B-BとB-C、マーケティングの違い
情報サービス産業でのマーケティングといっても、B-BとB-Cという異なる性質のマーケティングが混在しています。前者はサーバやDBMSなどあまり個人で購入・使用することの無い製品やSIやデータセンタなどのサービス、後者はPCやPCソフトに代表されます。
B-Cの場合には、他の消費財と類似したマーケティングが展開されます。市場調査等をベースにしたマーケットイン型の商品開発であっても、基本的には「こんな商品が、xxxに売れるはずだから作ってみよう」という製品主体のアプローチであり、購買対象はセグメントされたとしても不(半)特定多数です。
一方B-Bの場合には、B-Cに類似した製品主体のアプローチであっても、実際には個別の企業を見た「関係性のマーケティング」であるといわれています。最たるものは、インテグレーション・サービス、また一部カスタマイズを伴う商品においては、B-Cとは大きく異なるマーケティング・アプローチが必要になります。
特にB-Cと異なる点としては、B-Bのマーケティングの仕事では、単なる販促や、プロモーション、広報といった機能分業型のモデルでは成立することはなく、経営企画や組織運営なども網羅した企業内横断型の機能を提供する必要があります。
従って、情報サービス産業(産業財といったほうがいいかも知れませんが)で、マーケティングに携わる人は、製造から販売まで浅く広い知識を必要としますし、仕事としても統計分析から実際の営業まで幅広い業務に対応できることが必要になります。
そういう意味でも、マーケテイングの仕事は専門職(いわゆるスペシャリスト)ではなく、総合職(いわゆるゼネラリスト)といえるのではないでしょうか。
このブログにもマーケテイング関連の方もいらっしゃいますが、外部からのサービスとしては特定機能の専門職(例えば広報、宣伝、プロモーション)が成立しえます。しかし、社内のマーケティング担当者は総合職であることが重要だと思います。
特にIBMがブランドマネージメントの制度を取り入れたときには、自社内外の専門家を使いつつも、知識と調整力、そして何よりも戦略的な分析と決断力をもって、非常に幅広い仕事をさせられていました。B-Bのマーケティングは経営戦略そのものである、ということを日々の仕事で実感することが多かったです(そうじゃない仕事もいっぱいあって、よく徹夜させられましたけどね、発表レター作成とか・・・)。
参考までに、B-Bのマーケテイングについて書いている少ない専門書の中から一冊だけご紹介しておきます。趣旨は似たようなお話ですが、参考にしてください。