顧客サービスとITのおいしい関係を考える

『会社のITはエンジニアに任せるな!』はいいぞ!

»

白川さんより書籍『会社のITはエンジニアに任せるな!』を頂きました。

企業の経営層から「社内ITはなんでこんなに費用がかかるのか」「どうしてビジネスの変化にITはすぐ対応できずに時間がかかるのか」と言われたことがある社内IT部門の担当者は少なくないでしょう。こんなとき経営層に対して適切に説明できているでしょうか。その答えがここにあります。

システム開発やプロジェクトマネジメントに関する書籍はこれまで数多く出版されていますが、この本はそれらと一線を画すユニークな内容です。本書にはテクノロジーやバズワードは出てきません。経営幹部、業務担当者、IT部門(ITエンジニア)の3者が協力して、本当に自社に合った、自社のためのITを構築する重要性について、何度も繰り返し強調しています。

白川さんがこの本を書いたきっかけは、クライアント先のプロジェクト責任者が社長に就任することになったときに「ITを会社の武器にする知恵」を贈ろうと考えたとのことです。

ITを武器にできていない状況とは以下の状態を指します。

①一つひとつのITプロジェクトが失敗し、投資の成果を刈り取れない。
②投資すべき時に適切なIT投資判断ができず、時代遅れの武器で戦う羽目になる。
③IT部門や人材が弱体化し、戦略実行の足かせになってしまう。
④ITが経営を変えるきっかけになっていない。

ITを利用している企業の方なら、あるある話ではないでしょうか。私が知っている範囲では、中小企業にはIT部門に適切な人材がいないだけでなく、過去に失敗したプロジェクトがトラウマになって、次に踏み込めないことが多いように思われます。

本書の冒頭で、企業で使うITを『ツール型IT』と『プラント型IT』に分けています。ツール型ITは、単機能で売っているものをそのまま使えば良いもので、企業の競争優位に貢献しません。これに対して、『プラント型IT』は企業の生命線と言うべきもので、業務と不可分のITです。

この分け方は面白いと思いました。実際のところ、ツール型で充分なところに妙なこだわりを持って高いモノを入れてしまったり、逆にコアな業務に無理矢理パッケージを適用しようとしたりして、うまくいかない事例があります。対象がツール型ITなのかプラント型ITなのかを考えるだけで、力を入れるべき方向が見えて来るかもしれません。

その上で、本書はプラント型ITに焦点を絞って、

なぜ、ITはこんなに高いのか?
なぜ、IT人材は育たないのか?
なぜ、ITのプロジェクトはこんなに失敗するのか?

について、IT用語を使わずに、経営幹部や業務担当者がわかるように丁寧に説明しています。

いまどきの企業で経営幹部が「自分はITがわからない」などと言っている余裕はありません。この本は、経営幹部が自らプロジェクトオーナーになって、ITプロジェクトを積極的に進めていく覚悟を決めるための本と理解しました。

本書はユーザー側の担当者を想定していますが、システム開発を受託する関係者が読んでも、ヒントになる発見が多いでしょう。お客様がITについて疑問や不満に感じていることについて、きちんと答えることができそうです。また、プロジェクトが始まるときに、お客様のプロジェクトオーナーに読んでもらえると、プロジェクトがスムーズに進むのではないでしょうか。

本書はこれまで多くのプロジェクトを経験してきた白川さんならではの思いが詰まった本です。白川さんの以前の著作「プロジェクトファシリテーション」と合わせて、一読をお勧めします。

Comment(1)

コメント

コメントを投稿する