IT化が遅れているIT会社の現実(?)
けんじろうさんが「一部のIT会社内で、IT会社なのにIT化が遅れている場合があるだが、私が知っている限りでは、「IT化がビジネスに役立つとは、本気では信じていない」場合が多いようだ。お客様には提案するが、自分たちは、やらなくても何とかなると考えているのだ」なんて、ドキドキ(笑い)することを書かれていたので、ちょっと追記したくなったことを書きます。
IT会社が自社のIT化を考えるとき、私が相談を受ける経験談に基づきますと、まず2つの選択肢に悩むことが多いようです。
(1)自社要員でIT化できる内容なので、自社でIT化を進める。
(2)自社でIT化できない内容、または自社要員が空いてないので、他社にIT化を委託する。
(1)の場合、このIT化は自社に直接的売上をもたらさないため、やたらと予算削減に走り、結果不十分な品質のIT化がなされるリスクがあります。顕在化すれば当然、脆弱なシステムがそのIT会社に誕生します。
(2)の場合、委託先のIT会社にとっても、委託するそのIT会社にとっても、ぶっちゃけIT会社としてのプライドが阻害要因となり、やたら「戦闘モード」となりがちです。結果、信頼関係のない中で低品質のIT化が行われ、貧弱なシステムがそのIT会社に誕生します。
こうやって活字に整理すると、とっても低俗で貧相な印象の問題です。でも現実に何度か私はそれをみてきました。
一方で、
あるソリューションベンダーは、新しいソリューションを開発するときには、真っ先に自社がそのユーザとなり、自社でそれを使いながら問題点を改善し、セールス向上につながる改良を施し、そしてそれらが営業力(セールストーク)、開発力につながる、と話してくれました。
あるコンサルティングファームは、自社バックオフィスを自社要員の力でオフショアリングし、ITO、BPOの開発ノウハウを蓄え有能なリソースを育成し、その実体験に基づき「実行可能な提案」を行って確実なオフショアリング・アプローチをクライアントに展開している、と聞きます。
少ないながら、このような例から考えても、本来ならば、クライアントに販売したいサービスやプロダクトというのは、できるだけ自社で試したほうが本来は有効だといえます。ところが、この「試す」ために必要なITコストはその時点では直接利益を生まないため、なかなか正しい決断がなされない。「自社に導入するくらいなら同じサイズの新規案件を獲ってその開発リソースを投入すれば直接利益に貢献できるじゃないか」という話になりがちなんです。
どちらの選択肢も間違ってるとまでは思いませんが、わたしはけんじろうさんのエントリを拝読しまして、
IT会社のIT化においては、自社開発にしても他者委託にしても、コストの前に品質を重視し、
そして自社開発の場合はノウハウの蓄積や有能なリソース育成の目的を忘れず、
他社委託の場合は他社流のノウハウやリソースに敬意を忘れず、
そして、実体験したこと、学んだことを教訓として次のセールス/デリバリーに活かす姿勢を忘れない、
ようにしていただきたいなあと、他人事ながら(笑)切望した次第です・・・^^;