャンペーンだ」といったありきたりのマーケティング手法に流されるべきではありません。投資対効果はさほど高くありませんし、もっとほかに資本投下する必要のある作業が残っているからです。

多くの会社で、今実施中の物量でのキャンペーンやありきたりのマーケティング活動を、冷静に一度見直してみることも必要だと思います。また、これからマーケティングに力を入れようとされている会社も、一度手法やお金の使い方に関しては、冷静に考えてみましょう。

(かく言う私も、サン・マイクロシステムズ全盛期には、大型の物量キャンペーンをいくつも企画して実施していました。そのころの実体験からの反省もあり、ITで通常に行われるプロモーションは、あまりお勧めしていません。「Beat NT!!」なんてのもやりましたね…今思い出すと懐かしいですが)

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