中途半端な提案書
今の会社に移り、協業を求めるベンダー様からの提案書をプレゼンしてもらう機会は減り、開発ベンダー様の提案書をユーザ企業の立場でレビューする機会は増えました。それにしても・・・最近は提案書の作成スキルについて、プレゼンスキル以前にそのレベルがまちまちというか、とてもばらつきが大きくて、最近のITサービス企業ではちゃんと教育プログラムを展開しているのだろうか、と心配になる今日この頃です。
非常に経験談寄りですが、一般的な提案書の目次例。
1.弊社提案の基本姿勢
–提案にあたり背景の整理(挨拶文含む)
–提案内容を記述するにあたっての前提とした事項。
2.当PT(プロジェクト)の位置づけと目的
–提案するプロジェクトの位置付けについての弊社理解
–提案内容で達成目標とすること=目的の記述。
3.当PTの作業アプローチ
–提案でうたうプロジェクトの具体的実施手順=アプローチの明示。
–作業を進める上での基本的な留意事項、テクニックの解説。
4.推進体制と弊社参画領域
–作業タスク&スケジュール、想定成果(物)とPT体制を明示。
–弊社の役割範囲を明示。
5.依頼事項
–PT環境早期構築のための依頼事項
–顧客側依頼事項の解説。
6.報酬見積
–コスト提示
–その他契約条件等。
7.(補足資料)
–弊社実績紹介
–強みのアピール等。
別に出し惜しみするわけでもないですが、きわめて汎用的に言ってもこんな感じ。
ところが最近目にする提案書はほんとに様々。
「薄っぺらい/厚過ぎ。記憶に残らない」
「パラパラ漫画?絵(図形と配色)は手抜き、メッセージも適当」
「プロジェクタ用?メッセージ無さ過ぎ」
「読み物になり過ぎ。細かくてまるで報告書」
こんなものに遭遇するんですが・・・!!
別エントリにも書いた例に類似して、仕事が忙しくて、既に稼動中の案件でいっぱいいっぱいで提案書作成に時間が割けないことはよくあることです。
ですが、・・・提案を依頼し、プレゼンを聞く側にも配慮というか、リスペクトを表すのは、提案する側の礼儀じゃないかなー・・・と。
というわけで、簡単ですみませんが、教訓集を作ってみました。
少しでも参考になれば幸いです。
提案書を出す前の準備作業
•できる限りクライアントとの内容調整(協議)のアポをとる。
•さっさと骨子をまとめ、社内ナレッジを集結し、草案をクライアントに見せる。
•競合他社情報を収集し、勝つための条件を探る。
•価格に関する折り合いを探り、そのちょっと上で社内決議をとっておく。
•弊社のウリを整理、日々アピールする。
•リスクを定義し、クライアントに予告しておく。
•関係するであろう協業ベンダーに適宜適量のリークを済ませておく。
•作業要員のあてを確保しておく。
•草案を書き上げたら作業実施手順(スケジュール、タスク・成果物定義)をやっておく。
•自信が持てないなら「出さない」。
失敗事例集
•提案書に気合を入れた記述をしなかったため、第3者(=バイヤー)が読み捨てた。
•「自分で作らなかった」ため、内容に思い入れが欠けたものとなった。
•クライアントの希望にあわせず「自社流」を貫き、嫌われた。
•「新しいもの」が要素として何も盛り込まれてなかった。
•第3者レビューをしてないため、客観的視点に欠けた内容になった。
•中途半端な記述をしたために、幅広い作業内容を「宣言」してしまった。
•「足」を使わなかったため、「やる気がない」と思われた。
•準備不足により、プレゼンで大失敗した。
•提案時に配布資料数が不足して、プレゼンの心証を悪くした。
•誤字、脱字、誤植が多すぎて、読んでもらえなかった。
•コストを無視して「取りに行った」ため、実現できない提案になっていた。
「外さない」コツ
•提案書を作成するにあたっての「前提事項」記述にまず全力を投入する。
•落としどころを決める(スコープ&コスト)。
•記述する流れ(ノリ)を、クライアントを提出事前に確認しておく(少なくともTRY)。
•実現リスクをはっきり書いた方がクライアントは安心する。
•細かい見積・作業段取りの試算をアピールする。
•全社を挙げて「最優先」案件として取組むことをアピールする。
•成果物(アウトプット)サンプルをできるだけ掲載する。
•クライアントの取組姿勢を胸を張って要求する。
•キレイな「絵」に仕立てる(見映え)。
•記述内容に含みを残す(提案が通ったら欲しいネタが手に入る流れ)。
•出したら「すぐ」「何度も」フォローする。
•提案書は先方の要望なしには絶対に変更しない(プライドの明示)。
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