Google日本語入力を使ってみた
先週末に赤い彗星のごとく突如としてリリースされた「Google日本語入力」(以下、Google IME)を使ってみました。
私はWindows 2000の時点でWindowsに付属するIME(以下、MS IME)に見切りをつけて、ATOKに乗り換えています。それ以来、ずっとATOKを使ってきました。
Google IMEの感想を一言でいうと、ベータ版でありながらプログラム自体の完成度はすでに十分高いです。ただし、辞書が流行語優先というか、日本語に対するポリシーがないと言うか、Webで集めた頻度順でできているようで、どうにも気持ち悪いところがあります。
まずは、お約束の変換テストから。
「きしゃのきしゃがきしゃできしゃした」は一発で「貴社の記者が汽車で帰社した」に変換できます。
「にわにはにわにわとりがいる」は、入力サジェスト機能により「にわには」まで入力したところで、すでに「庭には二羽ニワトリがいる」が候補として表示されます。入力サジェスト機能がガンガン先読みで候補を出してくるのが便利です。
「いれたてのおちゃ」は以前にATOKがMS IMEを皮肉ったことで有名です。Google IMEで「いれたて」まで入力したところ、サジェスト機能が「入れた手のお茶」を表示してしまいました。これはダメでしょう。ATOK vs MS IMEの一件がWebに大量に載っているためかもしれません。
「まとをえる」をGoogle IMEはしっかり「的を得る」に変換してくれます。日本語としては誤用です。ちなみにATOKでは「的を得る」に変換しようとすると、「誤用」の警告が出ます。
「あむろ」はこんな候補が出ます。
「せいらさん」の結果はこれです。「青螺山」は佐賀県にある山の名前のようです。
個人的には今の時点で仕事で使うならやはりATOKですが、一般のパソコン利用者でMS IMEを使っている人は、Google IMEを試してみる価値があると思います。
これまで無料のMS IME(MS IMEのコストはWindowsの値段に含まれているわけですが、ここでは考えません。)に不満がある場合、事実上唯一の乗り換え先がATOKでした。ここにGoogle IMEという強力な選択肢が増えたわけです。ATOKは有償の商品です。利用者はまずMS IMEとGoogle IMEを比較するでしょう。一度Google IMEに乗り換えたら、そこからさらに有料のATOKを買うとは考えにくいです。
MS Officeとオープンソース系のOfficeソフトウェアに挟まれて、ジャストシステムは経営陣が交代するなど苦戦してきました。AndroidとChrome OSにATOKを載せることは、今となっては商売として難しいでしょう。ジャストシステムが得意としていたIMEの分野で強大な競争相手が出てきたことで、ジャストシステムはいよいよ厳しい状況になりました。